■HLCタイヤは、サイズ表示の先頭に「HL」と表示
このほど、横浜ゴムは、EVやハイブリッド車、大型SUVなど高重量車両に対応するハイロードキャパシティ(HLC)タイヤの生産、販売を開始しました。
HLCタイヤは、大容量バッテリーを搭載する電動化車両、ブームになっているラージサイズのSUVに対応する高い負荷能力を備えています。
同社は、新車装着用タイヤ(OEタイヤ)とその補修向けを先行させ、将来的には市場ニーズに合わせ、市販タイヤ市場に向けての展開も考慮しているそう。
HLCタイヤは、従来のXL(エクストラロード)規格(空気圧および負荷能力をスタンダード規格より高く設定した規格)のタイヤでは、負荷能力とそのほかの性能を高度に保持することが困難な高重量車両の増加を受けて開発されたもの。
ETRTO規格(European Tyre and Rim Technical Organization(欧州タイヤおよびリム技術機構)が定めたタイヤとリムに関する標準規格)の乗用車用タイヤカテゴリーにおいて、従来のXLタイヤよりもさらに高い負荷能力を持つ新たなタイヤサイズとして設定されました。
たとえば、275/35R23サイズの負荷能力を比較すると、従来のXLタイヤが900kg(ロードインデックス104)であるのに対し、HLCタイヤでは1000kg(ロードインデックス108)になります(それぞれ単輪での負荷能力。空気圧はいずれも290kPa時)。なお、HLCタイヤは、タイヤのサイズ表示の先頭に「HL」と表示されます。
HLCタイヤの設計には、高い荷重耐久性を維持しつつ静粛性や操縦安定性を確保する高度な技術も必要。横浜ゴムでは、高荷重に起因する故障に対するシミュレーションを徹底したそうです。
そして通常のタイヤに比べて、高荷重時の発熱量とひずみが少なく、荷重耐久性と他性能とのバランスを実現するHLCタイヤ専用プロファイルの開発に成功。
同社は、近年加速しているクルマの電動化や人気が高い大型SUVへの対応を積極的に推進していて、高負荷能力をはじめ、様々な車両特性に合わせたタイヤ開発を進めています。
こうした電動化や自動化など(いわゆるCASE対応)、進化や変化を遂げるクルマの安全もタイヤに支えられているのはもちろんで、タイヤにもより高度な技術が求められています。
(塚田 勝弘)