ステランティス、トヨタがそれぞれ米国に電動化車両向けバッテリーの新工場を設立へ

■ステランティスはLG化学と、トヨタは内製化を進める

「CASE」というキーワードのうち、「E」の「Electric(電動化)」の動きが急速に加速しています。ステランティスと韓国のLG化学(LGエネルギーソリューション)は、2021年10月18日、北米向けにバッテリーセルおよびモジュールを生産する合弁会社を設立する覚書を締結した、と発表しました。

ステランティス LG化学
ステランティスとLGエネルギーソリューションが米国で電池の新工場を設立する

両社は、2030年までに米国での販売台数の40%以上を電動車両で実現するというステランティスの目標に向けて、この新しい合弁会社が新たな電池向上を設立することを掲げています。

新工場は、2024年第1四半期までに操業をスタートし、年間40ギガワット時の生産能力を持つことを目指しているそう。新工場で生産された電池は、米国、カナダ、メキシコのステランティスの組立工場に供給され、ステランティス社のブランドで販売されるプラグインハイブリッド車からEVまで、次世代EVに搭載される予定です。

奇しくも同日、トヨタも米国に2030年までにバッテリーEV用を含む車載用電池の現地生産に約3,800億円(約34億ドル)を投資すると発表しました。なお、この投資は、2021年9月に公表された2030年までにグローバルにおける電池供給体制の整備と研究開発を行うための投資約1.5兆円の一部になります(用地・建物の費用を除く)。

米国の電池工場は、車載用電池の現地生産に向けた取り組みを推進する第一歩。トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)が、豊田通商とともに米国で新会社を設立し、2025年からの稼働を目指すとしています。同プロジェクトでは、2031年までに約12億9,000万ドル(約1,430億円。用地、建物の費用を含む)の投資と、現地での新規雇用1,750人を見込んでいるそう。

トヨタ 電動車ラインナップ
トヨタは豊田通商と米国に電池の新工場を設立し、内製化で電動化車両に対応する

トヨタは、これまでパナソニックと手を組み、ハイブリッド車を中心に電池を確保してきました。2020年4月には、パナソニックとプライム プラネット エナジー&ソリューションズを設立し、角形電池の生産が2022年にも開始される見込みです。一方の米国の電池工場では、電池の内製化を推進することで、同国で2030年までに年間150~180万台のZEV(EVやFCVなどのZero Emission Vehicle)を含む電動車を販売する目標に対応するものと考えられます。

現在、米国販売の約25%が電動車で、2030年には約70%が電動車となる見通しとしていて、今後さらなるバッテリーの確保が欠かせません。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる