クルマを買い替えたのに旧いクルマの自動車税納付書が来た。払う義務はある?【クルマの税金基礎知識・2022年版】

■自分の名義がどこまで続いていたかがポイント

●ルールを知って、税金に備えよう。

自動車を所有している人は、「自動車税(種別割)」または「軽自動車税(種別割)」を毎年払う義務があります。

毎年5月頃に送られてくる納付書ですが、「今年クルマを買い替えたのに、前のクルマの自動車税種別割の納付書が来た」という方はいませんか? 今年の自動車税は新車注文時に払ったはずなのに、過去のクルマの税金まで支払わなければならないのでしょうか? こんな時にはどうしたらいいのか、解説していきます。

●県税と市町村税、自動車税と軽自動車税の違い

自動車税
自動車税は4月1日時点の所有者(所有権留保の場合は使用者)宛てで送られてきます。

国に納める税金を国税、地方自治体に納める税金を地方税と言いますが、自動車税は地方税のひとつです。

地方税は都道府県に納める「都道府県税」と、市町村に納める「市町村税」に分かれており、自動車税は都道府県税、軽自動車税は市町村税になります。

都道府県税である自動車税の方が、軽自動車税よりも早く納付書が届く傾向にあり、自動車税は4月1日現在で、クルマの所有者となっている個人(法人)宛てに送られてきます。したがって、4月~5月に新車が納車された方には、それまで所有していたクルマの分の納付書が届くわけです。

また、3月末ごろに新車が納車された方でも、下取車があった場合には、古いクルマの自動車税納付書が届くことがあります。このような形で納付書が届いた場合には、古いクルマを引き取ってもらった販売店へ相談しましょう。

●クルマを使った分はしっかり払うのが税金

自動車税の納税の義務は、毎年4月1日時点の自動車保有車に対して科せられ、毎年5月の初旬に納税通知書が届き、5月31日(または6月1日)が納税期限となっています。

古いクルマの自動車税納付書が届き、満額を支払ってしまった場合でも、そのクルマに対し廃車(抹消手続き)が行われれば、月割り計算をされ、自動車税は還付されます。ただし、このケースに該当するのは、ごく少数です。

これは、自動車販売店で新車を購入し、元々保有していたクルマを下取りに出した場合、どれだけ古いクルマでも即廃車とはならず、一旦、所有者名義をユーザーから自動車販売店へ名義変更を行うためです。

車検証
クルマを手放した日ではなく、車検証上の名義が変わった日が、ポイントとなります。

新車の納車日=下取り車の名義変更日とはならず、名義変更までには1週間ほどの遅れが生じます。仮に3月25日に新車が納車されても、下取り車の名義変更が4月2日に行われたとすれば、自動車税納付書は販売店ではなくユーザーに届きます。

このようなケースで、納付書が届いた場合には、クルマを下取りしてもらった販売店に相談してください。納付書を販売店が預かり、代わりに自動車税を納付してくれるか、ユーザーが自動車税を納め、納付分を販売店がユーザーへ返金するという2つの方法のどちらかが提示されると考えられます。

●新車の納車が4月1日以降、5月末までの場合はどうなる?

自動車税種別割の基本的な考え方は、4月1日現在の自動車保有者に課税義務が課せられるというものです。月割りという考え方はなく、1年分が課税されます。年度の途中で移転登録(名義変更)が行われても、前の所有者に1年分が課税され、新しい所有者には翌年度から課税されるのが原則です。

たとえば、4月25日に新車が納車された場合でも、4月1日から25日までの間、クルマを使っていれば、1年分の納税義務が発生するというのが、法解釈的な考え方になります。

しかし、新しく納車されるクルマの分の自動車税と、古いクルマの自動車税を両方払うというのは、ユーザー側にすると納得いかない部分もあります。自分は1ヵ月しか使っていないのだから、新名義人が残りの11ヵ月分を支払ってくれと思うはずです。

こういった話になると、税の徴収元である都道府県や市町村は関与してくれません。クルマの受け渡しを行う当事者間で、取り決めをすることとなります。

ショールーム
残期間の自動車税を誰が負担するのかは、クルマのやり取りをする当事者間での話し合いです。販売店や買取店と話をし、お金の問題はクリアにしておく必要があるでしょう。

販売店への下取りの場合、筆者の経験上では、2つの方法を取っていました。一つは、納付書を販売店が預かり、1年分の自動車税は販売店が支払う方法です。ただし、クルマを使用した月数分の自動車税を月割りにして、販売店がユーザーから徴収します。

もう一つは、ユーザーが1年分の自動車税を支払い、販売店は名義変更した月から翌年3月までの自動車税相当額を月割りで計算し、ユーザーへ支払うというものです。

これは、一つの例であり、すべてのディーラーや買い取り業者が同じ手続きをしてくれるわけではありません。下取り(買取)金額に、自動車税相当額を含み、自動車税還付のような形で返金がない場合もあります。クルマを下取りや買取に出す際には、クルマの名義変更後の自動車税がどう処理されるのか、確認しておきましょう。

自動車税種別割の納付期限は、通常5月末までです。上記のケースは、4月1日から納付期限までの間にクルマが入れ替わることを想定しています。

クルマの入れ替わりが6月1日以降となる場合には、通常どおり、自動車税種別割の納付を行う必要があるので、忘れずに納付しましょう。

(文・写真:佐々木 亘

※この記事は2022年5月10日に再編集しました。

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この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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