目次
■ボルボ史上最小のSUVはBEV専用プラットホーム
2023年8月24日(木)、ボルボのコンパクトSUV「EX30」の国内導入が発表されました。
6月のワールドプレミア以降、同社で最小サイズのBEVとして話題になっていましたが、今回はその特徴的なエクステリアデザインをあらためてチェックしたいと思います。
●日本市場を意識したコンパクトパッケージ
まず全体を眺めると、全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mmのサイズは、国産車ではホンダのヴェゼルに近いもの。ただ、2650mmのロングホイールベースによって切り詰められた前後オーバーハングと、ルーフの後端を下げることで生まれるハッチバック的な佇まいの融合が、独特の存在感を生んでいます。
フロントは単にBEV的なグリルレスではなく、ボンネットと一体となり、フロントセクション全体を滑らかなパネルで見せる新しい手法です。
また、素材色のロアバンパー部との対比もユニーク。このPP素材はボディ下部を1周していますが、よく見ると細かいタテ模様が施されており、軽快でカジュアルな質感を放っています。
ボディサイドでは、まず2重表現のホイールアーチラインが目に入ります。これはもちろんSUVの力強さを示すものですが、フロントではボンネットのカットラインと形状を合わせるなど、要素の整理とアクセントを兼ねる工夫も見られます。
ドア面はXC40やC40などと同様、下部を大きく削ってボディを引き締め、凝縮感を生んでいます。特に、EX30ではPP素材のサイドシル部との段差が大きく、他のモデルより強い立体感があります。
また、柔らかなショルダーラインはリアに向けてシャープな表現に変化、リアまで回り込んでいるのが特徴。このラインはリアパネルを上下に分ける役割を負っています。
●シンプルな造形と美しいグラフィック
リアクオーターピラーにも注目。キックアップしたベルトラインはXC40と同じですが、ラインの先が黒いルーフとの塗り分け線に直結しているXC40に対し、EX30はそこまで届かず塗り分け線とズレているのです。これは造形上の都合なのかあえてなのか、ちょっと興味があります。
リアでは上下2段構成のランプが話題です。これはルーフ後端を下げ、リアガラスの上下幅を狭くすることで成立したもの。もちろん、単に2段ということではなく、ガーニッシュと一体で四角い表現となった下部ランプとのグラフィカルな組み合わせも秀逸です。
さて、こうしてエクステリアをチェックすると、相変わらず近年のボルボらしくシンプルでクリーンな造形が確認できます。ただ、同じデザインテーマでありながら、XC40、C40、EX30と、それぞれに異なる個性を持たせている点にデザイナーの力量を感じます。
今回はBEVとしてサブスクでの限定販売ですが、コンパクトに抑えたこのボディに、もしガソリンやディーゼルなどのエンジン仕様があれば、かなりのヒット作になるかもしれませんね。