意外とマニア!?知られざるOEM車。

クルマの世界だけでなく、家電製品等でも多くみられるOEM製品。

OEMとは、Original Equipment Manufacturerの略で、企業が別の企業ブランド向けに生産を行っている事や、その企業の事を言います。

バッジエンジニアリングとも言われるこの生産形態は、製造する側は多くの販売網で販売することが出来るメリットがあり、販売する側は生産コストを大幅に下げる事が出来ます。

クルマの世界では供給側の企業で既に販売されているクルマをエンブレム交換やパネル交換等をして販売する場合が殆どです。

日産では、軽自動車の販売当初からOEM車のみとしており、供給元のスズキや三菱のクルマを使っていますが、最近では、普通車であるラフェスタハイウェイスターもマツダプレマシーのOEMとして販売しています。

最近では数多くの車種でOEM車が販売されていますが、過去に意外と知られていないマニアックなOEM車を取り上げてみました。

スバル ビッグホーン

言わずと知れたクロカン4駆の名車、いすゞビッグホーンのスバル版。

エンブレム以外はいすゞビッグホーンと同じでしたが、スバル版は初代がロングボディ、ショートボディがそれぞれあり、エンジンは2.8LディーゼルターボにMTとATを設定し、かなり多くのラインナップでした。

2代目はいすゞビッグホーンのモデルチェンジに合わせ、3.2lガソリンのATと3.1lディーゼルターボのMTとATを設定。ロングボディでハンドリングバイロータスのみの設定でした。

ダイハツ デルタワゴン(デルタワイドワゴン)

1976年から、トヨタタウンエースのOEM車として販売。最終型はタウンエースノア・ライトエースノアのOEM車として2001年まで販売していました。

ワゴンのみならず、商用バンもライトエース、タウンエースをベースに販売しており、他にもデルタトラックとして、トヨタダイナや日野デュトロをベースとしたデルタトラックも存在。

ホンダ クロスロード(初代)

ホンダクロスロードと言えば2010年まで販売されていたSUVを思い浮かべる人も多いでしょうが、実はローバーと提携していたホンダは1993年から5年間、ランドローバーディスカバリーをクロスロードとして販売。

ホンダエンブレムこそ装着されているものの、中身はディスカバリーそのもので、修理や整備が出来ないホンダディーラーもあったとか。

いすゞ ファーゴフィリー

いすゞはそれまで、ファーゴはキャラバン、ホーミーのOEMを受けていましたが、ベース車両がエルグランドへ移行したため、ファーゴもファーゴフィリーと名前を変え、引き続きOEM販売を継続。

当初は3.2Lディーゼルターボのみのラインナップでしたが、1年後の98年にはガソリンエンジンも追加販売。

マニアックな所ではエルグランドベースの高規格救急車PARAMEDICⅡもOEM供給されていました。

サーブ 9-2x

GMと提携関係にあったスバルは、GMの子会社であるサーブ向けに先々代インプレッサスポーツワゴンをベースとしたサーブ9-2xをOEM供給。

横から見たらまんまインプレッサですが、サーブ流のフロントマスクは意外にもマッチしており、日本での販売を求める声も少なくなかったそうです。

フロントマスクはしっかりサーブでありながら、ボンネットのインテーク等がスバルらしい所でした。

 

OEM車は販売面では、供給元のベース車を抜くことは殆どありませんが、それでもOEM車が日々増えている所を見ると、企業的には採算が取れているのかと思いました。

しかし、クルマが好きな人々たちの間では賛否両論のOEM車、知っている人はいいが、知らない人はどこのメーカーのクルマかわからず買っている事や、そのメーカーのイメージに反するクルマを販売している事等が挙げられています。

せめてここに挙げたサーブ9-2xのように、エンブレムだけでなく、外装などにも供給先のイメージが出ていればと思いました。

(井元 貴幸)

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