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■デザインをブランドにしている会社とコラボしたい
4月28日、株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、同社が持つ自動車用品ブランド「モデリスタ」と、セイコーウオッチ株式会社とのコラボレーションモデル「SEIKO SELECTION MODELLISTA Special Edition」を発表しました。
そこで、この異業種コラボはどのようにして行われたのか、モデリスタでデザインを担当した古長氏に話を聞きました。
── さっそくですが、今回の企画のキッカケを教えてください
「2020年の末、セイコーさんから当社に打診がありました。セイコーさんの「セイコーセレクション」はこれまでも様々なコラボを行ってきたシリーズですが、新しい相手としてデザインをブランドにしている会社を探していたそうです。そこで、当社の名前が挙がったのです」
── トヨタ本体ではなく、なぜ用品メーカーのモデリスタを選んだのでしょう?
「やはり、メーカー本体だと企画や考え方が大きなくくりになってしまうんですね。今回セイコーさんは従来のコラボとは異なる付加価値を求めていたそうで、その点でデザインを前面に出している会社がいいだろうと。先方のデザイナーさんも当社のことを知っていたようですね」
── 今回の製品に反映させた、モデリスタのデザインフィロソフィ「Resonating Emotion(響感の創造)」とは具体的にどのようなものなのですか?
「ベース車に対して共鳴、共振する『Resonation』と、モビリティを躍動的にしたいという『Emotion』を掛け合わせたものです。ふたつのフィールドにはそれぞれ3つのキーワードがあって、たとえば『Emotional Field』の『Direction Arrow Shape』は『矢じり』の形状を用いたシャープな造形を表現するなど、用品の具体的な特徴を示しています」
●クルマのパーツ要素をどうやって時計に落とし込むか
── 各部分についお聞きします。まず「矢じり」をモチーフとした針とインデックス(目盛り)は、先のデザインフィロソフィからの表現ですか?
「そうですね。当初、針については新規に起こさないという話だったのですが、こちらから左右非対称の形状を提案させてもらいました。また、インデックスの矢じり形状はわりと早い時期からの提案で、用品の立体感を反映させた発想です。これは結構コストが厳しかったのですが(笑)」
── 「ルミブライト」という発光素材の使い方も独自のものですね
「はい。ルミブライトの使用自体はセイコーさんからの提案ですが、通常はインデックスのみに使うところ、針と盤面にも施しました。ここはエアロパーツのLEDなどからの発想ですが、夜間の光り形は非常に特徴的になっていますね」
── モデリスタのブランドカラーであるグリーンも印象的ですね
「当初は盤面の周囲のみの提案だったのですが、やや物足りなく、先方と調整しつつどこまで入れられるかに挑戦しました。最終的には秒針もグリーンとしましたが、ここはベタっとした表情ならないよう、淡いグリーンにして立体感を出しているんです。実は通常の用品開発ではグリーンを使うことはほとんどないので、非常に新鮮でしたね」
●キャラクター商品ではない大人の製品を目指す
── 今回、異業種である時計メーカーとコラボレーションを行って、どのようなフィードバックがありましたか?
「非常に短い期間でしたが、同じデザイン開発でもまったく知らないルールやアプローチがあることを知りました。たとえば、今回モデリスタのロゴを入れてもらったのですが、スケールが用品のミリ単位に対してコンマ単位なんですよ。用品ではこんな小さなロゴを使うことはあり得ませんので、とても興味深かったですね」
── 完成した製品ですが、この手のコラボにしては非常に大人っぽい仕上がりです
「そこは狙ったところですね。会社名や車名など、コラボものは往々にしてキャラクター商品的になりがちなのですが、今回は両社のデザイナーが対等な立場で協業をしたことで、子どもっぽくない、大人のデザインができたと思っています。単なる『発注企画』だったらここまでできなかったでしょうね」
── ユーザーを限定しない高いファッション性の実現ですね。本日はありがとうございました。
【語る人】
株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント
開発本部 内外装技術部
デザイン室 スタイルクリエイトグループ
主幹 古長 力
(インタビュー:すぎもと たかよし)
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