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■2018年10月以来、2年8ヵ月ぶりのガソリン高騰!
このところ、給油の度にガソリン価格が高くなっていると感じることが多いのではないでしょうか。実際、昨年中頃を機に価格上昇が続いています。
ご存知のとおり、ガソリンには本体価格のほかにガソリン税(53.8円/L)と石油税(2.8円/L)が上乗せされており、さらに消費税(10%)が掛けられている商品だけに、その価格変動には敏感にならざるを得ません。
そもそも、なぜ価格が上昇しているのか、そしてこの状況がいつまで続くのかが大いに気になります。
●レギュラーガソリンの全国平均価格が157円/Lまで上昇!
かつては100円/Lを切っていた時期もあるレギュラーガソリンですが、現在は157円/L(7月5日時点)と、その当時に比べて60円/L近くも価格が上昇していることに改めて驚かされます。
そこで今回、経産省・資源エネルギー庁が公開しているデータを使って、価格推移をグラフ化してみました。
すると、13年前の2008年夏にもレギュラーガソリンの価格が180円/Lを突破していた時期があったことがわかります。
これはリーマンショックの影響によるもので、翌年早々には一旦106円/Lにまで急回復していますが、その後、麻生、鳩山、管、野田内閣と目まぐるしく首相交代が続くなか、景気悪化と共に再びガソリン価格が160円/L近くにまで上昇。
その後、安倍内閣となり2013年6月に日本再興戦略「アベノミクス」を打ち出したことで景気回復が進み、一時は170円/Lまで上昇していたガソリン価格が2016年に110円/L台にまで回復します。
しかしながら、その後の原油価格上昇などにより、再び小売価格が上昇し始め、2018年10月には160円/L台にまで到達。
このようにガソリン価格は経済情勢や原油価格の影響を受けて、幾度となく変動を繰り返しており、現在も約2年8ヵ月ぶりに高値水準になっているという訳です。
●コロナ禍に伴う原油の需要減に備えた産油国の「協調減産」が原因
今回のガソリン価格上昇は、OPEC(石油輸出国機構)にロシア、メキシコなどOPEC非加盟産油国を加えたOPECプラスがコロナ禍による需要減を警戒して、2020年5月から原油の生産量を絞る「協調減産」を開始したことが大きく影響しているようです。
「協調減産」とは、原油の供給過多に伴う原油安を回避するために産出量を減らす戦略を指します。
世界レベルでワクチン普及や経済対策が進み、原油需要が持ち直せば産油国が増産に動いて原油価格上昇に歯止めがかかるものと予想されますが、現在「協調減産」に関する交渉が難航している状況。
現時点でコロナ禍の収束時期が読みきれないことから、今暫く減産して原油相場の安定を図ろうとする側と、エネルギー市場の回復基調を先取りして増産に転じたい側がOPECプラス内で衝突しているようです。
具体的には2022年末まで「協調減産」が必要とするサウジ、ロシアに対して、アラブ首長国連邦(UAE)がこれに強く反対しており、交渉が決裂している状況。
原油の需給バランス調整を牛耳っているOPECプラスの戦略は、世界のガソリン価格相場に大きく影響するだけに、今後の先行きが注目されます。
【関連リンク】
経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html