ブレーキが効かずにスカッと抜けたように!その原因と対策は?【バイク乗りがやっちまった失敗談・その2】

■ベテランライダーが経験した間抜けな失敗を繰り返さないで欲しい

Vapor_Rock_01「なんであのとき、あんなことをしたんだろう?」バイクに長く乗っていればミスもします。その理由は無知だったり、うっかりしていたりとさまざまですが、知っていれば、気をつけていれば避けられたかも。

バイク歴30年近いベテランライダーが過去に経験した失敗談をシリーズでお伝えします。同じような間抜けなミスをしないように、反面教師にしていただければ幸いです。

第2回は、自分でも理解不能な行動でリヤブレーキを過熱させてしまった話です。

●料金所で止まろうと思ったらブレーキが!

本来なら適度に抵抗感が生じるブレーキペダルですが、スカッと下まで踏み込めてしまったのです。
本来なら適度に抵抗感が生じるブレーキペダルですが、スカッと下まで踏み込めてしまったのです(写真はイメージ)。

前回の第1回に続いて、これも私が25年くらい前、2stレーサーレプリカに乗っていたときの話です。

たしか東名高速だったと思いますが、しばらく走ってきて東京料金所で止まるために減速したときの話です(当時はまだETCがありませんでした)。

「スカッ!」ブレーキペダルを踏み込んでも、ほとんど抵抗がなく下のほうまで踏み込めてしまったのです。

当然、まったくリヤブレーキは利きません。これには気分的にアセりました。もっとも、実際は同時にフロントブレーキをかけていたので危ないような状況ではありませんでした。特に問題なくフロントブレーキで減速し、そのまま料金所で止まることはできました。

しかし、ブレーキペダルの感触がスカスカになるのは初めての経験だったので、一瞬「!?」という感じでしたが、なにが起きているのかはすぐに想像できました。

リヤブレーキの過熱です。ベーパーロックかフェードが起きたのでした。

●べーパーロック、フェードってナニ?

バイクは前後のブレーキが別系統で、ブレーキペダルはリヤブレーキの操作のみを行います。
バイクは前後のブレーキが別系統で、ブレーキペダルはリヤブレーキの操作のみを行います。

ベーパーロックというのは、ブレーキ液が沸騰してしまって起こる現象です。

バイクのブレーキは油圧で作動するものが多いですが、ブレーキ液の温度が上がりすぎると沸騰して気泡が生じます。気泡は圧縮されるとつぶれてしまって油圧を伝えられなくなるので、ブレーキを十分に作動させることができなくなるのです。

またフェードというのは、ブレーキの摩擦材が過熱したときに、摩擦材に含まれるレジン(樹脂)がガスとなって出てきて、摩擦材とブレーキディスクとの間に入り込んで摩擦力を低下させて、ブレーキの利きを悪化させてしまう現象です。

どちらもブレーキの使いすぎによって起こる現象です。私もそんなに詳しくはないのですが、このときは感触的にベーパーロックだったんじゃないかと思います。

●原因はリヤブレーキを引きずっていたこと

では、どうしてベーパーロックを起こしてしまったのか? それも心当たりがありました。なんでそんなことをしたのか後から考えると理解できないのですが、なんとなく、ずーっとブレーキペダルの上につま先を置いて、軽〜くリヤブレーキを引きずったまま走っていたのです。

我ながらアホです。経験の浅い未熟者っていうのは恐ろしいものだなぁ、と思います。

フロントブレーキのほうが強く利くので、リヤブレーキなしでも十分に停止はできます。
右レバーで操作するフロントブレーキのほうが強く利くので、リヤブレーキなしでも十分に停止はできます。

このベーパーロック、クルマの場合はかなり致命的な現象だと思うのですが、バイクの場合、前後のブレーキは完全に別系統なので、リヤがベーパーロックを起こしてもそんなにヤバくはないのです。減速、停止だけならフロントブレーキでまったく問題なくできますから。微妙なスピードコントロールや姿勢のコントロール、おだやかでスムーズな停止はやりにくくなりますが。

「やっちまったー……」と凹みつつ、15分も走行しているうちに、リヤブレーキの感触も、リヤブレーキの利きも回復してきました。なにせ初めてだったし、知識も浅かったので、「このあとなにかトラブルが出たらイヤだな」と思いましたが、特に問題は起こりませんでした。

●峠道でも再度経験

じつは、リヤブレーキのベーパーロックに関しては、わりあい最近も起こしてしまっています。

それは20数年前とはかなり違う状況で、峠の下り道ででした。さすがにこの20年の間に経験も積んでいるので、うすうす「リヤブレーキ使いすぎかなぁ」と心配はしていたんですが、けっこう急な下り坂で、タイトなコーナーが続く道だったんですね。下り坂でのスピードコントロールと姿勢の安定のためには、リヤブレーキの多用は非常に便利です。そのため、横着して引きずりぎみに使ってしまっていたのでした。

ベーパーロックを起こすとフルードが劣化するという話もあるので、いちおうそのあとで交換しておきました。
ベーパーロックを起こすとフルードが劣化するという話もあるので、いちおうそのあとで交換しておきました。

そんなふうにしばらく走っていたら、またブレーキペダルが「スカッ」。

結局、そのあとは、慎重にフロントブレーキだけで減速して走り続けましたが、やはり15分くらい走ったところでまたリヤブレーキは回復しました。ベーパーロックって前兆とかあまりよくわからなくて、いきなり起こる感じなんですよねー。

実際、公道をスムーズかつ安全に走るためには、リヤブレーキをうまく多用するべきとよく言われます。ただ、ずっと引きずっていると、このようにベーパーロックを起こしてしまいがちなので、急な下り坂でも、直線などでは、たとえ短い距離でも勇気を出してリヤブレーキを離す時間を設けることが必要なんでしょうね。ちゃんとコーナー手前でメリハリのある減速をすれば、それでも安全に走れます。

まめ蔵

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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