三菱自動車の新型トライトンがワールドプレミア。2024年初頭に日本でも発売へ

■内外装デザインをはじめ、シャーシやラダーフレーム、エンジンなどを一新して「陸の王者」に君臨!!

以前から予告されていたとおり、タイのバンコクで三菱自動車の新型トライトンがワールドプレミアされました。約12年ぶりに日本でも発売されるのもトピックスで、2024年初頭の発売予定となっています。

約9年ぶりにフルモデルチェンジを受けて6代目になった新型トライトンは、「Power for Adventure」という三菱自動車らしい商品コンセプトを掲げ、内外装のデザインをはじめ、シャーシやラダーフレーム、エンジンなどが一新されています。

ワールドプレミアされた三菱自動車の新型トライトン
ワールドプレミアされた三菱自動車の新型トライトン

SUVの快適性とトラックの実用性を兼ね備えたという新型トライトンは、2列シートのダブルキャブ、1列シートのベーシックなシングルキャブ、そしてフロントシート後方に荷室スペースが配置されることで、リクライニングも可能なクラブキャブの3タイプのボディを設定。

大型化されたボディに、環境性能と動力性能を大幅に高めたという新開発の2.4Lクリーンディーゼルターボエンジンが搭載されています。ラダーフレーム、サスペンションなど主要コンポーネントは同社独自で新開発され、「スーパーセレクト4WD-IIシステム」には、電子制御のアクティブヨーコントロール(AYC)が組み合わされています。

さらに、ドライブモードがアップデートされるなど、走りも大幅に磨き上げたそう。ドライバーサポート機能やコネクティビティも進化を遂げていて、新たにレーダークルーズコントロールシステム(ACC)をはじめとする最新の安全装備、コネクティッド技術が採用されたエマージェンシーサービスなども採用され、安全性や快適性の大幅な向上も盛り込まれています。

新型トライトンのリヤまわり
新型トライトンのリヤまわり

具体的には、「三菱自動車セーフティセンシング(MMSS)」として、新たに先行車の加速、減速、停止に追従走行し、設定した車間距離を保ちながら走行するレーダークルーズコントロールシステム(ACC)が搭載されています。衝突被害軽減ブレーキ、「後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)」「後退時交差車両検知警報システム(RCTA)」なども引き続き採用され、先進安全装備が強化されています。

■「BEAST MODE(勇猛果敢)」というデザインコンセプトを掲げる

新型トライトンのデザインコンセプトは「BEAST MODE(勇猛果敢)」。 ピックアップトラックに求められるタフさや力強さに加え、三菱らしい堅牢さを持ちながら、俊敏さも併せ持つ堂々とした佇まいが表現されたそうです。

新型トライトンの前後エクステリア
新型トライトンの前後エクステリア

フロントマスクは、ハイパフォーマンス、人とクルマを守る安心感が表現された「ダイナミックシールド」フロントデザインコンセプトで表現されています。力強く、立体的なフロントグリルやフェンダーからつながる力強い造形、それを強調するプロテクターは、ピックアップトラック向けに最適化されています。

3連L字型LEDランプが配されたデイタイムランニングランプは、猛禽類を想起させる眼光鋭い造形で、その下に立体的な3眼プロジェクター式ヘッドライトが組み合わされています。

また、水平基調のサイドビューは、ドアの厚みを演出する張りのある大きな面で構成しながらもシャープに張り出したフェンダーとのコントラストで引き締められています。よりワイドに見せることで、安定感と強靭さが強調されています。

同時に、十分な荷台サイズを確保しながら、サイドから続く張りのある面が後端まで回されていて、両端にT字型テールランプが配され、ワイド感が強調されています。厚みを持たせリヤまわりも逞しく演出されています。

さらに、エアロダイナミクスを向上させたキャビン形状やリヤスポイラー、大型化により握りやすく、耐久性も向上されたドアハンドル、幅を広げ、水はけを良くしたサイドステップなど、機能的なデザインが随所に採用され、実用性も大幅に向上しているそうです。

新型トライトンのインパネ
新型トライトンのインパネ

一方のインテリアは、走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で、力強いデザインの「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトを進化させたインパネが特徴です。プロユースを意識し、乗員を保護するためにソフトパットが要所に採用され、実用性の高さを確保。

デザイン面では、幾何学的な造形とメタリックを多用したハイコントラストでモダンな仕立てになっています。

ディテールでは、モニターやメーター、コントラストがつけられたスイッチ類は視認性にもこだわったそう。セレクター、ダイヤル、スイッチ類は手袋をしたままでも確実に操作ができるよう程よい節度感を実現したとしています。

ステアリングホイール、グリップ、ドアハンドル類は、握り心地や逞しさが追求されるなど「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」という考え方に基づいてデザインされています。

ユーティリティ面では、フロアコンソールに大型カップが2つ収まるカップホルダーが用意され、コンソールボックスには、600mlのペットボトルが4本収納できます。5MT車は、形状が工夫され、カップホルダーとしてだけでなく、タブレットやファイルが置けるなど、プロユースを意識した作りになっています。

グローブボックスやスマホ・ホルダーなどの小物入れは、手袋をしたままでも操作しやすいように余裕のあるサイズになっています。スマホやタブレットなどの充電用としてインパネとセンターコンソールにタイプAとタイプCのUSBを配置。インパネ下部には、スマホのワイヤレスチャージャーも装備されています。

ボディカラーでは、鮮やかさとメタリック感を強めたという「ヤマブキオレンジメタリック」、輝度感を向上させたという「ブレイドシルバーメタリック」が新たに設定されています。高品質なベーシックカラーとして「ホワイトダイヤモンド」「ホワイトソリッド」「グラファイトグレーメタリック」「ジェットブラックマイカ」も用意されています。

カラーリングでは、最上級グレードはフロントグリルがボディ同色になり、ドアミラーやダイナミックシールドガーニッシュ、ドアハンドルやバンパーなどがブラックになります。さらに、フロント、サイド、リヤの各アンダーガードは、ダークチタニウム仕上げになっています。

また、ブラックのルーフレール、オーバーフェンダー、荷台にはスタイリングバーが装着され、より精悍さが増しています。インテリアもメタリック加飾部分をブラック基調とすることで引き締められ、オレンジのアクセントカラーが用意され、上質感と精悍さを醸し出しています。

■積載性やキャビンの快適性も向上

積載性の向上も盛り込まれています。カーゴベッドが大型化されたことで、ベッドライナー装着状態でもユーロパレット積載にも対応。従来型に比べて荷台高が45mm低い820mmになり、バンパーコーナー上面の面積を拡大。フレームで補強、足を乗せるスペースとして使用できます。

新型トライトンのフロントシート
新型トライトンのフロントシート

キャビンの快適性向上もトピックス。フロントシートは、腰まわりをしっかりサポートしつつ、肩付近は動きやすく開放的な形状で、ドライバーの疲労を軽減させるそうです。また、ヒップポイントを従来車に比べて20mm高め、アップライトな乗車姿勢にすることで視認性の向上も図られています。このほか、Aピラーを立ててドア開口部を広げ、さらにサイドステップの幅を広げるとともに滑りにくい形状とすることで、乗降性も向上。

■走破性や走りの質感もアップ

走りを左右する進化のポイントを具体的にチェックすると、新開発のラダーフレームは、従来型から断面積が65%も増やされ、曲げ剛性は40%、ねじり剛性は60%向上したそうです。同時に、ハイテン鋼の採用比率を大幅に増加させることで、重量増を最小限に抑えたとしています。

剛性向上などにより、走りや乗り心地を大きく向上させているだけでなく、積載時の耐久性、衝突時のエネルギー分散性も向上するなど堅牢性も向上。また、ボディにも新たに1180MPaのハイテン鋼が使われるなど、先代よりも軽量化が図られています。

新開発の「4N16型のクリーンディーゼルエンジンを積む
新開発の「4N16型のクリーンディーゼルエンジンを積む

新開発された「4N16」型のクリーンディーゼルエンジンは、出力が異なる3つの仕様を用意。高出力仕様のエンジンには、新型ターボと新燃焼システムが搭載され、150kWの最高出力と470Nmもの最大トルクを約1500rpmからフラットに発生。実用域での応答性にも優れたトルクフルな走りを披露するとのこと。

標準仕様は、最高出力135kW/最大トルク430Nmと、最高出力110kW/最大トルク330Nmの2つの仕様のエンジンが設定され、いずれもタービン容量を可変制御するVGターボチャージャーが採用されています。

組み合わされるトランスミッションは、先代でも好評だというスポーツモード付6速AT、シフトバイワイヤ化によりエンジンから直接伝わる振動を低減させ快適性を高めた6速MTが設定されています。

三菱自慢の4WDシステムは、走行中でもダイヤル式セレクターで容易に4WDモードを変更することが可能。前40%・後60%に駆動力が配分され、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSD(Limited Slip Differential)を備えた同社独自の「スーパーセレクト4WD-II」と、「イージーセレクト4WD」が継続採用されています。

「スーパーセレクト4WD-II」搭載車は、後輪駆動の「2H」、フルタイム4WDの「4H」、センターディファレンシャル直結の「4HLc」、ローギヤの「4LLc」の4つから選択できます。

ドライブモードは、従来車の「オフロード4モード」から、オンロードも含めた7モードに増加。すべての4WDモードに設定されている「NORMAL」モードをはじめ、「2H」には経済性を重視した「ECO」「4H」に「GRAVEL(未舗装路)」と「SNOW(氷雪路)」「4HLc」にトラクション性能を引き出す「MUD(泥濘)」と「SAND(砂地)」、4LLcには「ROCK(岩場)」モードが設定され、高い悪路走破性に大きく寄与しています。

一方のイージーセレクト4WD搭載車の4WDモードは、後輪駆動の「2H」、センターディファレンシャル直結の「4H」、よりローギヤの「4L」から選べます。

「スーパーセレクト4WD-II」搭載車には、新たに「アクティブヨーコントロール(AYC)」も採用されています。コーナー内側の前輪に弱くブレーキをかけることで旋回性を向上。また、2WD/4WDモデルともにアクティブLSD(ブレーキ制御タイプ)が搭載され、スリップしている車輪にブレーキをかけ、路面をグリップしている車輪に駆動トルクを分配することで、滑りやすい路面での安全性が向上。同時にスポーティな走りにも貢献します。

加えて、コーナーが連続するようなシーンで安定性を向上させる「アクティブスタビリティ&トラクションコントロール(ASTC)」が全車に標準化されたほか、下り坂で一定のスピードを保持して安心して走行することができる「ヒルディセントコントロール(HDC)」、坂道発進でのずり落ちを防止する「ヒルスタートアシスト(HSA)」なども引き続き採用されています。

フロントサスペンションは、ダブルウィッシュボーン式が踏襲され、信頼性と耐久性を重視しながら新開発されています。4WD、2WDの「ハイライダー」のアッパーアーム取り付け部が上方に移動し、ストロークを20mm増やして接地性、乗り心地を向上させたというハイマウントタイプになっています。リヤサスペンションは、強度を維持しながら軽量化したリーフスプリング式で、大径化されたショックアブソーバーとともに快適な乗り心地が得られるそうです。

先述したように、ボディは大型化されつつも最小回転半径の増加を最低限に抑え、フードラインの見える見切りの良いボンネット形状によって取り回しにも配慮されています。

高出力仕様エンジン搭載車には、電動パワーステアリングが新たに採用され、低速域ではアシスト量を増やすことでコントロールしやすさが追求されています。高速域では、手応えを増やすことでドライバーに安心感をもたらすそう。また、路面からのキックバックを減らし、オフロードや牽引時を考慮してチューニングするなど、安全、快適性にも配慮されています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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