■5ドアハッチバックとシューティングブレークの価格差は20万円
マイナーチェンジ版の新型フォルクスワーゲン・アルテオンは、少し前にマイナーチェンジを受けたパサートと同様に、フォルクスワーゲンの「MQB」を使って仕立てられたDセグメントモデル。
5ドアハッチバックのファストバックに加えて、2021年7月、新たにシューティングブレークが追加されています。
搭載されるパワートレーンは直列4気筒ガソリンターボの「2.0TSI」で、最高出力272PS/5500-6500rpm・最大トルク350Nm/2000-5400rpm。トランスミッションは、従来どおり7速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)で、駆動方式はフルタイム4WDの「4MOTION(4モーション)」のみとなっています。
マイナーチェンジ前は280PS/5600-6500rpm・350Nm/1700-5600rpmでしたので、最高出力は8PS低くなり、最大トルクの発生回転数も若干変わっていますが、数値以上に力強いパンチ力を味わえます。
公道であればパワー不足を感じさせるシーンはほとんどないはず。
今回、試乗したのは、新設定されたシューティングブレークが「TSI 4MOTION R-Line Advance」、短時間ですが、5ドアのファストバックにも少し乗ることができました。5ドアハッチバックもスポーティな「TSI 4MOTION R-Line Advance」。
両モデルともに245/35R20タイヤを履き、減衰力可変ダンパーであるアダプティブシャーシコントロールの「DCC」が全車に標準装備されています。タイヤサイズは、ほかにもエントリーグレードの「R-Line」向けに245/40R19が用意されています。
最も感心させられたのは、同じプラットフォームであるパサートやパサートオールトラックと比べても、極低速域から乗り心地がいい点。足まわりはそれなりに引き締まっているのに、凹凸を乗り越えた際のショックも上手にいなしてくれますし、上下、左右に揺すぶられるような感覚もあまり伝わってきません。
また、高速域のフラットライド感も素晴らしく、フォルクスワーゲンの美点である直進安定性や高速域のスタビリティも享受できます。
前席と比べると後席の乗り味が少し損なわれるものの、リヤシートの乗員も十分に快適な走りを楽しめます。さらに、後席はシューティングブレークの頭上空間が広くなっていますので、シューティングブレークのスタイリッシュなエクステリアデザインに加えて、高い快適性も享受できます。
荷室容量も5ドアハッチバックの563L-1557Lに対して、シューティングブレークは565-1632Lと若干広くなっています。
さらに、短時間乗った限りでは、5ドアハッチバックとシューティングブレークで乗り心地やボディ剛性感、フットワーク、静粛性などの面で大きな差は感じられませんでした。走りの質感でシューティングブレークの懸念はあまりなさそう。
価格は、アルテオンが567万9000円〜624万6000円。アルテオンシューティングブレークが587万9000円〜644万6000円。20万円の価格差が付けられていますが、シューティングブレークが気になるようでしたら、迷わず買いといえます。
(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)