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■次世代自動車についての意識調査
近年、地球温暖化対策として「自動車の電動化」が大きな話題を呼ぶと共に、各自動車メーカーでは、EV(電気自動車)をはじめとする、様々な次世代自動車を開発・発売しています。
一方で、こういった自動車の新しい流れについて、一般のユーザーはどう思っているのでしょうか? 企業マーケティング向けに顧客の反応可視化ツールを提供するスパコロでは、全国20〜60代の2255名を対象に、「次世代自動車についての調査」を実施。
その結果、エコだと思うカーブランド1位はトヨタ、将来、自動車メーカー以外の企業が次世代自動車を作ったら乗ってみたいブランド1位はアップルであることなどが分かりました。
●トヨタを選んだ人は46.8%
今回の調査は、2021年5月7日(金)にインターネットによりアンケート形式で行われました。
その結果、まず「エコだと思うカーブランド」では、前述の通り、46.8%でトヨタが1位。
以下、2位が日産31.5%、3位はホンダ18.9%と続きます。
やはり、トヨタは1997年に世界で初めて量産ハイブリッド車の「プリウス」を発売し、現在でもラインアップに数多くのハイブリッド車を出していることから、一般的にもエコなイメージが大きいのでしょう。
また、FCV(水素燃料電池車)の「ミライ(MIRAI)」の発売や、最近ではガソリンの代わりに水素を燃焼させる「水素エンジン」を搭載した「カローラスポーツ」をレースでテストするなど、様々な取り組みがユーザーに強い印象を残しているのだと思われます。
ちなみに、10位まで国産ブランドがひしめく中、4位にはアメリカのEVメーカーであるテスラがランクイン。日本でも、徐々にエコなカーブランドとして認知され始めているようです。
●購入や検討するメーカー1位は?
調査では、各メーカーへの次世代自動車に関するユーザーの認知度や利用状況(購入の検討、購入経験あり、現在利用している)などについても調べています。ちなみに、ここでいう次世代自動車とは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、BEV(ガソリンを使わない電気自動車)、FCVといった、環境にやさしいクルマとされているモデルを指します。
結果は、「認知」する人が最も多かったのがトヨタの51.6%で、購入の検討17.3%、購入経験10.1%、現在利用8.2%と、全ての項目について1位に。
次に、認知が多いのは日産の40.5%で、購入の検討は7.9%、購入経験は3.4%、現在利用は2.5%。
認知の3位はホンダの28.4%で、購入の検討5.8%、購入経験3.0%、現在利用2.7%となっています。
調査を実施したスパコロでは、この結果について、次世代自動車を作る企業としてユーザーがメーカーを認知している人のうち、「2~3割が購入の検討に残り、そのうち約半分が実際に購入に至る」という傾向があるといいます。
そして、「認知・購入の検討において高い数字を誇るトヨタが市場優位を保っている」ことが分かるとコメントしています。
●トヨタ車からの乗り換えで選ぶブランドは?
さらに、調査では、トヨタ車のドライバー477人に、「次世代自動車に乗り換える場合にどのブランドを選ぶか」についても聞いています。その結果、67.5%が「トヨタ車に乗り続ける」、32.5%が「他ブランドに乗り換える」というものに。
なお、トヨタ車以外を選んだ人の内訳は、1位が日産の21.3%で、以下、2位ホンダ11.6%、3位レクサス6.5%と続きます。
これについて、スパコロは「次世代自動車利用率の最も高いトヨタでも、ドライバーの3人に1人は他ブランドを選択することがわかる結果となりました。自動車メーカー各社がEVシフトを発表しているなか、現在利用率1位のトヨタも今後の展開に目が離せない展開となりそうです」とコメント。
現在、国内で大きなシェアを占めるトヨタですが、今後はそういった勢力図に変動が起こる可能性もあることを指摘しています。
●アップルに期待するのは画期的なクルマ
近年、世界的な「クルマの電動化」の流れは、アップルやグーグル、アマゾンなど海外の巨大IT企業をはじめ、国内でもソニーなどの異業種企業が自動車業界へ参入する動きを見せていることも大きな話題です。スパコロでは、この点についてもユーザーの意識を調査。「新規参入したら乗りたいブランド」について聞いています。
その結果は、前述した通り、1位はアップルの15.5%。以下、2位はソニー13.9%、3位はパナソニック10.3%、4位がグーグル8.4%、5位はシャープ4.1%、6位は日立4.0%、7位は東芝3.4%、8位がアマゾン2.7%、9位はNEC2.5%、10位は富士通2.5%という結果になりました。
アップルは、最近「韓国のヒュンダイでアップルカーを作る」とか、「日産で作る?」といった報道が出るなど(いずれも定かではないようですが)、何かと自動車業界参入の話題が多いことも影響しているのでしょう。
ちなみに、アップルを選んだ理由については、「既存のメーカーでは考えられないような画期的なクルマを開発してくれそうだから」「アップル製品との連携で安全に動きそう」「自動運転車の幅が広がりそう」など、様々な期待の声が挙がったようです。
なお、調査ではほかにも、新しくクルマを購入・買い替える場合、価格を気にしないのであれば環境にやさしいクルマ(次世代自動車)とガソリン車のどちらを買いたいと考えますか?」という質問を実施。
「環境にやさしいクルマ」と回答した人の合計は74.7%で、「ガソリン車」と回答した人25.3%を大きく上回っています。
これについて、スパコロは「価格を気にしないのならば3/4が環境にやさしい車に乗りたいと考えている」と分析しています。
(文:平塚 直樹 *写真はイメージです)