寒すぎる朝イチの車内、早くヒーターを効かせる方法はないの?

■車の暖房を使いこなす! 寒すぎる車内を早く暖める方法4選と注意点

真冬の車内は想像以上に冷えこんでいる…
真冬の車内は想像以上に冷えこんでいる…

出発時刻に合わせてエンジンをかけておいたり、リモコンエンジンスターターなどを使って暖まった車内に乗り込んで出発できたのは遠い過去の話。

今では不必要なアイドリングが条例で禁止されていたり、ご近所の目もあったりしているので、あらかじめ車内を暖めておくことも難しくなりました。

あらかじめ車内を暖めておけないのなら、なるべく素早く暖めるしかありません。寒い車の車内を少しでも早く暖める方法を調べてみました。

●方法1:内気循環にして冷たい外気を取り込まない

車の空調装置は、空気を車外から取り込む「外気導入」と、車内から取り込む「内気循環」の切り替えが可能です。

平時は外気導入で車を使用していると思います。外気導入のままだと車外の冷たい空気を取り込んでしまい、それだけ車内が暖まりづらくなってしまうので、素早く暖めたい場合はスイッチを切り替えて内気循環にしましょう。

●方法2:暖房効果のないエアコンはオフに

家庭用エアコンとは違い、一般的なエンジン車のエアコンには暖房機能がありません。

車の空調装置はエンジンの熱を利用したヒーターと、冷媒が膨張するときの気化熱で空気を冷やすクーラーを使い分けているので、エアコンを作動させても車内が暖まる早さは同じです。

そればかりか、エアコンを作動させるとコンプレッサーの稼働や消費電力の増加で、厳密には余計な燃料を使用することになるので、車内を温める場合にはエアコン(A/C:Air Conditioning)のスイッチはオフにしておくのがよいでしょう。

●方法3:エンジンがある程度温まってからファンを回す

エンジン始動直後は空調装置のファンをオフにしておく
エンジン始動直後は空調装置のファンをオフにしておく

意外なことに、エンジン始動直後は空調装置のファンをオフにしておくことが車内を素早く暖めるコツです。

車のヒーターは、車内に引き込んだ冷却水配管の隙間をファンの風が通ることで車内を温める仕組みなので、エンジンが冷え切っている始動直後はファンを最大で回しても冷風しか出てきません。

水温が低い状態でファンを回転させると、ファンの風がエンジンの水温上昇を妨げてしまい、かえってエンジンが温まりづらくなります。加えて、送風口からは冷たい風が吹き付けることになるので体感温度も下がります。

そのため、エンジン始動直後はファンはオフにしておき、ある程度エンジンが温まってからファンを回したほうが車内は早く暖まります。

ファンを回すタイミングの目安は、水温計が備わるメーターなら針が動き出したあたりです。針がないメーターなら、青く点灯する水温警告灯が消えたタイミングがよいでしょう。いずれにしても、それ以前には暖かい空気は出てこないわけですから。

・電熱式ヒーターが備わる寒冷地仕様車やハイブリッドカーならすぐに温風が

車によっては、エンジンが冷えた状態でも温風が出る場合があります。

気温がマイナス10度以下になる地域での使用を想定した寒冷地仕様車や、走行中もエンジンが積極的に停止する仕組みのハイブリッドカーがその代表です。

以上の車には空調装置の内部に電熱式ヒーターが組み込まれている場合があり、該当する車種はエンジン始動直後でもファンを回せばすぐに温風が出ます。エンジンが備わらないEV(電気自動車)にも同じく電熱式ヒーターなどが搭載されます。

●方法4:電熱式の暖房グッズを活用

シートヒーターやステアリングヒーターは車内を暖めることはできませんが、乗員の身体が触れる部分を直接温められる電熱機器です。

電熱機器は車のヒーターと違ってすぐに温まる特徴があるので、電熱式の暖房グッズを使うことでも車内の寒さを緩和できます。

シガーソケットやUSB電源で作動する電熱式シートカバーや電熱式ひざ掛けなら、どんな車でも使用可能です。なかには150W程度の車用電気ファンヒーターなんていうものも販売されています。

これらのグッズを活用すれば、早期に走り出しても、より素早くエンジンを温められるでしょう。

●車内を温めるときには注意点も

事前に温かい飲み物を用意しておくのもいいかも
事前に温かい飲み物を用意しておくのもいいかも

以上の4つが車内を早く暖める方法です。ただし、それぞれの方法には注意点があることも知っておかなくてはなりません。

空調設定を内気循環にしているとガラスが曇りやすくなったり、二酸化炭素濃度が高くなることで眠気や頭痛が起こる場合があります。走り出す際は忘れずに外気導入に戻し、窓ガラスが曇った場合にはエアコンを作動させて素早く曇りを除去しましょう。

早くエンジンを温めたいからといっても、アクセルペダルを踏んでエンジン回転数を極端に上げる行為は控えるべきです。排気音が大きくなることで周囲の迷惑になるのはもちろん、環境やエンジンにも悪影響をおよぼす恐れがあります。

また、車内で後付けの電熱製品を使う際には特に注意が必要です。

車のシガーソケット電源は、最大で120〜180W程度の機器しか使えません。電熱式の暖房アイテムは総じて消費電力が大きいので、機器の併用などで電力消費が過剰になるとヒューズが切れたり、配線が燃えたりするなどの危険があります。

電熱式でなくとも、ネックウォーマーやひざ掛けがあるだけでも体感温度はずいぶんと違います。運転中に使うものなら、首の動きやペダル操作を妨げない防寒具を選ぶのがよいですね。紹介した方法と注意点を踏まえて、寒い時期を乗り切りたいですね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])