「シーマ現象」と呼ばれたバブル期の名車を復刻! 日産が女優・伊藤かずえさん所有の初代モデルをレストア

■あの「カミソリまこ」でご存じ(?)伊藤さんが30年以上乗る愛車

日産は、3月17日、女優の伊藤かずえさんが30年以上乗り続けている同社の高級セダン「シーマ」の初代モデル(Y31型)を、2021年4月からレストアすることを発表しました。

初代シーマといえば1988年に発売されて大ヒット、当時「シーマ現象」という言葉が生まれたほどの名車です。また、伊藤さんも、1980年代に「不良少女と呼ばれて」や「スクール☆ウォーズ」など、大人気テレビドラマに出演していたことは、50歳代前後の当時を知る多くの人にはお馴染みですね。

まさに、80年代を代表するクルマと女優さんの「夢の協演」とも言える今回のプロジェクトは、一体どのようにして実現したのでしょう?

●プロジェクト開始のきっかけは?

日産によると、2020年10月に、伊藤さんが愛車のシーマを一年点検に出す際に、SNSに投稿したことがきっかけだといいます。伊藤さんが30年以上にわたり、初代シーマを愛車として大切にされていることが、SNSやメディアなどで大きな話題となったのです。

日産が女優・伊藤かずえさん所有の初代シーマをレストア
初代シーマと伊藤かずえさんのツーショット

そして、伊藤さんの投稿を読んだ一般の人たちから、日産に対し

「やっちゃえ、日産!」
「日産はレストアを検討して!」

など、多くのコメントが集まったといいます。

その反響の大きさに、日産社内でも「何かできないのか」との声が上がり、有志によるチームが立ち上がり、今回のレストア・プロジェクトが立ち上がったのです。

●高価でも飛ぶように売れた初代モデル

伊藤さんが所有しているシーマは、前述の通り、1988年に発売された初代モデル(Y31型)です。

日産が女優・伊藤かずえさん所有の初代シーマをレストア
初代シーマ「タイプIIリミテッド」

当時はまさにバブル経済の真っ最中。ちなみにバブル経済とは、不動産や株式などの時価資産価格が、投機によって経済成長を超えるペースで高騰し、実体経済から大幅にかけ離れた経済状態のこと。日本では1980年代後半〜1990年代に起こり、世の中は好景気により高価格なクルマやブランド品などが、バンバン売れた時代です。

そんな中で発売された初代シーマ。名前はスペイン語で「頂上」を意味します。

開発コンセプトは「日本的な味を持った、世界に通用する新しいビッグ・カー」。従来の国産大型セダンになかった伸びやかで気品あるスタイリングとインテリア、パーソナルな乗り味や優れた運動性能など、数々の新しい価値が大好評となりました。

高級車で価格もかなり高かったにも関わらず、初代シーマはまさに飛ぶように売れ、当時の経済メディアが「シーマ現象」と呼んだほどです。発売翌年の1989年には物品税廃止(消費税導入)も追い風になり、当時のいわゆる「3ナンバー車ブーム」の発端にもなりました。

ちなみに、伊藤さんが所有しているモデルは、3L・V型6気筒のVG30DET型ターボエンジン(最高出力187kW=255ps)や、先進の電子制御エアサスペンションをもつ最上級グレード「タイプIIリミテッド」。まさにバブルの象徴ともいえるモデルです。

日産が女優・伊藤かずえさん所有の初代シーマをレストア
3L・V型6気筒のVG30DET型ターボエンジン

●シーマの思い出とは?

伊藤さんは「父と塗りなおした塗装やへたってしまったシートなど思い出が詰まっているけれども、きれいにしたい部分がどうなるのか楽しみです」とコメント。愛車がリフレッシュして帰ってくることが待ち遠しいようです。

伊藤さん自身も、前述の通り、1980年代に大、大、大ヒットした「大映ドラマ」と呼ばれるテレビドラマ・シリーズに数多く出演した女優さんです。筆者的には「不良少女と呼ばれて」の「カミソリまこ」こと長沢真琴役を演じた伊藤さんの演技が、当時かなり衝撃的でした。

伊藤麻衣子(現・いとうまい子)さんが主演したこのドラマは、当時のいわゆるスケバン、「不良」のレッテルを貼られた少女たちの物語。劇中の伊藤かずえさんは、指に両刃カミソリを挟んで敵を倒すのが得意技で、そこからついたアダナが「カミソリまこ」なのです。

余談ですが、当時10代の筆者は、まだ若かったこともあり、恥ずかしくて人には言えませんでしたが、その伊藤さんの姿がかなり格好良く思え、けっこう好きでした。

なお、今回のレストアの状況などは、日産公式Twitterなどで随時発信されるそうです。

(文:平塚直樹/写真:日産自動車)

【関連リンク】

日産公式Twitter
https://twitter.com/NissanJP

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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