完全なる作戦勝ち! FCYをうまく使ったmuta Racing Lotus MCが第4戦もてぎを優勝!【SUPER GT 2021】

■ダンロップタイヤ、3戦連続のポールポジション

梅雨明け宣言がなされてすぐの7月17日〜18日に栃木県ツインリンクもてぎで開催の「2021 AUTOBACS SUPER GT Round4 MOTEGI GT 300km RACE」。18日の日曜日にはその決勝レースが行われました。気温は13時ころに33度まで達し、路面温度も51度!誰もが過酷な展開を予想するレースの始まりとなりました。

スタートラップ
スタートラップ

今シーズン2度目のポールポジションとなった11号車 GAINER TANAX GT-R。そして前線の富士ではSUBARU BRZ R&D SPORTがポールポジションを獲得しているため、今シーズンは今のところダンロップタイヤがポールポジションを独占していることとなります。

そして13時10分に切られたスタート。ポールポジションの11号車 GAINER TANAX GT-Rが首位を守り、244号車 たかのこの湯 GR Supra GT、56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが続き、僅差のトップ集団が形成されます。

その後ろでこのもてぎ戦がチーム通算出場100戦目となる4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGと88号車 JLOC ランボルギーニ GT3が争う展開となります。

序盤のトップ集団
序盤のトップ集団

序盤はトップを争うGAINER TANAX GT-Rとたかのこの湯 GR Supra GTの2台と、3番手の56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、埼玉トヨペットGB GR Supra GT、グッドスマイル 初音ミク AMG、JLOC ランボルギーニ GT3の4台によるセカンドグループに分かれていきます。

序盤のトップ集団
序盤のトップ集団

なかなかバトルになりにくい膠着した展開の中、GT300での19周目にグッドスマイル 初音ミク AMGが早めのピットイン。

その後24周目にGAINER TANAX GT-Rとたかのこの湯 GR Supra GTが同じタイミングでピットインしていきます。

GAINER TANAX GT-R
GAINER TANAX GT-R

同じタイミングでピットインした2台のうち、先のピットアウトしたのはGAINER TANAX GT-R。そしてたかのこの湯 GR Supra GTがピットアウトしようという瞬間、その前を通過したのはグッドスマイル 初音ミク AMG!ここでグッドスマイル 初音ミク AMGは2番手に浮上します。

グッドスマイル 初音ミク AMG
グッドスマイル 初音ミク AMG

■FCYを使った見事な作戦でトップ浮上のmuta Racing Lotus MC

ほとんどのチームがピットインを終えた上でGAINER TANAX GT-R、グッドスマイル 初音ミク AMG、埼玉トヨペットGB GR Supra GTという序列になるかと思われました。しかし37周目に35号車 arto RC F GT3に火災が発生し消火活動が行われることになります。

このアクシデント発生直後にすぐさまピットインをしたのが、この時点までピットインを引っ張り続けていた2号車 muta Racing Lotus MC。

ピットイン直後にフルコースイエロー(FCY)が導入され全車が80km/h制限となる中、タイヤ無交換でピットアウト。なんとGAINER TANAX GT-Rの前に出ることに成功します。

muta Racing Lotus MC
muta Racing Lotus MC

見事なFCY作戦でトップに立ったmuta Racing Lotus MC。タイヤ無交換のために速さに不安が残るもののGAINER TANAX GT-Rのもうプッシュを見事に守り切ります。

終盤のトップ3
終盤のトップ3

GAINER TANAX GT-Rにしてみれば、muta Racing Lotus MCの攻略に手間取っているとも言えます。そして手間取っているうちにその後ろには埼玉トヨペットGB GR Supra GTが迫り、3台がもつれ合うような接近戦を繰り広げていきます。

muta Racing Lotus MC優勝の瞬間
muta Racing Lotus MC優勝の瞬間

そんな激しい展開を続けながらチェッカーを迎えたのはmuta Racing Lotus MC。

優勝を喜ぶ阪口良平選手
優勝を喜ぶ阪口良平選手

フィニッシュドライバーとなった坂口良平選手にとってはSUPER GT初優勝の瞬間です。パートナーの加藤寛規選手は通算6度目の優勝となります。

優勝したmuta Racing Lotus MCのドライバーと監督
優勝したmuta Racing Lotus MCのドライバーと監督

LOTUS EVORA MCとしては2勝目、そして新体制となったmuta Racingとしては初優勝となりました。

GT300の表彰式
GT300の表彰式

予選17位からの大逆転劇はSUPER GTの歴史に残る偉業とも言えます。今年からSUPER GTに導入されたFCYが早くもドラマを生み出しました。

次戦はコロナ禍の影響で延期となった第3戦鈴鹿。酷暑が予想される鈴鹿サーキットで8月21、22日の開催です。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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