スズキが2輪レース最高峰「MotoGP」撤退を正式発表。世界耐久選手権EWCもワークス参戦を中止

■MotoGPだけじゃなかったレース撤退

スズキは、2022年7月13日(水)、2022年シーズンをもって2輪レース最高峰「MotoGP」と、世界耐久選手権「EWC」へのワークス参戦を終了することを発表しました。

スズキが2輪レース最高峰「MotoGP」撤退を正式発表
2020年シーズンには、20年ぶりの年間チャンピオンを獲得

MotoGP参戦についてスズキは、2022年5月に参戦終了について運営団体のドルナスポーツと協議していることを公表していましたが、今回合意に至ったということで、正式に撤退することが決定しました。

●EWCでも大活躍だったスズキ

スズキは、MotoGPに2015年に復帰し、2020年シーズンにはGSX-RRを駆るジョアン・ミル選手が、2000年のケニー・ロバーツ・ジュニア選手以来、20年ぶりに年間チャンピオンを獲得して話題となりました。

その後、2021年シーズンもミル選手は年間ランキング3位を獲得。ところが2022年シーズンでは、全20戦中11戦終了時点でランキング8位。同じスズキワークスに所属するアレックス・リンス選手もランキング9位と、チームはやや苦戦している状況でした。

スズキが2輪レース最高峰「MotoGP」撤退を正式発表
2020年にチャンピオンとなったミル選手

今回の発表では世界耐久選手権「EWC」へのワークス参戦も同時に終了することも明かにされました。

EWCでもスズキは、参戦チーム「ヨシムラSERT(スズキエンデュランスレーシングチーム) Motul」が2021年に初の年間チャンピオンを獲得。チームの前身である「スズキ・エンデュランス・レーシングチーム(SERT)」から2年連続17回目、スズキとしては20回目のチャンピオンに輝いています。

スズキが2輪レース最高峰「MotoGP」撤退を正式発表
EWCの2022年シーズン第1戦ル・マン24時間耐久レースで優勝

さらに、2022年シーズンのEWCでも、4月にフランスで開催された伝統のレース第1戦「ル・マン24時間耐久レース」で2年連続の優勝。今シーズンも活躍していただけに、来シーズンの参戦終了は非常に残念な知らせだといえます。

●レース参戦終了後はどうなる?

なお、今回の参戦終了についてスズキは、

「サステナビリティの実現に向け、経営資源の再配分に取り組まねばならない中で、この度のMotoGPとEWCの参戦終了という決断をいたしました。
2輪レース活動は常に技術革新・人材育成の場としてチャレンジをしてきた場所であります。
この度の決断は、レース活動を通じて培ってきた技術力・人材を、サステナブルな社会の実現へ振り向け、新たな2輪事業の創生に挑戦していくことを意味しております」

といったコメントを出しています。

スズキが2輪レース最高峰「MotoGP」撤退を正式発表
スズキのEWC参戦チーム「ヨシムラSERT Motul」

つまり、レースに投入してきた人材や技術、資金などを、サステナブル(持続可能)な社会実現に貢献する新しい2輪事業へ向けるといった感じですね。

スズキは、コメント内にある「新たな2輪事業」について具体的に公表していませんが、サステナブルな社会に向けるということは、電動バイクなど排ガスが出ない2輪車の開発などを意味するのでしょうか?

ちなみに、4輪の自動車メーカーでもあるスズキは、2025年までに100%電気で走る軽EV(軽自動車のEV)を100万円台で発売することも明らかにしています。2輪レースに費やしてきた人材や技術力、資金などが、こうした4輪車のEV開発へ投入される可能性もあります。

いずれにしろ、これからも、我々バイクファンをワクワクさせてくれる、斬新で楽しいバイクを作ってくれることを期待したいものです。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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