エンジン大好きなドリキンがBEV輸入車最新4モデル一気乗り!「BEVはもう買い時なのか?」

■自宅に充電設備を設置できて、降雪地じゃなければBEVをパートナーに迎えても良い

「ガソリン臭くて、音がうるさくて、手動式のサイドブレーキが付いた車が好き!」と公言しているドリキンこと土屋圭市さん。

2023年に続いて2024年も大磯プリンスホテルで開催されたJAIA(日本輸入車組合)の試乗会で、最新の輸入車BEV(バッテリー電気自動車)4台に一気乗りしてもらいました。果たしてドリキンは最新のBEVをどのように評価するのでしょうか。

●BYD「ドルフィン」はBEVなのに車重が軽いのがいいね!

BYDドルフィンの走行シーン
BYDドルフィンの走行シーン

最初に試乗したのは、BYDのドルフィンです。2023年9月に導入されたBEVコンパクトカーです。

走行距離400kmのドルフィンと476kmのドルフィンロングレンジを用意し、車両本体価格は363万~407万円で、363万円のドルフィンは補助金を利用すると300万円を切る価格となっています。

ドルフィンのボディサイズは、全長4,290mm×全幅1,770mm×全高1,550mmで、日本導入に当たりシャークフィンアンテナの構造を変更し、全高1,550mmとして立体駐車場に対応させています。

BYDドルフィンのフロントスタイル
BYDドルフィンのフロントスタイル

2,700mmというホイールベースによる広い室内空間が特徴で、フラットな床が特徴のリアの居住スペースは、コンパクトカーとは思えない広さを誇っています。

コンパクトカーといっても、ADASと呼ばれる運転支援機能は充実。事故自動緊急通報装置(BYD E-CALL)や幼児置き去り検知システム(CPD)も採用しています。

ドルフィンのインプレッションを終えた土屋さんは「BEVなのに車両重量が1,520kgは軽い。トルクの出し方が穏やかで、すごく国産のコンパクトカーを研究していると思う」とのこと。

「スッとした加速の仕方が、人間の感覚にマッチしていて乗り替えても違和感を感じない。生活のシーンが見える車で街乗り中心のセカンドカーとして乗るにはベストなBEVだと思う」。

ドルフィンと土屋さんのツーショット
ドルフィンと土屋さんのツーショット

「シートの座り心地も良いし、ハンドルが軽くて疲れない。エアコンなどを操作する物理スイッチがあるから操作を迷わない。ギアセレクターがダイヤル式でセンターコンソールにあるのも良いアイデアだ」と話してくれました。

「サスペンションの味付けも、ちょうど良いバランスで疲れにくい。最小回転半径も5.2mと取り回ししやすいのも魅力。このボディサイズで400kmも走れば充分満足できるでしょう」とのことでした。

【Specification】
■BYD ドルフィン:全長4,290×全幅1,770×全高1,550mm/ホイールベース:2,700mm/車両重量:1,520kg/モーター最高出力:95ps/最大トルク:180Nm/WLTCモード航続距離走行距離:400km/車両本体価格:363万3000円

●BEV ファミリーカーのお手本を言える気遣いが魅力のヒョンデ「コナ」

続いて土屋さんが試乗したのは、2023年10月に日本市場に導入された韓国・ヒョンデの「コナ」です。

ヒョンデ・コナラウンジの走行シーン
ヒョンデ・コナラウンジの走行シーン

ヒョンデ・コナは、日本に導入されているヒョンデのBEVではエントリーモデルとなり、車両本体価格は399万3000円~489万5000円と500万円以下となっています。

今回試乗したコナ ラウンジのバッテリー容量は64.8kWhで、満充電時の走行可能距離は約541kmと、同じ価格帯のモデルの中ではロングレンジです。

ヒョンデ・コナラウンジのフロントスタイル
ヒョンデ・コナラウンジのフロントスタイル

コナは、全長4,355mm×全幅1,825mm×全高1,590mmというホンダヴェゼルとほぼ同じサイズのBEVにも関わらず、大人5人が乗れる室内空間と466Lというラゲッジ容量を確保しています。また、取り回しの良さの指標となる最小回転半径も5.4mとなっています。

ディスプレイに映し出されたフロントカメラ映像に、矢印などの情報を視覚的に表示し、わかりやすく説明するARナビゲーションや、ウインカーを出すとメーターパネルに後側方の画像をメーターパネルに映し出すなど先進的な装備が特徴です。

コナの試乗を行った土屋さんは「最高出力204ps。これで日常使いならまったく不満はないね。内外装は他のものに似ていないデザインだし、先進的でBEVに乗っているという満足感を味わうことができる」と話してくれました。

コナと土屋さんのツーショット
コナと土屋さんのツーショット

「とにかく操作性が秀逸。物理スイッチはたくさんあるけれども、ARナビゲーションやメーターパネルに映像を映し出すことで先進性はしっかりとアピールしてくれる。物理的スイッチがないのが先進的ということではないとヒョンデは解釈しているし、オレもそう思っている」そうです。

「走行距離は500km以上走るし、操作性も良いし、ドライブモードを切り替えると走りが変わるだけでなく、メーターの色も変わる演出はいいね。ヒョンデコナは、ひと言でいえばBEV SUVのお手本といえるモデルじゃないかな。国産車も取り入れたほうが良いアイデアが詰まっていると思う」とのことです。

【Specification】
■ヒョンデ コナ ラウンジ:全長4,355×全幅1,825×全高1,590mm/ホイールベース:2,660mm/車両重量:1,770kg/モーター最高出力:204ps/最大トルク:255Nm/WLTCモード航続距離走行距離:541km/車両本体価格:489万5000円

●ジャガー「I-PACE」はレースで培った電気の技術がフィードバックされたBEVスポーツカー

ここまでは、500万円以下で購入できるBEVを2台紹介しましたが、ここからは1,500万円オーバーのBEV2台のインプレッションです。

ジャガーI-PACEの走行シーン
ジャガーI-PACEの走行シーン

まず試乗したのは、ジャガー「I-PACE」です。このモデルは2018年とすでに5年前に導入されたBEVですが、2023年にマイナーチェンジを実施しており、マイナーチェンジ後のモデルに試乗しました。

ジャガーI-PACEのフロントスタイル
ジャガーI-PACEのフロントスタイル

ジャガーI-PACEは全長4,695mm×全幅1,895mm×全高1,565mmという5ドアハッチバックのスポーツカーです。

マイナーチェンジのポイントは、フロントシールドとグラファイトアトラスマットフィニッシュのフロントチークを採用し、よりスタイリッシュになりました。

ジャガーは、フォーミュラEに参戦。そこで培ったノウハウをこのI-PACEにフィードバックし、進化を遂げています。搭載しているパワートレインは最高出力400ps・最大トルク696Nmを発生。その一方で、満充電時の走行可能距離は約438kmを達成しています。

ジャガーI-PACEの車両本体価格は1517万1000円~1623万8000円で、ボディカラーの違いが価格差となっています。
ジャガーI-PACEの試乗を終えた土屋さんは、「これがモーターの走りだ!という主張がハッキリしている」と開口一番話してくれました。

I-PACEと土屋さんのツーショット
I-PACEと土屋さんのツーショット

「車両重量が2.2tもあることを忘れさせてくれるほど、パワーで加速してくれる。パワーとトルクを出し惜しみしないのが良いね。BYDやヒョンデとはまったく違う方法でBEVを表現している。どちらが良い、悪いではない。これはブランドの哲学だからそれで良いと思う」とのこと。

「これだけ気持ち良い走りをしてくれて、約400kmも走れるし、水深50cmまで大丈夫というのだから、ある意味無敵と言えるのではないかな。デザインもカッコイイし、スイッチの操作性も良い。BEVのメリットをストレートに表現している車だと思うよ」と話してくれました。

【Specification】
■ジャガーI-PACE RダイナミックHSE:全長4,695×全幅1,895×全高1,565mm/ホイールベース:2,990mm/車両重量:2,230kg/モーター最高出力:400ps/最大トルク:696Nm/WLTCモード航続距離走行距離:438km/車両本体価格:1623万8000円

●Mバッジに相応しいBMW「i5」の楽しい走りは走行距離の壁を越える

最後に試乗したのは、2023年7月に発表され、導入されたばかりのBMW「i5 M60 xDrive」です。アッパーミドルセダンである5シリーズの現状最上級モデルとなっているBEVです。

i5 M60 xDriveの走行シーン
i5 M60 xDriveの走行シーン

BMW i5のボディサイズは、全長5,060mm×全幅1,900mm×全高1,505mmと全長が5mを超えました。また、ホイールベースも2,995mmとかなりのロングホイールベースとなっています。

BMW i5 M60 xDriveは、フロントに261ps、リアに340psを発生するモーターをそれぞれ搭載し、システム合計最高出力601ps・最大トルク820Nmを発生します。

i5 M60 xDriveのフロントスタイル
i5 M60 xDriveのフロントスタイル

さらに、Mスポーツ・ブーストまたはMローンチコントロール機能を作動させると、車両重量2,360kgのボディながら、0-100km/h加速はわずか3.8秒という高いパフォーマンスを発揮します。

ボディ床下に搭載されるリチウムイオンバッテリーの総エネルギー量は81.2kWhで、満充電時の走行可能距離は約455kmとなっています。BMW i5は車両本体価格1,571万円のM60 xDriveと、998万円のi5 eDrive40を用意しています。

BMW i5の試乗を終えた土屋さんは「さすがMバッジが付いているモデルだね。もう車の加速を超えてまるで宇宙船みたい。それくらいの加速性能を発揮してくれる。エンジン車ではこの加速フィールは表現できない」と話します。

「乗り味はしなやかで、シットリとしているけれど、システム合計最高出力610psをまったく出し惜しみしない。それを使って気持ち良い加速、走りを味合わせてくれる。こんなに気持ち良い走りなら走行距離455kmでもいいやと思える」そうです。

i5と土屋さんのツーショット
i5と土屋さんのツーショット

最後に土屋さんは4台の試乗を終えて、「自宅に充電設備を設置できる。冬の寒さが厳しくない。ロングドライブは年に数回という人ならば、もうBEVは買い時になっていると思う」。

「個人的には、ハイブリッドとBEVの2台持ちが理想。そうなるとBEVはヒョンデコナやBYDドルフィンを街乗り用として所有できたら、満足度は高いと思う」と話してくれました。

【Specification】
■BMW i5 M60 xDrive:全長5,060×全幅1,900×全高1,505mm/ホイールベース:2,995mm/車両重量:2,360kg/システム最高出力:601ps/最大トルク:795Nm/WLTCモード航続距離走行距離:455km/車両本体価格:1,571万円


土屋圭市さんの4台の輸入車一気乗りは、公式YouTubeでも公開されていますので、DRIFT KING TELEVISIONもチェックしてみてください。

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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