■第6世代バッテリー「46120」を採用し航続距離可能距離は800km以上
BMWが現在開発中のクロスオーバーSUV「iX3」後継モデル(社内コードNA5)のプロトタイプを捉えるとともに、その脅威の性能が判明してきました。
同ブランドにとって次世代エレクトリックモデルとなる新型SUVは、画期的なEV専用アーキテクチャ「ノイエ・クラッセ」を準備していますが、ここでノイエ・クラッセについてまとめてみましょう。
BMWの経営が困難になった時期から立ち直るきっかけを作ったと言われる1960年代のBMWモデル、それに対してのオマージュとして名付けられたのが「ノイエ・クラッセ」です。
同ブランドの開発責任者フランク・ウェーバー氏は「このモジュラープラットフォームは、2シリーズサイズのサルーンからX7サイズのSUVまでの車を製造できる柔軟性がある」と述べています。
市販化は、スポーツアクティビティ車(BMW iX3)とサルーン(BMW i3)の中心セグメントからスタートします。そして最初の2年間で、新しいプラットフォームに基づいた少なくとも6つの新型EVモデルを計画しており、次世代 BMW iX3は、2025年後半に販売が開始される予定となっています。
スウェーデン北部の凍った湖で捉えたプロトタイプは、現在のデザインから大きく外れていないことがわかりますが、フロントエンドは明らかに「ノイエ・クラッセ」プロトタイプのデザインに従っており、キドニーグリルと一体化したヘッドライトを装備する可能性が高いと見られます。
インテリアショットでも、ダッシュボードはヴィジョン・ノイエ・クラッセのものと似ており、従来のインストルメントクラスターディスプレイはなく、代わりにフロントガラスに投影される拡張現実グラフィックス「BMWパノラミック・ビジョン」が採用されているようです。
バッテリーに関しても情報を入手しました。iX3後継モデルには第6世代バッテリーを採用します。このバッテリーは、現在の角形セル設計とは対照的に、テスラの新しい「4680」円筒形セルに切り替えられますが、高さが80mmではなく120mm と高いため、「46120」という名前が付けられます。
これらのアップグレードは、ニッケル含有量の増加やコバルト含有量の削減などの他の改善と相まって、既存のセルと比較してエネルギー密度が20%アップし、航続距離が最大30%向上、生産関連の炭素排出量が60%削減されるといいます。
BMWによると、この改善により航続距離可能距離は約500マイル(800km)以上になるはずだといいます。同時に、充電時間は最大30%短縮されるほか、パッケージングの強化、全高の削減、重量の削減などの利点があります。
パワートレインは、i4などの他の現行BMW電気自動車と同様に、iX3後継モデルでもシングルおよびデュアルモーターを提供できるようになり、二輪駆動または全輪駆動のオプションが提供されると予想されています。エントリーレベルのシングルモーターカーには「iX3 40」の名が付けられ、上位モデルには「M60 xDrive」、最大600psを発揮する「iX3 M」なども期待されています。
現行のiX3は中国のBMW工場で生産されており、i3セダン(3シリーズベース)と並行して生産されています。ただし、新型 iX3 を含むノイエ・クラッセモデルは、メキシコや、ドイツのミュンヘンにある主力工場を含む他のBMWのさまざまな工場でも生産される予定です。
さらに中国市場をメインとするロングホイールベースバージョン(社内コードNA6)を導入する計画もあるといいます。