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■サーキット向け装備でより戦闘力をアップ
「YZF-R1」や「YZF-R6」といえば、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)が誇る高性能なスーパースポーツモデル。
世界最高峰2輪レース「MotoGP」などで培った技術やノウハウを数多く投入することで、ストリートはもちろん、サーキット走行などでも俊敏でシャープな走りを味わえる、世界中に多くのファンを持つモデルたちです。
そんなヤマハ製スーパースポーツ2モデルをベースに、ロードレース競技やサーキット走行専用に開発されたモデル「YZF-R1レースベース車」と「YZF-R6レースベース車」の2024年モデルが国内販売されることが発表されました。
いずれも、市販車をベースに、レースなどサーキット用途に配慮した装備を持つことで、より戦闘力をアップ。
従来から日本はもとより、世界中のレーシングライダーなどが愛用しているマシンたちで、日本では2024年2月29日に発売される予定です。
●自然な操作が可能な電子制御スロットル採用
YZF-R1レースベース車は、ヤマハのフラッグシップ、1000ccスーパースポーツYZF-R1の2021年モデルがベース。大きな特徴は、ベースモデルでも定評がある数々の電子制御システムを採用していることです。
たとえば、スロットルバルブの駆動には「YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)」を採用。従来のスロットルケーブルやプーリーを廃止し、「APSG(アクセル開度センサーグリップ)」がセンサーとマグネットによりアクセル開度を検出、そのデータをダイレクトにスロットルバルブ駆動モーターに反映させるシステムです。
APSGはスプリング、スライダー、ギアによって操作感を作り込み、軽量化と同時に優れたアクセル操作感を実現。アクセル開度が増すに従って可変的に摩擦感(抵抗感)が高まることで、ライダーは自然なフィーリングでスロットル操作を行うことができます。
また、ブレーキ圧力を制御することで最適なブレーキングを実現する「BC(ブレーキコントロール)」、走りに大きく影響するエンジンブレーキを的確に制御する「EBM(エンジンブレーキマネジメント)」も装備。
これら2系統の制御システムが相互に連動することで、自然なフィーリングでブレーキングをサポートしてくれます。
●レースベース車として存続するYZF-R6
一方のYZF-R6レースベース車は、2020年モデルを最後に生産終了となった600ccのスーパースポーツYZF-R6がベース。
YZF-R6は欧米を中心とした海外専用モデルでしたが、当時、国内では逆輸入車が販売されており、コンパクトで軽量な車体、高回転まで一気に吹け上がるエンジン特性などにより、ワインディングなどで切れ味鋭い走りを楽しむことのできるモデルでした。
そのレースベース車では、欧州仕様の2020年モデルをベースに、トラクションコントロールシステムやクイックシフターなどの電子デバイスを採用していることがポイントです。
また、上位モデル「YZF-R1レースベース車」と同型のフロントサスペンション、フロントブレーキなども装備することで、高い戦闘力を発揮。全日本ロードレース選手権のST600クラスなど、接戦を繰り広げる600ccカテゴリーで、常にトップクラスの実力を誇っているマシンです。
両モデルともに、スペックなどに大きな変更はなく、価格(税込)は、YZF-R1レースベース車が227万7000円、YZF-R6レースベース車が134万2000円。
いずれも、期間限定予約による受注生産で、第1次予約期間が2023年9月15日(金)〜10月5日(木)、第2次予約期間が2023年10月6日(金)〜11月30日(木)となります。なお、予約窓口は全国の「ヤマハオンロードコンペティションモデル正規取扱店」です。
(文:平塚直樹)