アウディらしいスポーティなフットワークと広いキャビン、ラゲッジスペースを備えたバッテリーEVの「Q4 e-tron」の魅力

■一充電走行距離はアウディで最長(現時点)となる576km(WLTCモード)

ドイツのプレミアムブランドの中でも電動化攻勢を強めているアウディ

日本にはすでにアウディの電気自動車e-tronシリーズが8モデル(8タイプ)も導入されていて、2024年には15モデル以上の導入が予定されています。プレミアムコンパクトSUVの「Q4 e-tron」「Q4 スポーツバック e-tron」は、日本市場で大きな存在感を放ちそうな1台です。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」のエクステリア

このほど、日本仕様に先立ち、欧州仕様のQ4 e-tronに試乗する機会がありました。欧州仕様のボディサイズは、全長4588×全幅1865×全高1632mm(日本仕様は全長4590×全幅1865×全高1630mm)で、全幅こそワイドではあるものの、これくらいのサイズであれば許容できるという方も多いはず。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」のリヤビュー

2022年7月11日にはQ4 e-tron、Q4 スポーツバック e-tronの一充電走行距離がアウディで最長(現時点)となる576km(WLTCモード)となり、国土交通省の認証を取得したと明らかにされています。

参考までにトヨタbZ4Xの同モードは2WDが559km、AWDが540kmとなっています。日常使いであれば不足はないはずで、ロングドライブでも急速充電により十分な距離が確保できるはず。

●バッテリーEV化のネガを感じさせないキャビン、ラゲッジスペース

後輪駆動のアウディQ4 e-tronは、EV専用プラットフォーム「MEB」がベース。日本上陸が予告されているフォルクスワーゲンの「ID.4」などと同じプラットフォームがベースになっています。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」の走行シーン

センタートンネルがないうえに、広い後席足元空間など余裕のあるキャビンスペースが自慢で、最上級SUVのQ7にも匹敵する後席の足元空間をアピールしています。4.5m台の全長の割に、ホイールベースは2674mmと十分に長く、身長171cmの筆者が後席に収まると、膝まわりには十分な余裕があります。

感覚的には兄貴分のQ5と同等以上といったところ。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」のリヤシート

同時に、バッテリーEVでありながら520L(スポーツバックは535L)という大容量のラゲッジスペースを備え、電動化のデメリットは積載性の面でもまったく感じさせません。

エクステリアは、先進性を抱かせる精緻なフロントグリルや20インチのアルミホイール(Sライン)が目を惹きます。ボディサイズから想像するよりもボリュームのあるフロントマスクやトレンドである横一文字のリヤコンビランプなど、新しさに満ちています。もちろん、空力性能にも配慮がなされています。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」の20インチアルミホイール

電動開閉式となる冷却エアインレットをはじめ、フロントスポイラーに配置されたディフレクターなどを用意。さらに、立体的なホイールディフレクター、空力が重視された意匠のエクステリアミラーハウジングなどにより、Cd値はQ4 e-tronが0.28に収まり、Q4 スポーツバック e-tronも0.26を達成しているそう。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」の先進的なインパネ

インテリアも先進的かつクオリティの高い仕立てになっています。操作部と表示部がドライバー側に傾けられたコクピット感覚のインパネで、特徴的なセンターコンソールと専用デザインのシフターを用意。

メーターは、10.25インチの「アウディバーチャルコックピット」が備わり、センターにも11.6インチの「MMIタッチディスプレイ」が配置され、こちらもトレンドである2つの大きなディスプレイが並べられています。

操作部はハードスイッチを抑えたすっきりとした造形で、「ARヘッドアップディスプレイ」がコンパクトセグメントとしては日本で初めて導入されています。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」のステアリング

また、ステアリングも特徴的な形状になっていて、上下リムがフラットな形状になっています。真円や楕円型から乗り替えると操作にはやや慣れが必要である一方、メーターの表示部との干渉はなく、メーターの視認性はしっかり確保されています。

●高い旋回性能を誇るフットワークの良さが光る

後輪駆動となるパワートレインは、システム電圧400V、総容量82kWh(実容量77kWh)の駆動用バッテリーが前後アクスル間の床下に搭載されています。そのため、若干フロアは持ち上がったような感覚もありますが、先述したようにセンタートンネルがないフラットなフロア形状と余裕のあるレッグスペースにより、BEVにありがちな上げ底は抑えられている印象です。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」の軽快な走り

運転席に乗り込むと、ステアリングの形状とともに少し戸惑うのが始動(スタート)の方式。ブレーキペダルを踏むだけでイグニッションがオンになり、停車する際は、サイドブレーキボタンを押してブレーキを離すとイグニッションがオフになります。スタータースイッチがないボルボC40などと似ています。

また、Q4 e-tronには、パーキングブレーキのスイッチもなく、自動的に作動する方式になっています。

リヤに1つ配置される駆動用モーターは、最高出力150kW(204PS)・最大トルク310Nmというスペック。驚くほど速くはないものの、モーター駆動らしく応答性に優れているのが印象的で、首都高速の合流時などでもまったくストレスを感じさせず流れに乗ることができます。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」の走行シーン

レスポンスのいい加速フィールは、常識的な速度域までスムーズに続くのが美点で、内燃機関車にはない美点を十分に享受できます。同時に、首都高速のタイトなコーナーでも容易に向きを変えるフットワークの良さも光ります。

ボリューム感のあるボディ形状からもっと安定志向の走りだと想像していましたが、フロントノーズの軽さを活かした俊敏性と、後輪駆動らしい回頭性の良さを備えています。

Audi Q4 40 e-tron S line
「Audi Q4 40 e-tron S line」のセンターコンソール

また、EVらしさを感じさせるのが、回生レベルを3段階からパドルシフトで選択できる点。同時に、アウディ初となる「B」モード(パドルシフトで最大のレベル3に相当)も用意されて、アクセルペダルだけで速度調整が可能な、いわゆる「ワンペダル」感覚の走りも可能です。

EVに慣れている人にとっては、最も回生を高めた状態でもコントロールできるはずですが、急な減速感は、同乗者にとっては少し不快に感じるかもしれません。好みにより異なりそうですが、いずれにしても3段階から選択できますので、慣れながら走行状況や道路などに応じて選べるのはうれしいところ。

20インチタイヤを履く試乗車の乗り心地は、乗る前に相当身構えていたせいか、比較的フラットライド感があります。路面によっては左右に揺すぶられるような振動が伝わってくるものの、想像するよりも穏やかな印象。19インチタイヤを履く標準車の乗り味も気になるところです。

街中から高速走行時も含めた静粛性の高さも一級品で、BEVの利点を最大限享受できます。

●約600万円~のバッテリーEVでも補助金の活用で価格メリットは大

価格帯は、599万円〜716万円で、CEV補助金や地方自治体独自の補助金も受けられれば、さらに買い得感が増します。免税、減税措置も含めればコストの削減が可能で、現実的な選択肢になってくる方も多いのではないでしょうか。

Audi Q4 40 e-tron S line
Audi Q4 40 e-tron S lineのフロントマスク

現時点では、同モデルのCEV補助金は、CEVのホームページには記載されていません。

なお、アウディe-tronの場合、補助金も含めて最大で190万円のサポート、優遇措置(e-tron 55 quattro、e-tron スポーツバック 55 quattroで、個人購入の場合。2022年3月時点)があり、「Q4 e-tron」「Q4 スポーツバック e-tron」もBEVの恩恵が受けられます。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。