■6気筒と4気筒、2種類のエンジン
「パパがね、昔スープラに乗っていたことがあるんだって。ずっと前みたいだけど」
助手席の彼女がそんな話をはじめた。ボクの愛車はトヨタ「スープラ」。スポーツカー好きのボクは、発売と同時にオーダーした。そんなボクの愛車の先輩に、彼女の父親がかつて乗っていたとは、なんという偶然だろう。
A70だろうか、それともA80だろうか。いずれにしろ、スープラを選ぶなんて彼女の父親はクルマ好きのようだ。
ところで、「A90」と呼ばれる現行型スープラは、以前のスープラと大きく違うことがある。トヨタ単独で開発したわけではないことや、トヨタの工場で作っているわけではないこと、それから海外生産の輸入車だというのもそうだけど、ボクは最大の違いはエンジンだと思っている。
以前のスープラは直列6気筒エンジン専用車だったことだ。そもそも、スープラのルーツは4気筒エンジンを積む気軽なスポーツクーペの「セリカ」の高性能バージョン。日本ではしばらく「セリカXX」という名前だったほどである。
●ウチ、寄ってく!?
いっぽう最新のスープラは、6気筒エンジンもあるものの4気筒エンジンも用意されている。
この4気筒モデル、もちろん動力性能は6気筒モデルにかなわない。最高出力は6気筒モデルの387ps(当初の仕様や欧州向けモデルは340ps)に対し、4気筒モデルは排気量が小さく197psと258psだ。
だけど、エンジンの重量の違いから鼻先が軽く、ハンドリングは4気筒モデルのほうが優れている。峠道をより軽快に走れることが4気筒モデルの魅力なのだ。だからボクは4気筒モデルを選んだ。
「そうそう、新しいスープラにも興味があるみたいだよ、ウチのパパが。だからアナタがあたらしいスープラに乗っていると話したら、『今度見せてほしい』だって。どうする? せっかくだから、今日はこれから私の実家へ寄っていく?」
彼女の口から、思いがけないオファーが。もちろん、彼女の実家にはまだ行ったことがない。
……今から? まあ、それも悪くないかも。ちょっと緊張するけど。
(文:工藤 貴宏/今回の“彼女”:くるす蘭/ヘア&メイク:長谷川 さほ/写真:ダン・アオキ)
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