実験!意外と知らない、前のクルマのドアミラー角度が合っているかを知る方法とは?

■周囲のクルマの動きは一律ではない

クルマで道を走るのはあなただけではありません。たいていは周囲にもクルマが走っています。

自分の前をいく前走車、自分の後ろからついてくる後続車、反対車線をこちらに向かってくる対向車のほか、歩行者や自転車、ときにはのら犬、のら猫などもいるわけです。

さらには、周囲を走るクルマの大多数は良識派が多数を占めてはいるものの、中には周囲状況に目もくれずにかっ飛ばすクルマ、疲れているのか右に左にふらついて怪しげな挙動を示すクルマ…様々な走り方のクルマが混在しています。

●のろ~いクルマに出くわしたら?

荷物満載のクルマ
業務上致し方ないとはいえ、このクルマのように、荷室高いっぱいにまで荷を満載しているクルマもある。これではいくらルームミラーが正しく位置合わせしてあっても、後方視界やゼロとなり、ドライバーはドアミラーしか頼りにできなくなる。そのドアミラーさえ合っていなければ・・・?

あまりにも低スピードで、自分以降のクルマの流れを乱している前走車に出くわすことがあります。このようなクルマのドライバーを、そのクルマの後ろのガラスを通してシルエットだけ見ると、何かチラチラと下を見て書類か何かに目をやっていたり、スマートフォンを眺めていたりと、運転に集中していない様子がうかがえる場合が多いものです。

そして当人は、自分の後ろにクルマがズラーッと続いていたり、イラつかせている可能性があることも認識していないのでしょう。

レアケースではありますが、こういったクルマの中にはドアミラーを合わせていないクルマもちらほら…。運転時、数秒間に1回、ドアミラーを見ている人なら、ミラーが合っていないことくらい早くに気づくはずなのに、そうでないということはそのひとは後方を認識することに希薄ということです。

筆者ならこのようなクルマに出くわした場合、抜かしたいのは山々のところ、せっかちな性分なのに耐え難きを耐え、そのクルマが常に自分の前にいるままになるようにしています。そしてそのクルマが曲がるか、信号待ちではぐれるタイミングを待つ。

要するにそのクルマが自分から離れるように持っていくのです。

これは後ろにも気を向けない人なら後ろ以外への状況把握も希薄だろうという警戒心があるからで、確率は低いでしょうが、抜かした後に追いつかれ、追突されるかも知れないことを考えたら、ハナから相手が離れるような行動をこちらが取ったほうが得策です。

いちど、抜かすことができないためにこちらがまわり道をし、別の幹線道路に入ったらまたそのクルマに出くわして「うぉっ!」となったという、「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の探偵コントドラマみたいなことになったこともありましたが…。

●前走車がこちらを認識しているかを知る目安

これは筆者が考えた方法ですが、走りながらででも信号待ちででも、前走車のドアミラーが合っているかどうかをどのように見分けるか?を述べますので、えらいマニアックなものに感じるかも知れませんが、よかったら参考にしてみてください。

といっても、何も難しいことはありません。簡単、簡単。

前走車
前走車のこの位置にずれて・・・

先行車の右のドアミラー角度の如何を確認したい場合、先行車の右ドアミラーが見える位置に自分がちょいとずれればいいのです(もちろん、路面のセンターラインを超えない範囲で)。そのときに先行車の右ミラーに、そのドライバーの顔が見えれば、そのミラーはきちんと合わせられていると判断できます。

要するに、鏡を通して「こっちからそっちが見えているなら、そっちからもこっちが見えているでしょ」という理屈です。これは左のミラーも同様。だいたい、私たちがあまり仲良くしたくない白バイ警官が、ターゲットのクルマから悟られないように追走するさいにはこの原理を利用しているくらいで、そのクルマのミラーが合っていようといなかろうと、自分(白バイ)がガラス=直接視界からもミラーからも、ドライバーの姿が見えない位置につくといいます。

実はこの確認法、筆者が知っていた、昔のクルマの室内から動かす電動リモコン式ではない手動式フェンダーミラーの調整法(フェンダーミラーの前にしゃがみ、ミラーを通じて運転席が見えるように調整する)を応用したものです。

ヘッドレスト
ヘッドレストにかぶせた黄色い不織布を、ドライバーの顔に見立てる

実験してみましょう。コロナ禍下に於ける在宅勤務時代の悲しさ、すべてひとりで行った撮影で、アシスタントもモデルもなし。ここではヘッドレストにひっかけた黄色い不織布をドライバーの顔に見立てることにします。

前走車
ドアミラーを通じて黄色い不織布=ドライバー(赤い○)が見えれば、そのクルマのドライバーは後方視界を得ようとしていると判断できる。

このクルマを先行車、カメラ位置を自分のクルマからの視界として、右ドアミラー内に黄色い不織布=ドライバーが見えていれば、そのクルマのミラー位置は合っていると判断できます。ただし、ここではわかりやすいように運転席のドアガラスを下げて撮影していますが、エアコン完備の時代、窓を閉めて走っているクルマが多く、ガラス面に周囲のビルなど、景色が写っていてドライバーの顔まで見えないことも多いです。

もしドライバーの顔が見えなければ、そのミラーはあさっての方向を向いているわけで、そのクルマのドライバーは、後方視界の確保に無頓着と判断できる。

光線の具合によっては見えるときもあるのですが、とにかくこの理屈はあくまでも目安とお考えください。目安ゆえ、ドライバーの顔の一部でも見えていれば充分です。鏡を通して知らないひとと目を合わせても気まずいだけでしょ?

●ドアミラー、ルームミラーはどの角度に?

ところで自分のクルマのミラーこそどう合わせるのが正しいのか? 教習所で習ったでしょうが、この春に免許を取ったばかりで習ったことが頭の中で混濁し、忘れかけているひとがいるかも知れませんので、参考までにあらためて。

ミラーの合わせ方
右のドアミラーなら、ミラー幅の左1/4~1/3に自車の一部が見えるように調整する。

まず、シートを運転ポジションに合わせた後、右のドアミラーなら鏡面の左側、左のドアミラーなら鏡面の右側、それぞれ1/4~1/3に自車の車体が写るように角度調整する。これは、後続車、左右、左右斜め後ろのクルマと自車のおおよその距離をつかむためです。

ミラーの合わせ方
左のドアミラーも同様。

車体がまったく写らない角度にしているひとがいますが、これでは周辺車両との距離がつかめません。左右のミラーに写る隣り車線のクルマが自車を追い抜こうとしたとき、そのクルマがミラーから消えかかった(=完全に消えない)段階で、ドアガラス内にが直接現れる角度であればOKです。

ルームミラー合わせ方
ルームミラーは、右ハンドル車なら右側1/5~1/4に自分の頭左半分が写るようにする。

室内側のルームミラーも似たようなもので、横長ミラーの右側1/5ほどに自分の頭左半分が入るようにした上で、リヤガラス、そしてリヤガラスの枠をも含めながら車両後方が見えるように角度調整する。頭とガラス枠を入れることで、自分&自車と後方車両の距離を把握するためです。

調整はきちんとミラー枠をつかんで行ってください。ミラー面に触れると手の脂が付着し、いったん気になるとずっと気になるものです。外国の教習所では、このような細かいことまで含めて教えるそうな。

そうそう、もうひとつ。朝と夜とでは、正確にはミラーを調整し直す必要があります。これはクルマから離れている間に鏡が勝手に動いたのではなく、昼の活動中に、人間の体のほうが縮んでいるため、ミラーの見え方が変わってしまうのです。といっても、ドアミラーはそれほどでもなく、顕著なのはルームミラーのほう。

筆者もある本で読んで「なに? 調整のし直しの必要? ホントかいな?」と疑ったものなのですが、試しに自分のクルマで注意深く認識してみたら、朝出かけた先でクルマを降りる直前と、夜に乗り込んだ直後とでは、確かにルームミラーからの視界角度は変わっていました。

いや、ミラーが動いたのではなく、筆者の座高が縮んでいたわけです。縮んだということは、ミラーは少し下に向ける必要があるわけで…。

確かに「人間の体は重力の影響で昼の間に2センチほど縮んでおり、夜寝ている間に戻っている」とは小学生の時分に読んで知っていた事ですが、ルームミラーの視界変化がそれを実証してくれた形です。朝になったら再度上に傾ける…個人差はあるでしょうが、その辺のことも意識してみてください。少なくとも身長176cmの筆者にはあてはまることでした。

最初は面倒に感じますが、いったん習慣化してしまうと何とも思わなくなりますヨ。

(文/写真:山口尚志