■「ダイナミックシールド」を進化させ、スタイリッシュで力強い本格SUVのたたずまい
以前お伝えしたように、三菱自動車はインドネシアで新型コンパクトSUVのワールドプレミアを予告していました。2023年8月10日(木)、「第30回インドネシア国際オートショー」で世界初公開された新型コンパクトSUVの車名は、「XFORCE(エクスフォース)」。
同SUVは、ミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・インドネシアで生産され、同国で販売がスタートした後に、ベトナムやフィリピンなど、他のアセアン地域、南アジア、中南米、中東、アフリカにも順次展開されます。
新型XFORCEは、アセアン地域でのコンパクトSUVの使われ方にこだわって開発された、5人乗りのコンパクトSUV。「Best-suited buddy for an exciting life(毎日を愉しく過ごすことができる頼もしい相棒)」をコンセプトとして掲げ、スタイリッシュで力強い、本格的なSUVデザインが与えられています。
取り回しのいいコンパクトボディでありながら、広々としたキャビンや多彩なラゲッジスペースなどを備え、快適性や実用性を両立。三菱自動車らしい高い悪路走破性も備えています。
「Silky & Solid」をコンセプトに掲げたエクステリアは、優雅さと堅牢性を融合させた、スタイリッシュで本格SUVらしいデザインが特徴。ボディのアッパーは、フロントのスリーダイヤからサイド、リヤに繋がる流れるような面、浮いているような視覚効果を与えるフローティングルーフが印象的です。
ボディのロア部は、SUVらしい力強くソリッドなフォルムが与えられています。同時に、クラストップレベルとなる222mmの最低地上高を備え、18インチホイールと大径タイヤによって悪路走破性を確保。がっしりとした筋肉を思わせる造形のフェンダーフレアにより、アスリートのような敏捷性が表現されています。
フロントマスクの見どころは、デザインコンセプトに合わせて「ダイナミックシールド」が進化している点です。フロントグリルを左右バンパーでプロテクトする造形になっていて、立体感も強調されています。
さらに、LEDデイタイムランニングランプは、L字型とスリット状の造形を組み合わせ、T字型に発光させることで、遠くからでも三菱車と分かるデザインとされるとともに、ワイド感のあるスタンスも強調されています。
サイドビューは、彫刻的な前後フェンダーフレアやキャラクターラインが、張りのある立体的な面構成にメリハリを与え、逞しさや躍動感を表現。リヤもフロントと同様、T字型のLEDテールランプが配され、ワイドで安定感のある印象を付加します。
一方のインテリアでは、水平基調のインパネである「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」をコンセプトとしています。前方の視認性を高めるだけでなく、悪路走行時の車体姿勢の変化をつかみやすくする狙いも込められています。さらに、インパネをドアトリムまでつながるダイナミックな形状にすることで、広々とした開放的な空間に寄与しています。
インパネのパッド素材には、三菱車で初めてメランジ生地が採用され、ドアトリムまで連続させることで包まれ感が演出されています。モダンで洗練されたムードを漂わせつつ、汚れにも強い実用性の高い生地になっています。
そのほか、12.3インチのスマホ連携ディスプレイオーディオと、デジタルドライバーディスプレイを一体化させた、大型のモノリス形状のパネルによって、先進的な雰囲気も放っています。
ゆとりあるキャビンも美点です。前席は肩まわりのゆとりなど、クラストップレベルの広さが確保されています。座席のサポート性とゆったり感を両立。シーンを問わず、高いホールド性を確保しつつ、窮屈さを感じずに快適に過ごせるそうです。
後席は大人3名が乗車しても快適に過ごせる空間にこだわり、クラストップレベルの座席空間を確保。リクライニングは8段階調整式で、ゆったりと座れる角度から、荷室容量をより広く確保できる角度まで、快適性と利便性の高さが両立されています。
ラゲッジスペースも広く、クラストップレベルの床面積を確保。荷室フロアの高さも調整可能で、スーツケースなどの大型の荷物でもゆとりをもって積み込むことが可能としています。後席は4対2対4分割式で、4人乗車と長尺物の積載もできます。
搭載されるパワートレーンは、1.5L DOHC 16バルブ MIVECエンジンと高効率CVTの組み合わせ。アクセルの高開度では、多段変速のようなエンジン回転数の制御により、力強くキレのある加速感を実現するそうです。一方のアクセル低開度では、CVT特有の滑らかな変速でエンジン性能を最大限に引き出し、低燃費と高い静粛性を実現。
三菱が誇る四輪制御技術も活用されています。前輪駆動でありながらも、SUVに求められる走破性を確保しているそうです。路面状況に応じて選択できる「ノーマル」「ウェット」「グラベル」「マッド」の4つのドライブモードでは、前左右輪の駆動力を調整し、高い操縦性が得られる「アクティブヨーコントロール(AYC)」、タイヤのスリップを制御するトラクションコントロール、エンジン制御、パワーステアリング制御を統合制御することで、様々な路面状況に対応できるとのこと。
同社初採用の「ウェット」モードでは、雨天時の濡れた路面では旋回性、安定性が向上し、激しい降雨による冠水路でもハンドルが取られにくく、不安なく走行することが可能になるそうです。
新型XFORCEの日本導入の有無などはアナウンスされていません。サイズ的には現行RVRよりも全長が25mm長く、全幅は同値。全高も20mm高いだけですので、サイズ的にも長寿モデルになっているRVRの後を継ぐのか、気になるところです。
●ボディサイズ:全長4390×全幅1810×全高1660mm
●最小回転半径:5.2m
●タイヤサイズ:225/50R18
(塚田 勝弘)