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■解放を体現するモビリティと「拡張」を体現するモビリティから多くの世界初公開コンセプトを披露
2023年9月26日、ホンダは「ジャパンモビリティショー2023」の出展概要を明らかにしました。二輪車、四輪車、パワープロダクツ、航空機などのさまざまなモビリティとその関連技術、コンセプトモデルが出展されます。
今回のブーステーマは、「Honda DREAM LOOP」。ホンダの夢をかたちにしたモビリティを起点に、未来に向けて来場者やホンダ・ファンなどの夢が多様性に満ちて広がっていくことを表現したそうです。
「ホンダがこれまでに実現した夢や取り組み」「ホンダの夢が実現する未来の生活」の紹介を通じ、同社が実現したい夢と未来の姿を来場者に理解してもらえるブースを展開。
また、特設サイトにおいて「自身の夢見るモビリティ」を言葉で入力すると、AIが「夢の設計図」として画像が生成される体感型企画も展開されます。ブース内に配置されたLEDモニターやWebサイト上に生成された画像を表示し、企画に参加した人と「ホンダと共創する未来の暮らし」を想像してもらいたいそうです。
●「解放」を体現するモビリティ
同ショーでワールドプレミアされるのは「SUSTAINA-C Concept(サステナ・シー コンセプト)/Pocket Concept(ポケット コンセプト)」。限りある資源の制約から解放してくれる四輪、二輪電動モビリティのコンセプトモデルです。
回収された使用済みアクリル樹脂を再利用して作られています。資源の循環利用(リソースサーキュレーション)により、限りある資源の制約から解放され、地球環境の保護と自由な移動の喜びを将来にわたって両立することを目指して開発されています。
同じくワールドプレミアとなる「SC e:Concept(エスシー イー コンセプト)」は、二輪電動モビリティのコンセプトモデルです。バッテリーを簡単に交換することで充電待機時間という制約からも解放。
再生可能エネルギーの活用を拡大する手段のひとつである、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」2個が動力源に採用されています。電動モデルならではのスムーズで力強い走りが特徴で、より快適な日常の移動を支えます。
さらに、四輪電動スポーツのコンセプトモデ「Honda Specialty Sports Concept(スペシャリティ スポーツ コンセプト)」も世界初公開になります。カーボンニュートラル実現のための電動化、自動運転技術が普及していく中でも、運転する楽しみが体感できるモデル。乗る人を時間の制約から解放する狙いが込められています。操る喜びと際立つ個性が、日常からの解放をもたらします。
「HondaJet(ホンダジェット)/Honda eVTOL(イーブイトール)」も登場します。空と地上のモビリティシステムを組み合わせ、三次元での立体的な移動を可能とすることで、空間と距離の制約からの解放を実現する空のモビリティです。今回は、小型ビジネスジェット機の「HondaJet Elite II」の実物大インテリアモックアップモデルが展示され、室内を体感できます。
電動垂直離着陸機である「Honda eVTOL」は、5分の1サイズのエクステリアモックアップモデルや、動力源として開発中のガスタービン・ハイブリッドシステムなどが展示されます。
「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を活用した電動製品も注目を集めそうです。クリーンな再生可能エネルギーを、モバイルパワーパックに貯めて持ち運び、さまざまな場所、用途で活用できます。
限りある資源の制約から解放され、自由な移動や暮らしと地球環境保護を両立することが可能になります。今回は、モバイルパワーパックを動力用電源に採用された電動製品や、エネルギー関連技術が展示されます。
●「拡張」を体現するモビリティ
ワールドプレミアとなる「Honda CI-MEV(シーアイ・エムイーブイ)」は、ホンダ独自の協調人工知能(Cooperative Intelligence:CI)、自動走行技術により、いわゆる「ラストワンマイル」を誰でも手軽に自由に移動できる2人乗りの四輪電動モビリティの実証車です。
公共交通機関がない場所での移動や、長距離の歩行が困難な場合など、移動範囲が狭くなりがちな人の生活圏の拡張を実現することを掲げています。
日本初公開の「Honda Autonomous Work Vehicle(オートノマス ワーク ビークル)」は、アタッチメントを取り付けることで、多様な用途に活用可能なプラットフォーム型自律移動モビリティの実験用車両。人の作業が難しい環境下で、大きな積載物の輸送やさまざまな作業を人に代わって自律して行うことで、人の能力や活躍の可能性を拡張することを目指しています。
また、時間や空間の制約に縛られず、人の能力と可能性を拡張する分身ロボットの「Honda アバターロボット」も披露されます。ASIMOをはじめとするロボティクス研究で培われてきた多指ハンドと、独自のAIサポート遠隔操縦機能が採用され、離れた場所にいながら、あたかもその場にいるように作業や体験が可能になります。
着座型で両手が自由に使えるパーソナルモビリティ「UNI-ONE(ユニワン)」は、ロボティクス研究から生まれたバランス制御技術と、前後、左右、斜めの全方位に自由に移動できるホンダ独自の車輪機構「Honda Omni Traction Drive System(オムニ トラクション ドライブ システム)」を採用。
重心移動だけで歩行するように移動ができ、移動に困難を感じる人も活躍の場を広げることができます。
そのほか、「拡張」を体現するモビリティ・製品も多く出展されます。話題を集めそうなのが、新型軽商用EV(電気自動車)プロトタイプです。
可搬型外部給電機「Power Exporter e: 6000(パワーエクスポーターイー)」は、アウトドアや災害時などでの可能性を広げてくれます。
また、新事業創出プログラム「IGNITION」から生まれた、視覚障がい者向けナビゲーションシステム「あしらせ」(Ashirase)、1人乗り電動三輪マイクロモビリティ「Striemo」(ストリーモ)、IGNITIONとして初の社内事業化のケースとなる、自転車を電動アシスト化・コネクテッド化するサービス「SmaChari」(スマチャリ)搭載自転車「RAIL ACTIVE-e」(ワイ・インターナショナル)も出展されます。
なお、この「IGNITION」は、ホンダの従業員の持つ独創的な技術、アイデア、デザインを形にし、社会課題の解決、新しい価値の創造につなげる新事業創出プログラムで、2017年にスタート。2020年には、より早い社会実装を実現するために、起業するという方法を加え、2021年にはIGNITION発のベンチャー企業第1号として「Ashirase(あしらせ)」、2022年には第2号として「ストリーモ」が設立されています。
ホンダ・ブースは、二輪、四輪だけでなく、空や身近なモビリティまで人の夢と可能性を広げるコンセプトモデルや商品、技術などを体感できる空間になります。
(塚田 勝弘)