自動車購入時にかかる4つの税金の話〜おさえるべきポイントや税金まで解説

車を購入する際、本体価格の他に必要な様々な税金。

実は、300万円の車を購入する場合、税金だけで40万円以上かかることもあります。

これらを事前に理解しておくことで、より具体的な予算計画を立てやすくなるだけでなく、賢く節税する方法も見えてきます。

中には、購入するタイミングを少し調整するだけで、最大1年分の自動車税を節約できるケースも。

本記事では、自動車購入時にかかる税金の種類や計算方法、納付時期、そして少しでも税負担を軽減する具体的な方法についてお伝えします。

新車・中古車を問わず、これから車の購入を考えている方はぜひ参考にしてください。

車購入時にかかる税金は4種類

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自動車を購入する際には、主に以下の4種類の税金を支払う必要があります。

  • 自動車税/軽自動車税
  • 自動車重量税
  • 環境性能割
  • 消費税

本項では、それぞれの詳細を見ていきます。

自動車税/軽自動車税

自動車税(種別割)と軽自動車税(種別割)は、車を所有している人に対してかかる税金です。毎年4月1日時点の所有者に支払い義務があり、税額は排気量や用途によって異なります。

普通車の場合、納付先は都道府県で、排気量に応じて税額が決まるのが特徴です。

2019年10月の税制改正により、自動車税から「自動車税(種別割)」に名称が変わり、税額も変更されました。

そのため、2019年9月までに購入した車と、2019年10月以降に購入した車では適用される税額が異なります。

軽自動車の場合は、納付先が市区町村となり、自家用乗用軽自動車は一律の金額です。

軽自動車税も自動車税と同様に「軽自動車税(種別割)」に名称変更されましたが、金額は変わっていません。

普通車と軽自動車では納税方法にも違いがあるのがポイント。普通車は購入した月の翌月から翌年3月までの月割りで課税される一方、軽自動車は4月1日時点の所有者に年税額が課税されるため、年度途中の購入では月割りでの支払いはありません。

つまり、軽自動車を4月2日以降に購入した場合、その年度の税金はかからないという大きなメリットがあるのです。

また、環境への配慮から、これらの税は車の使用年数が13年以上になると増税されます。具体的には普通車で15%、軽自動車で20%の増税となるため、長期保有を考えている方は注意が必要です。

自動車税・軽自動車税の税額については以下の表をご参照ください。

普通自動車
排気量 2019年9月30日以前に新車登録 2019年10月1日以降に新車登録 新車登録から13年以上
1,000cc以下 2万9,500円 2万5,000円 約3万3,900円
1,001〜1,500cc 3万4,500円 3万500円 約3万9,600円
1,501〜2,000cc 3万9,500円 3万6,000円 約4万5,400円
2,001〜2,500cc 4万5,000円 4万3,500円 約5万1,700円
2,501〜3,000cc 5万1,000円 5万円 約5万8,600円
3,001〜3,500cc 5万8,000円 5万7,000円 約6万6,700円
3,501〜4,000cc 6万6,500円 6万5,500円 約7万6,400円
4,001〜4,500cc 7万6,500円 7万5,500円 約8万7,900円
4,501〜6,000cc 8万8,000円 8万7,000円 約10万1,200円
6,001cc〜 11万1,000円 11万円 約12万7,600円
軽自動車
新車登録年月 新車登録から13年未満 新車登録から13年以上
平成27年(2015年)3月31日以前 7,200円 1万2,900円
平成27年(2015年)4月1日以降 1万800円 1万2,900円

自動車重量税

自動車重量税は、車の重さに応じて課せられる国税です。納付先は国で、車の新規登録時や車検時に、車検証の有効期間分の税金をまとめて支払います。新車購入時は3年分、その後の車検時には2年分をまとめて納めることになります。

一般的に0.5トンごとに課税額が増える仕組みになっており、車の重量が重いほど税金も高くなるのがポイントです。例えば、1.0トン以下の普通車であれば年間12,300円、2.0トン以下であれば24,600円というように段階的に上がっていきます。

また、自動車税と同様に、13年が経過すると「重課」と呼ばれる増税が適用され、18年目以降にはさらに増税されます。13年未満と18年経過後を比較すると、普通車では50%増税、軽自動車では34%増税となるため、長期保有する場合は覚えておきましょう。

一方で、環境性能の高い車に対しては「エコカー減税」という減税措置があります。

この制度は当初、2021年4月末までが適用期限でしたが、その後、2年間延長されて2023年4月末までとなり、さらに令和5年度税制改正において2026年4月30日までの延長が決定した。

エコカー減税の期限は、このように段階的に延長されてきた経緯があります。

内容も見直され、「2030年度燃費基準」に基づいて環境性能ごとに免税、50%減税、25%減税など、細かく免税・減税基準が設定されています。

自動車重量税の詳細については、以下の表をご参照ください。

3年自家用車(新車)の自動車重量税
車両重量 エコカー減税の適用あり エコカー減免無し
免税 減税75% 減税50% 減税25%
軽自動車 0円 1,800円 3,700円 5,600円 9,900円
0.5t以下 0円 3,700円 5,600円 12,300円
~1t 0円 7,500円 11,200円 24,600円
~1.5t 0円 11,200円 16,800円 36,900円
~2t 0円 15,000円 22,500円 49,200円
~2.5t 0円 18,700円 28,100円 61,500円
~3t 0円 22,500円 33,700円 73,800円

環境性能割

環境性能割は、2019年10月に自動車取得税に代わって導入された比較的新しい税金です。新車・中古車を問わず適用され、購入時に一度だけ支払う必要があります。

環境性能によって税率が変動する、つまり燃費性能の優れた車ほど税率が軽減される仕組みとなっているのが大きな特徴です。

普通車の場合は都道府県、軽自動車については市区町村がそれぞれ納付先となっており、同じ税金でも車種によって手続き先が異なります。

環境性能割の税率は2030年度燃費基準の達成度合いによって決まり、自家用車と営業車でも税率が異なります。

現在は終了しているものの、2021年4月1日~2021年12月31日の間に取得した自家用乗用車(軽自動車を含む)については、税率を1%分軽減する暫定措置がありました。

環境性能割の税率や計算方法は複雑なため、実際にいくらになるかは販売店に確認するのが確実です。詳細については、以下の表をご参照ください。

普通自動車
燃費基準達成度 2024年1月〜2025年4月 2025年4月〜2026年4月
EV、PHEVなど 非課税 非課税
2030年度燃費基準120%達成
2030年度燃費基準100%達成
2030年度燃費基準95%達成
2030年度燃費基準90%達成 通常:1%
2030年度燃費基準85%達成
2030年度燃費基準80%達成 通常:1% 通常:2%
2030年度燃費基準75%達成 通常:2%
2030年度燃費基準70%達成 通常:3%
2030年度燃費基準60%達成 通常:3%
軽自動車
燃費基準達成度 2024年1月〜2025年4月 2025年4月〜2026年4月
EV、PHEVなど 非課税 非課税
2030年度燃費基準80%達成
2030年度燃費基準75%達成 通常:1%
2030年度燃費基準70%達成 通常:1% 通常:2%
2030年度燃費基準60%達成 通常:2%

消費税

日常の買い物と同様に、車の購入時にも消費税がかかります。

本体価格にだけでなく、ナビやフロアマットなどのオプションや付属品にかかる消費税も忘れては行けません。

ただし、福祉車両に関しては、オプションや付属品の一部を除き非課税となる場合もあります。

車は高額な買い物となるため、消費税の負担も大きくなります。

2025年現在の税率は10%となっているため、例えば100万円の車を購入すれば10万円、500万円の車の場合は50万円もの消費税がかかることになります。

予算計画を立てる際には、本体価格に加えて消費税も考慮しておきましょう。

車を購入する際の税金を安くする方法は?

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自動車にかかる税金は決して少なくありませんが、いくつかの方法で税負担を軽減することが可能です。

本項では自動車の購入時にまつわる節税方法をご紹介します。

2-1 エコカー減税を活用する

エコカー減税は、排出ガス性能および燃費性能に優れた自動車に対して、それらの性能に応じて自動車重量税が免税・軽減される特例措置です。

この制度は当初、2021年4月末までが適用期限でしたが、令和5年度税制改正により2026年4月30日まで延長されました。

車の環境性能によって、自動車重量税が免税、50%減税、25%減税など、免税・減税基準が設定されています。

例えば、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCEV)などは全額免税など、先進車は優遇されているのがポイント。

2030年度燃費基準の達成度に応じた減税率も設定されており、120%以上達成車は免税、100%達成車は50%減税、90%達成車は25%減税となっています。

ただし、2024年1月と2025年5月にそれぞれの基準が引き上げられる予定ですので、購入を検討されている方は時期によって対象車種や減税率が変わる可能性があるため注意が必要です。

新車を購入予定の方は、この制度を活用して対象車種を選ぶことで、最大で10万円程度の税負担を抑えることができます。

次世代車を購入する

環境性能の良い車を購入することで自動車重量税や環境性能割の税率を抑えることができます。

特にEVやPHEV、HEV、FCEVなどの次世代車は、多くの場合で免税となっているのが特徴です。

初期費用は従来のガソリン車より高くなる傾向があるものの、税金面での優遇に加え、燃料費の節約効果も期待できるため、長期的に見ればトータルコストで有利になる可能性もあります。

環境に優しい生活を目指す方にもおすすめの選択肢です。

グリーン化特例を利用する

グリーン化特例は、環境性能の良い車に対して自動車税/軽自動車税が減税される制度です。最新の税制改正により、この制度は令和8年3月31日(2026年3月31日)まで延長されました。

適用期間内に新車登録を行ったEVやPHEV、FCEV、一定基準を満たす天然ガス自動車(NGV)などを対象に、翌年度分の自動車税が最大約75%減税されます。

また、普通車の場合、EVやFCEVなどは75%減税、2030年度燃費基準達成車等は50%減税のように、2030年度燃費基準達成車なども対象となりますが、達成度合いによって減税率は異なるのが特徴です。

軽自動車の場合も同様に、環境性能によって減税率が決まります。

この特例を利用することで、毎年支払う自動車税の負担を大幅に軽減可能です。

仮に年間の自動車税が4万円の車種であれば、75%減税により1万円になるため、年間30,000円もの節約になります。

車の所有期間が長くなるほど、この減税によるメリットも積み重なるため、長期保有を考えている方は特に注目したい制度です。

自動車を月初めに登録する

自動車を登録するタイミングを工夫することも、節税につながります。

普通車の場合、自動車税は月割りで計算されるため、月末と月初のわずか1日登録日が違うだけで、1ヶ月分の税額が変わります。

例えば5月30日に登録すると6月分から課税されるところ、6月1日に登録すれば7月分からの課税となり、1ヶ月分お得な計算です。

一方、軽自動車の場合は毎年4月1日時点の所有者に課税されるため、4月2日以降に購入すればその年の軽自動車税は課税されません。

つまり、年度末に購入を検討している方の場合は、4月以降まで待つことで最大約1年分もの税金を節約できるのです。

軽自動車を購入する

税金面で考えると、普通車より軽自動車の方が明らかに有利です。

自動車税は普通車が最低でも2万5,000円からであるのに対し、軽自動車は一律1万800円となっています。

自動車重量税においても、普通車は重量ごとに加算される仕組みに対して、軽自動車は重量にかかわらず一律のため、税金の負担を抑えることができます。

さらに環境性能割の税率も軽自動車の方が低く設定されているのがポイントです。

もちろん車選びは税金だけで決めるものではありませんが、経済的な観点から考えると、軽自動車は魅力的な選択肢と言えるでしょう。

車の購入時にかかる税金の納付時期や支払方法

車の購入時にかかる4種類の税金は、それぞれ納付のタイミングや方法が異なります。

支払いが遅れると延滞金が発生するなどのペナルティがありますので、しっかり理解しておくことが大切です。

自動車税/軽自動車税

自動車税の支払い時期や期間

自動車税・軽自動車税の納付書は毎年5月初めに登録住所に送付されます。納付期限は基本的に5月末までとなっています。

納税通知書は、所轄の税事務所から発行されます。手元に届いたら、指定された方法で期日までに納付しましょう。

納付方法は複数の中から選べるようになっていることが一般的です。

納税通知書の領収証書は、次回の車検時に必要となるため、毎回大切に保管しておくことをおすすめします。

この納税通知書は領収証書と納税証明書も兼ねているため、領収印が押されていれば自動車税を納めた証明となります。

自動車税の支払い方法

自動車税の納付方法は複数あり、自分に合った方法で支払うことが可能です。具体的には以下のような方法があります。

  • 現金(金融機関、コンビニなど)
  • 口座振替(事前手続きが必要)
  • クレジットカード決済
  • 電子マネー
  • スマホ決済

なお、クレジットカード・電子マネー・スマホ決済で支払った場合は、領収証書に領収印が押されないため、車検時に納税証明書が必要な場合は別の方法で納付するか、別途納税証明書を取得する必要があります。

自動車税の納税通知書が届かない場合

納付書が届かない主な原因としてまず挙げられるのは、引越し後に車検証の住所変更手続きをしていない場合です。

自動車税の納税通知書は住民票の住所ではなく、車検証に記載されている住所へ送付されます。そのため、車を所有している場合は、住民票の転居届だけでなく車検証の住所変更も忘れずに行いましょう。

一方、納付書を紛失してしまった場合は、所轄の税事務所に連絡することで再発行を依頼できます。

再発行時には自動車登録番号・氏名・住所を伝える必要があります。

また、普通車は運輸支局や所轄の税事務所、軽自動車であれば各市町村役場に出向いてその場で納付する方法もあります。車検証を用意していくと、再発行手続きがスムーズです。

自動車税が未納だった場合

自動車税を滞納すると、車検を受けられなくなるだけでなく、車の売却時にも支障をきたします。

車検切れの車を車検に通すには、自動車税を支払った上で、仮ナンバーを発行してもらう、もしくはレッカー車を手配するなどして車検場へ移送することになります。

また、督促状が届いても納付しない場合は、銀行口座や給料などの財産が差し押さえられることもあるため、期日までに納付することが大切です。

自動車税を支払い忘れた場合

うっかり支払いを忘れた場合は、気づいた時点で速やかに納付しましょう。期日を過ぎた納付書でも、取扱期限内であればコンビニや郵便局で支払いができる場合があります。

ただし、期日を過ぎると期日から1ヶ月以内であれば2%未満、1ヶ月を過ぎると9%未満の延滞金が発生します。

延滞を放置すれば財産の差し押さえだけでなく、財産調査のために勤務先に確認の連絡が入る場合もあるため、速やかに対応することをおすすめします。

支払いが難しい場合は所轄の税事務所に相談のうえ、分割払いなどの対応を検討してみてください。

自動車重量税

自動車重量税は、新車購入時は初期費用と一緒に、車検時には車検費用と一緒に支払うことになります。

別途納付書が送られてくるのではなく、ディーラーや車検場で支払った費用に含まれていることがほとんどです。

なお、車検時期より前に「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカード決済することも可能となっています。

環境性能割

環境性能割は、新車購入時に初期費用と一緒に支払います。ディーラーが代行して納付するのが一般的で、購入者が直接納付することはあまりありません。

税額の計算は複雑なため、具体的な金額については販売店に直接確認するのが確実です。

消費税

消費税も新車購入時に初期費用と一緒に支払います。

車両本体価格やオプション費用に対して課税されるもので、別途納付手続きをする必要はありません。

車の維持費として自動車税や自動車重量税

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「環境性能割」と「消費税」は車の購入時のみかかる一度限りの税金ですが、「自動車税」と「自動車重量税」は車を所有している限り支払い続けなければならない税金です。

つまり、車の維持費の基本となる部分。

さらに、車を維持し使用するためには、これらの税金以外にも2年に1度の車検費用やガソリン代、修理・部品交換費など様々な費用がかかります。

購入前には、これらの維持費についても考慮しておくことが大切です。

最近は環境性能の良い車への関心が高まっています。EVやPHEV、HEV、FCEVなどは維持費の面でも優位性があることが多いため、車選びの際には初期費用だけでなく維持費も含めたトータルコストで考えることをおすすめします。

まとめ

車の購入を検討する際は、本体価格だけでなく、自動車税/軽自動車税、自動車重量税、環境性能割、消費税の4種類の税金についても理解しておくことが重要です。

これらの税金は合計すると数十万円になることもあるため、車を購入する際の予算にも大きく影響します。

そして賢く節税するためには、エコカー減税やグリーン化特例などの優遇制度を活用すると良いでしょう。また、購入するタイミングの工夫や、車種選びによっても税負担を軽減できます。

さらに、長期的な視点を持ち、継続的にかかる自動車税や自動車重量税、車検費用、燃料費なども含めた維持費をトータルで検討するのが大切です。

本記事があなたのライフスタイルや経済状況に最適な車選びの一助となれば幸いです。