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■バイクの輸入車ナンバーワンはハーレーダビッドソン
2023年3月24日~26日の3日間、東京ビッグサイトにて「第50回 東京モーターサイクルショー」が開催されました。
自動車メディアに関わって四半世紀以上の経験を持つ筆者ですが、基本的には四輪が守備範囲ということもあって、恥ずかしながらモーターサイクルショーに初めて訪れることとなりました。
今回の「バイクのコラム」は、東京モーターサイクルショー観覧レポートの第一弾として『#ハーレー女子』なる言葉をフックに会場で感じたことをお送りしようと思います。
会場で、#ハーレー女子 というハッシュタグが珍しくないくらい、ハーレーダビッドソンを愛好している女性が増えているという話を耳にしました。
そもそもハーレーダビッドソンは輸入バイクとしてはナンバーワンに売れているブランドということです。
芸能人やユーチューバーがハーレーでツーリングしている動画を目にする機会も多く、日本でもアメリカンスタイルの象徴といえるバイクです。
会場で目に付いたのは、レインボーエンブレムを与えられた「ナイトスター・スペシャル」。水冷60度Vツインエンジンを積んだモデルです。
カジュアルな雰囲気は、「ハーレーダビッドソンだから」と構える気持ちを溶かしてくれるもので、初めてのハーレーとして選びたいと思わせる当たりの柔らかさを感じさせるというのが第一印象。
シート高も低く、車体もハーレーというイメージからすると絞られており、初めての大型二輪だとしても、さほど気構える必要もなさそうです。
とはいえ、身長165cmで短足系フォルムの五十路ライダーがまたがってみると、ステップまでの距離を遠く感じてしまう部分もありました。シフトやブレーキ操作をするには、かなりシートの前方に座る必要があり、ハーレーらしからぬポジションになってしまいそうです。
もっとも、最近の女性はすらりとした脚の長いスタイルですから、ステップが遠いという印象は持たないに違いありません。ハーレー女子なるキーワードが流行っているのは、日本人のスタイルがよくなっていることの証左なのかもしれません。
●帰ってきたカワサキ・エリミネーターに跨ったが…
筆者の二輪愛車歴でいうと、若いころはヤマハTZR250、いまはホンダCBR1000RR-Rがメインマシンと、セパハンのモデルが好みなので、そもそもアメリカンなライディングスタイルというのは馴染みがないのも事実ですが、もう少し小柄なモデルであれば印象が変わるかもしれません。
そこで、今度はカワサキのブースを訪れ、発表されたばかりの「エリミネーター」に跨ってみることに。
エリミネーターというのは、一世を風靡したカワサキの中型クルーザーモデルで、2023年に新設計のフレームに定評あるパラレルツインエンジンを載せて復活したモデルです。
東京モーターサイクルショーで実車を見た印象は、アメリカンスタイルというよりも、250ccクラスの絶対王者として安定して売れている、ホンダ・レブル250からステップアップするユーザーにピッタリのモデルといったものでした。
メーカー希望小売価格も75万9000円~85万8000円といった手頃な設定となっているのもヒット間違いなしといえそうです。
扱いやすさの目安となるシート高は標準状態で735mm、オプションのローシートで715mmまで下げることができ、また大柄なライダー向けのハイシートに交換すれば765mmに高めることができるという自由度の高さがあるのは、国産メーカーらしい気遣いでしょうか。
ただし、前述したように短足フォルムの筆者がまたがると、エリミネーターであってもステップやハンドルが遠いという印象を受けてしまいました。扱えないほど遠いとは思いませんが、ブレーキ操作で完全に膝が伸びてしまう気がするのは、なんとなく慣れないと感じます。
●スズキの新ストリートファイターは馴染むポジション
カワサキ・エリミネーターの発表は、大阪モーターサイクルショーの開幕日である3月17日ですが、同じ日に発表された注目のブランニューモデルが、スズキ「GSX-8S」です。
こちらは新開発の775cc 2気筒エンジンを積んだストリートファイターに分類されるモデルで、東京モーターサイクルショーでは大きな鏡の前に展示され、自分が跨った姿を確認できるようになっていました。
メーカー希望小売価格は、106万7000円と大型二輪としては手ごろなものとなっていますから、初めての大型二輪として選ぶのに適していそう、というのが事前情報を見たときの感想でした。
実車を跨ってみると、シート高810mmという数値よりも低く感じます。ストリートファイター系にしては肩から力を抜いたポジションでのんびり乗れそうな印象も受けました。
もっとも、このニューモデルで気になるのは、270°位相クランクを採用した新開発パラレルツインエンジンの出来栄え。メカニズムの性格としてはトルクを感じられるエンジンに仕上がっていることが予想されますが、2軸バランサーを採用しているところからするとスムースさを重視したフィーリングも期待できます。
二輪においても電動化が進む時代に、完全に新しいエンジンを開発するというスズキの心意気を評価するには、走らせてみる必要があるのかもしれません。それでも、跨っただけでも扱いやすそうと思えるほど第一印象はいいものでした。
というわけで、東京モーターサイクルショーを初めて訪れた五十路ライダーの個人的な感想はこれだけではありません。来週の「バイクのコラム」では、ホンダやヤマハなどのブースで見て感じたことを報告したいと思います。