■MAZDA3からの第7世代を超えた存在が最新のCX-5
以前お伝えしたように、2021年11月にマツダCX-5が大幅改良を受けました。
CX-5の前開発主査である松岡英樹氏は、2021年12月末をもって定年を迎えたそうですが、肩書きはどうであれCX-5を育ててきた方。同氏は、今回の改良により、MAZDA3からの第7世代を超えた存在になったと自信を見せています。
今回のビッグマイナーチェンジでは「Sport Appearance(スポーツアピアランス)」「Field Journey(フィールドジャーニー)」という新しい特別仕様車が加わり、CX-5の個性が多様化しています。
前者は筆者のような40代、50代に人気だそうで、後者は新しいドライブモードの「Mi-DRIVE」に唯一「OFF-ROAD」モードが設定されています。キャンプや各種アクティビティを楽しみたい人はもちろん、降雪地域の人にとっても頼もしい相棒になるはずです。
さらに、走りや動的質感の向上が図られているのもトピックス。
第7世代のトップバッターであるMAZDA3から順次採用されている車両構造技術の「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」の考えが取り入れられ、疲労感の少ない走りや乗り心地がさらに改善したとしています。
まず、オンロードでの乗り心地の良さは、すべてのCX-5に適用されるだけに気になるところです。
試乗車は、2.5Lガソリンエンジン仕様の「25S SPORTS Appearance(2WD)」、2.2Lディーゼルエンジンを積む「XD Field Journey(4WD)」の2台で、大幅改良前の2020年モデルと乗り比べもできました。
マイナーチェンジ後モデルであるCX-5は、両モデルともに乗り心地の改善は明らかで、改良前と比べると歴然とした差があります。
低速域のコツコツ感をはじめ、大きな入力を伴う大きめの段差を乗り越えても余計な振動が伝わってきません。とはいえ、足そのものがソフトになってしまったのではなく、引き締まっている中にもしなやかさが感じられるテイストです。
さらに、乗り心地の向上は、街乗り時を中心に静粛性をさらに引き上げていて、一段と静かになった車内空間で快適に過ごせます。
これは、車体フレームに減衰制御構造が採用された効果で、具体的には、車体中央付近に横方向の剛性部材(クロスメンバー)が追加されています。振動だけでなく、操縦安定性の向上に寄与する構造用接着剤の採用も効いていそう。さらに、脊髄がS字カーブを描く形状を維持できるように設計されたシート設計も身体の動きを抑制。
フロントシートは、包まれ感もある良好な乗り心地を享受できます。
CX-5のライバルとして販売の現場で比較されることが多いのは、トヨタ・ハリアーだそう。ほかにも輸入車を含めると、数多くの競合車があります。マツダらしいハンドリングの良さ、運転している手応えを実感できる美点を残しながら、乗り心地の向上はドライバーだけでなく、家族などの同乗者にとっても朗報です。
(文:塚田 勝弘/写真:前田 惠介)