「ホンダeってアレみたい」と思った人が何人かいたハズ。日本の伝統的モーター駆動のマシンと言えばコレだ!

■初体験のミニ四駆で3位に入賞する秘訣とは!?

●まさかの現地で組み立てるんじゃなかったレギュレーション

意欲的なBEVとして今年2020年に登場したホンダe。後輪駆動の軸上くらいに駆動モーターを配し、インパネ幅いっぱいのモニター、大きく切れる前輪、スマホで解錠してスタート状態にできるなど、クルマ好きでもガジェット好きでもが願う「こんなのあったらいいのに。でもなんで無いの?」という現在考えつく魅力的な装備やギミックを満載して、久々に「欲しい」という物欲を掻き立てられるクルマです。置くだけスマホ充電の「Qi(チー)」が装備されないのが不思議に思えるほどいろいろ充実してます。

こういう物欲、先進的でハイテク感がギュッと詰まった製品って、そういえば1980年代くらいにはいろいろあったような気がします。ソニーの製品とかでよくあったような、憧れた感覚ですね。もうちょっと価格帯が低ければ衝動買いしたいような魅力的なクルマです。

ある意味、既存のクルマを引き摺らずに作られたように見えるホンダ eですが、個人的にはプラモデルに似てるなと感じてました。子供の頃に作ったプラモデルの多くは1/24でモータライズ、マブチ130モーターを後輪の軸上くらいに搭載し、単三電池2本をシャシー裏側からセンターに配置して走らせるものでした。まさにホンダ eのセンター床下のバッテリーとリヤ配置モーターと被ったのです。

そういうことを感じたのは私だけでは無いようで、私と同じ昭和40年代に生まれたホンダやタミヤの社員にもいたことでしょう。ミニ四駆としてホンダ eはお手軽に手に入るようにしてくれたのでした。

そんなミニ四駆のホンダ eを使ったワンメイクレースがあるということで、師走のとある日、ホンダ本社の青山サーキット(勝手に命名)へと向かったのでした。

●ぱちんぱちんが気持ちいい!組付け精度の精度良さに感激!!

ガンプラ世代の一個上に当たる世代の私が子供の頃に作ったプラモデルはおおよそ自動車で、接着剤、セメダインとかで組立てるタイプが主流。お安い製品ははめこみ方式でした。お値段の関係もあるでしょうが、まあ、はめ込み式でランナーから切り出したパーツを設計図通りにアテがってもきっちりハマることは少なく、隙間が空いたりちょっと削らなきゃならなかったりと、今思うと土壇場の回避や対処に動じなくなったのはあの影響かと思えるほどです。

なのに、最新のタミヤの「ミニ四駆ホンダ e」はシャシーの部品もボディの部品も設計図に「パチン」とはめ込む、と書いてあるのがそのとーりにぱちんぱちんとハマるんです。こりゃ、簡単に綺麗に仕上がるだけでなく、組み立てるのが気持ちイイ! 世の中の進化を感じざるを得ません!!

ルーフには日本の3大チューニングメーカー「HKS」「GReddy(TRUST)」「BLITZ」。
ルーフには日本の3大チューニングメーカー「HKS」「GReddy(TRUST)」「BLITZ」。

そんなこんなで、組み立てに一時間程度、ステッカーチューンに30分ほど費やし、見事「ミニ四駆ホンダ eクリッカー号」は完成したのでした。以前、ケータイoptionという媒体をヤッてたときに作ったチューニングパーツメーカーやチューナーさんの公認ステッカーがこんなところで役に立つとは15年前に誰が思ったでしょうか?

さて、生まれてはじめてのミニ四駆レース出場。周りの参戦マシンを見ると、なんだかちょっとずつ違ってます。カラーリングやステッカーだけでなく、タイヤが違ったり、ガイドローラーの形状やら高さが違ってます。どうやらホンキの人たちが来ているようです。大人げないな〜。ってか、現地で組み立てたのは我がチームだけのようです。

競技の楽しさを大きくしてくれるMCガッツさん
ミニ四駆競技の楽しさを大きくしてくれるMCガッツさん(右)。

とか思いつつ、まずは練習走行。んん? 操縦しないミニ四駆に練習があるなんておかしくって片腹痛いワ!と思いつつもチャレンジ。すぐに1コーナーでコースアウトを喫します。駆けつけて車両を拾い上げてくださったミニ四駆実況のスペシャリスト『MCガッツ』さん曰く「うーん、これはガイドローラーの取り付けがちゃんとできてないですね」と一発で問題点を指摘!タミヤのメカニックさんがガイドローラー取り付けネジを適切に締め込んでくれ、それ以降はコースアウトしなくなりました。「すげーゾ、MCガッツ!」と心の中でガッツポーズを出してみたのでした。

そして迎えた一回戦は1対1の対戦。相手のマシンはどうやらノーマルじゃない本気出してるヤツのようです。どうやらミニ四駆レースでは、許されるならモーターを換えることなくして勝利はあり得ない、というくらいノーマルモーターは遅いんだそうです。「そんなの換えていいなんて聞いてないよ!」と現地で急遽組み立てるという暴挙をすっかり忘れ内心激怒しつつ、まあ、お遊びなんだから気楽に行こうよ、という表情を作るのに努力します。

●一回戦は難なく(?)クリアー

コースレイアウトは鈴鹿をモチーフに。
コースレイアウトは鈴鹿をモチーフに。

MCガッツによる「レディーゴー」の合図とともに我が手を離れた「ミニ四駆ホンダ eクリッカー号」は鈴鹿を模したコースを順調に走りだしましたが、、、、遅い。どれくらい違うかって、相手は倍くらい速いです。こんな速度差のあるレースは童話「うさぎとかめ」以外に聞いたことがありませんが、一周回って迎えた1コーナーで対戦相手はコースアウト!なんと、一回戦を勝ち抜いたのです。

続いて迎えた二回戦、今度は3車線コースをフルに使った3台での対戦です。ミニ四駆って2台でも3台でも対戦、勝ち抜けができるので、大会では便利ですね。

対戦相手の中には女性誌「HANAKO」のカラフルな車両も。
対戦相手の中には女性誌「HANAKO」のカラフルな車両も。

今度はまた速いヤツとクリッカー号と同じくノーマルマシン。まあ、一回戦を勝ち抜いた速いやつが勝って決勝進出間違いなし、という状況のはずなのに、なんとその速いヤツがコースアウト! ノーマル対決となったんですが、電池の差なのか組み立て方か、負けてしまいました。まあ、初参戦で1回でも勝てたんだから、良しとしようと帰り支度を始めようとしました。が、しかしここでオフィシャルから、決勝進出ルール変更のお知らせが。実は決勝戦に進んだ3チーム中、2チームがホンキ過ぎるホンダ開発チームだったことで、広報部から「これではどの媒体も記事にしてくれないのでは?」と危惧の声が上がったのか、ここまでのトーナメント結果をほぼゼロにしてくれる新ルールが告げられたのです。

●結果的に勝ったのはジャンケンだけ!?

帰り支度中だったので、よくわからなかったんですが、とにかくじゃんけんをしましょう、と促され大勢でやる例の「右手を挙げてくださ〜い、あいこは負けですよ〜、最初はグー、ジャンケンポン。」ってやつが始まりました。無我無欲で高く掲げた右手を開いたり閉じたりピースを出したりしていたら「はい、クリッカーさん決勝進出〜」とMCガッツさんに告げられました。よっしゃ〜!

堂々、3位入賞で副賞を恥ずかしながら受け取るの図。
堂々、3位入賞で副賞を恥ずかしながら受け取るの図。

そんなこんなで決勝3台の1台に進出し、結果は3位というじゃんけんだけが強かったという結果を残しました。いや、運も強かったんだよ、と自分で自分を慰めながら、他のホンキ参加者には大変申し訳無い気持ちで3位の表彰を厳粛に受けました。

タミヤ 1/32 レーサーミニ四駆シリーズ No.95 Honda e (VZシャーシ)は1210円(税込み)
タミヤ 1/32 レーサーミニ四駆シリーズ No.95 ホンダ e (VZシャーシ)は1210円(税込み)

ジャンケンでの選出はともかくですが、ミニ四駆ってドライバー不在な珍しいレースで、大人から子供まで楽しめて、速いから勝つとは限らないという面白み満点の趣味だと理解しました。お手軽ですし、一世を風靡したのも納得です。

ものづくりの楽しみと、走らせることの喜びは、まだまだ色々あるんだな、と改めて気付かせていただいたのも、今回3位入賞という栄誉以上の収穫でした。

(クリッカー編集長 小林和久)

【編集後記】
●Responseさん
https://response.jp/article/2020/12/05/340991.html
「特筆すべきは3位入賞の「clicccar」だ。当日、現地で組み立てた車両は、ステッカー以外のカスタマイズはいっさいなし」
3位になれた秘訣ですか? やっぱ速くなるブランドのステッカーを貼ることと、ジャンケンですね。

●Car Watchさん
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1293373.html
「なんと同室のclicccarは、手ぶらできたそうで、控室でゼロからマシンを作っているという衝撃的な展開」
だって組み立てていくって知らなかったんだもん。でも、あの時はプラスドライバー貸してくれてありがとうございました。感謝です。

●ベストカーWebさん
https://bestcarweb.jp/news/224617
「3位入賞マシンはノーマルキットを組み上げただけだったので、(ベストカー号が)遅かったのは担当の工作精度の問題だろう」
いやいや、ウチのマシンも遅くてコースアウトしなかっただけ、というのと、ジャンケンに勝っただけですから〜!

みなさん、イジっていただきありがとうございました〜!m(_ _)m

【関連リンク】
タミヤ 1/32 レーサーミニ四駆シリーズ No.95 ホンダ e (VZシャーシ) https://www.tamiya.com/japan/products/18095/index.html

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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