■最新Gクラスよりランクル70の荒々しい乗り味に惹かれたちょっと変わったオーナーの話
人気の高いSUVの中で、国内だけでなく、海外でも圧倒的な人気を誇るのがトヨタ・ランドクルーザーシリーズです。最新モデルのランドクルーザー300は、受注を停止せざるをえないほどオーダーが集中しました。また、モデル末期のランドクルーザープラドも安定した販売台数を記録しています。
人気のランドクルーザーシリーズの中でもマニアックな人気車が、ランドクルーザー70です。日本市場においては1984年〜2004年にかけて販売され、誕生30周年を記念した2014年に期間限定で再発売され、また再販売されるという噂が出ています。
しかしランドクルーザー70は、現在も海外では新車販売が続けられており、不動の人気車となっているのです。
今回話を聞いた櫻井さんは、復刻版のランドクルーザー70では満足できず、V8ディーゼルエンジンを搭載したランドクルーザー70を豪州から逆輸入したという、こだわりのオーナーです。
●所有しているクルマはFRもしくはFRベースの4WD車ばかり
櫻井さんの所有しているクルマは、スズキ・ジムニーをはじめ、新車で購入し走行距離24万km超のトヨタ・クラウンエステート。そして日産GT-R NISMO、トヨタ・GRスープラのMT車、ポルシェ・991.2 GT3、トヨタ・ハイエースと豪華なラインアップながら、一見すると雑色系のように見えます。
しかし、これらのクルマには共通点があります。それは、後輪駆動もしくは後輪駆動ベースの4WD車ということ。このことが櫻井さんのクルマ選びのこだわりなのです。
現在、櫻井さんの所有している車種ラインアップの中で、SUVはこのランドクルーザー70とジムニーシエラというMT車の2台です。しかし、実はこの2台に加えて、メルセデス・ベンツ G400dを同時に所有していました。
普通、ランドクルーザー70とメルセデス・ベンツGクラスを比較したら、Gクラスを残しそうですが、櫻井さんはGクラスを手放し、ランドクルーザー70を残しました。
その理由は、「乗り心地や先進の運転支援機能などは文句なしでしたが、街で見掛けすぎるのが嫌だった」というのが一つでした。また、「復刻版のガソリン車では満足できないのか?」と聞いてみると、「MTというのは良いが、SUVはディーゼルエンジン特有の粘りのあるトルクで走りたい」という理由で、逆輸入モデルを購入することを決めたそうです。
櫻井さんの購入したランドクルーザー70は、2021年式のGXLというグレードの新車。最高出力205ps・最大トルク430Nmを発生する4.5L V型8気筒ディーゼルターボエンジンを搭載。組み合わされるトランスミッションは5速MTで、駆動方式は4WDの右ハンドル車です。
櫻井さんのこだわりは、4.5LV8ディーゼルエンジン+5速MT+右ハンドルでした。同じランドクルーザー70でもドバイなどの中東仕様は左ハンドルなので、右ハンドルの豪州仕様を選んだそうです。
オーストラリア仕様のランドクルーザー70の特徴の一つが、ボンネット右サイドからフロントピラーに沿って延びるシュノーケルです。このシュノーケルはエアクリーナーに接続していて、雨季の冠水した時でも、走行できるようになっています。
ランドクルーザー70の購入金額は、約1,000万円に法規対応のためのDPFと改造費約200万円で、合計約1,200万円。メルセデス・ベンツ G400dの新車価格は1,289万円と差がないです。
また、足回りにオールドマンエミューのサスキットを入れたり、シートをレカロに交換するなどカスタマイズされています。
「乗り心地などを追求すれば、Gクラスには遠くおよびません。しかし、ランドクルーザー70用に開発されたV8ディーゼルエンジン、そして30年以上前に開発されたクルマらしく、現在のクルマにはない粗さ、逞しさがあり、これが良い味になっていてクセになる魅力だと思います。
そして、現在のクルマと違って、自分の色に染めていく楽しさもあるのが、ランドクルーザー70の魅力!」と話してくれました。
熱帯化している日本ですが、オーストラリア仕様の装備(シュノーケル!)が活躍することにならないことを祈っています。
(文・写真:萩原文博)