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■大型車事故は年間4000件以上! 何に注意して運転するべき?
2024年1月19日、阪神高速湾岸線の下り線で渋滞の車列にトラックが突っ込み、軽乗用車に乗っていた夫婦が死亡する痛ましい事故が起こりました。タンクローリーと大型トラックの間でつぶされた軽自動車は厚さ30cmにまで圧縮された状態だったとのことです。
以上のような大型車が絡む交通事故は全国で年間4000件以上も起こっています。乗用車のドライバーは大型車の周囲を走る際に、どのような点に気をつけて運転すればよいのでしょうか。
トラックやバスなどに対する走行時の注意点を、危険度別にまとめてみました。
●危険度★☆☆☆:大型車の後方の走行 – 車間距離確保、飛び石や荷崩れの危険も
大型車の後方は、比較的危険度が低いと言えるでしょう。ただし、それは十分に車間距離を確保できている場合に限られます。
大型車は車体が大きいので、近づきすぎると信号が見えないのはもちろん、前方の様子も確認しづらくなります。そのうえ、対向車からは大型車の後方が死角になり、交差点では前を走る大型車の通過後に対向右折車が突っ込んでくる危険があります。
加えて、前方を走る大型車への追突にも注意したいところです。
大型車は重い車体を停止させるために搭載されるブレーキも強力で、とくに空車時のトラックはブレーキが効きすぎてしまうこともあります。やむをえず大型車の後方を走行する場合は、十分な車間距離を確保することが大事です。
大型車の後方は、飛び石がぶつかる危険も高くなります。タイヤが大きいうえ、本数も多い大型車は路上の小石を拾いやすく、それだけ飛び石によってボディやフロントガラスが破損しやすくなります。
平台ボディのトラックでは、荷崩れや落下物に巻き込まれる危険もありますね。加えてトラックの後方は排気ガスの臭いも気になります。大型車の後方を走行して得することは何一つありません。
●危険度★★☆☆:右左折する大型車脇のすり抜け – 衝突の危険も
右左折する大型車の脇をすり抜ける際に衝突する事例も多くあります。
大型車は内輪差が大きいので、曲がる際は複数の車線を使って大回りする場合あります。また後輪と車体後端の距離が長いこともあって、右左折時には車体後端が車線をはみ出すことも少なくありません。
右左折しようとする大型車の横を急いですり抜けようとすると、側面から衝突されたり、車線をはみ出した車体後端がぶつかったりする危険があります。
別車線や対向車線を走行していたとしても、大型車が曲がり切ったのを確認してから通過することが大切です。
●危険度★★★☆:大型車との並走 – 視認性低くなる走行位置にとどまらないように
大型車の運転席は、乗用車に比べて周囲の視認性がよくありません。車体が大きいぶん死角が多く、特に左側はほとんど見えていないと思った方がよいでしょう。
車の位置関係によっては、乗用車の存在に気づかず大型車が車線変更して、そのまま側面にぶつけられるといった事故も起こります。特に見落とされがちな二輪車で大型車の側を通る際は要注意です。
そのため、大型車との並走は極力避けることを意識して運転するとよいですね。
大型車に追い越される場合は、並走する時間を短くするために速度を少しだけ落としましょう。全長が長い大型車を追い越すのには時間がかかるので、無理して追い越さないことも大切です。
●危険度★★★★ 大型車の前方を走行 – 追突事故リスク
もっとも危険な状況はトラックの前を走行することです。大量の荷物を積載している大型車は乗用車のように曲がったり止まったりすることはできづらく、追突事故が起こった際の被害も大きくなりがちです。
大型車の前を走ることは、それだけで事故リスクが引き上がってしまいます。おまけに信号待ちや渋滞で停車しているところに、後方から迫ってくる大型車は避けようがありません。ですが、ほんの少し注意を払うだけでトラックの前を走る状況を少なくすることができます。
施設や一時停止の隘路から大きな道路に出る際、大型車が迫っていたら十分な距離があったとしても、やり過ごしてから出るようにするとよいでしょう。
また下り坂が続く道は、大型車が止まりきれずに追突される危険が高まるので、トラックを先に行かせてしまうのも有効です。
もっとも危険なのは、前後を大型車に挟まれた状況です。トラックの間に小さな乗用車が入り込むと見落とされやすいうえ、前の大型車が急ブレーキでもかけようものなら挟まれて潰されてしまいます。
前後を大型車に挟まれたことに気づいたら、すぐに抜け出すようにしたほうが安心です。
●大型車には近づかないのがもっとも安全
トラックやバスなどの大型車を操るドライバーは、総じて安全意識が高く運転も上手ですが、人間である以上ミスは起こります。
ただし、車体が大きく重量もある大型車は、そのぶん運転ミスを許してくれません。また、運転手にあってはならない過酷な労働環境で、ミスの発生に拍車をかけてしまっている実情があったりするかもしれません。
これ以上、大型車側へ事故を起こさないように働きかけるのは簡単ではないでしょう。乗用車側で対処する意識も事故を減らすためには重要であり、より安全に向かっていけるのではないでしょうか。
誰にでも実践できる、もっとも簡単な対処法は「なるべく大型車には近づかないこと」です。
通行車種が明確に分けられている道路交通状況ではありませんので、近づくことは避けられませんが、近づかないを意識して運転するだけで、上記の注意するべき点も思い起こされ、大型車との事故を減らすことができると思います。なにより、自身や同乗者の命を守ることにもつながります。