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■多通行帯道路の右折時の事故を防止するため、スピードの出ない原付や自転車に適用
●決められた場所で2段階右折をしないか禁止場所で2段階右折をすると処罰
排気量50cc以下の原付(原動機付自転車)は、最高速度が30km/hに制限されています。したがって多通行帯道路の交差点では、クルマやバイクと同じように小回り右折すると危険なので、2段階右折(大回り右折)することが決められています。
原付で適用されている2段階右折の方法と違反行為について、解説していきます。
●なぜ2段階右折が必要なのか
原付は、誰でも気軽に乗れるバイクですが、その分最高速度は30km/hに制限されています。かつては原付もクルマや一般のバイクと同様、右折は右折車線から曲がる「小回り右折」が認められていました。しかし、発進性や加速性が鈍い原付ではトラブルや事故が発生しやすく、危ないという意見が多く問題となっていました。
これを受けて1986年道路交通法の改正によって、それまで軽車両に適用されていた2段階右折「大回り右折」が原付にも運用されることになりました。軽車両とは、エンジンやモーターなど原動機を持たない車両で、自転車やリヤカー、馬車、人力車などが該当します。
●2段階右折が必要な交差点と右折方法
自転車などの軽車両には、2段階右折が義務付けられていますが、原付は決められた条件の交差点のみで2段階右折をすることが定められており、適用が限定されている点に注意が必要です。
2段階右折が必要な交差点とは、進行方向の車線が三車線以上の多通行帯道路で、2段階右折禁止の標識がでていない交差点です。
2段階右折は、以下のような手順で行います。
・交差点が近づいたら道路の左側に寄り、手前で右折のウィンカーを作動させる。
・ウィンカーを作動させたまま青信号で交差点に進入し、渡りきった交差点左端でウィンカーを止める。
・車両の向きを90°右折方向に変えて、右折路側の信号が青になったら道路の左側を直進する。
また、直進矢印や右折矢印が表示される交差点の対応は以下の通りです。
・2段階右折が必要な状況で、正面の信号が赤で直進専用の矢印が出ている場合は、直進できるので2段階右折を行います。
・正面の信号が赤で右折専用の矢印が出た場合でも、2段階右折してはいけません。赤信号なので信号無視になります。
●2段階右折に関する罰則
2段階右折すべき交差点、あるいは2段階右折の標識のある交差点で一般バイクのように小回り右折すると、以下のように違反点数と違反金が科せられます。右折した信号は赤なので、状況(警察官)によっては信号無視違反で摘発される可能性もあります。
逆に、2段階右折禁止の標識が立てられている、あるいは2段階右折が禁止されている交差点で2段階右折をするのも違反です。
・交差点右左折法違反:違反点数1点、違反金4000円
・信号無視:違反点数2点、違反金6000円
また、2段階右折の対象でない一般のバイクが2段階右折を行うと違反になります。大き目のバイクが交差点の左端に停車すると通行の妨げになって危険という理由です。この場合も、違反点数と違反金が科せられます。
2段階右折は、発進性や加速性の鈍い原付のための特別なルールですが、守らないと他車に迷惑をかけたり事故を起こす原因になります。自分だけでなく、周りのクルマやバイクの安全のために、面倒だと思わず守りましょう。
(Mr.ソラン)