「東京オートサロン2024」で大反響を呼んだ小型低速EV汎用プラットフォーム開発の狙い【ヤマハ発動機ニュースレター】

■約60社と共創やパートナーシップの可能性についての問い合わせが

ヤマハ発動機の広報グループが発信している「ニュースレター」は、ヤマハ発動機や同社グループの企業活動はもちろん、はたらく人たちやOBの生の声が載せられています。

今回のテーマは、以前お伝えしたように「東京オートサロン2024」のヤマハ発動機ブースに出展された小型低速EVの汎用プラットフォーム、そして、同社の共創・新ビジネス開発部の大東 淳さんです。

ヤマハ発動機の共創・新ビジネス開発部の大東淳さん
ヤマハ発動機の共創・新ビジネス開発部の大東淳さん

大東 淳さんは、「オートサロンの会場で、共創やパートナーシップの可能性について意見を交わしたのは、60社あまりにのぼりました。関心を示してくださった皆さんからのお問い合わせやご相談は、イベント終了後にも続きましたので、想定以上の成果が得られました」と手応えをつかんでいるようです。

「開発を加速して、さらに活用領域を拡げていくために、幅広い業界から共創パートナーを求めています。オートサロンでは、自動車関係の会社や農機具業界、また海外の組立工場の方などさまざまな領域の皆さんと可能性を語り合ったことで、互いに理解を深め、インスピレーションを刺激し合うことができました」と振り返ります。

東京オートサロンには、2系統のプラットフォームから派生した7機種のプロトモデルを出展
東京オートサロンには、2系統のプラットフォームから派生した7機種のプロトモデルを出展

同氏の後ろにあるのは、ヤマハ発動機が開発中の小型低速EVの汎用プラットフォームのひとつです。オートサロンでは、「小さなEVを、社会を変える力に。」というテーマを掲げ、2系統(1人乗り/2人乗り)のプラットフォームを使った開発中のプロトモデル計7モデルが出展されました。

大東さんは、「ヤマハ発動機には、新たなモノを生み出す際の勝ちパターンというものが存在します。まず、強い意志を持った野武士のような存在がいて、その野武士が放つ情熱に、社内各所から有能な人材が吸い寄せられて集まってくる。歴史が裏付けるそんな勝ちパターンに、このプロジェクトもハマりつつあると感じています」と自信を披露。

同プロジェクトが目指すのは、運転免許を必要としない自由で楽しい移動だそうです。「免許を返納するシルバー世代はもちろん、若い世代にも費用や時間を理由に免許を取得しない選択肢が出始めています」と続けます。

大東さんは、一昨年まで2年間イギリスにオンライン留学し、高齢者のヘルスケアについて研究を重ねてきたそうです。「移動はお年寄りの日常を活性化させ、元気にする。免許証を返納した後のシルバー世代、さらには免許を取得しない若い世代にも自由で楽しい移動を提供できれば、当社にとっても生涯顧客の創出につながります」とその意義を説明しています。

1人乗りのプラットフォームを活用し、リゾートトラストと共創する「Concept 350」はリゾート施設内の自由な移動を実現
1人乗りのプラットフォームを活用し、リゾートトラストと共創する「Concept 350」はリゾート施設内の自由な移動を実現

出展テーマである「小さなEVを、社会を変える力に。」には、世代や地域、使用シーンなどを問わず、誰もが自由に楽しく移動できる翼を提供したいという志が込められているそうです。

モビリティ開発のキーワードとして、大東さんは「組み合わせ」を挙げます。「軽くて小さい信頼性の高いパワーユニット、取り外しが可能な電池に、すでに存在する機構をトイブロック発想で組み合わせていきます。

共創パートナーの知見や感性、AIを活用することで、速度を上げて誰もが楽しく移動できるモビリティの民主化を進められると考えています。プラットフォームとは場です。プラットフォームから生まれたモノが、新たなプラットフォームになっていく姿を思い描き、取り組んでいきます」と展望と将来への意欲を明かしています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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