車の窓ガラスに付いた雪や氷の正しい除去方法&凍結防止の対策とは?

■フロントガラスが凍結した際の対処方法と対策方法

なんとなくお湯をかけてしまう人も多いかもしれない…
なんとなくお湯をかけてしまう人も多いかもしれない…

車の窓ガラスの凍結は、寒冷地域や降雪地域だけの悩みではありません。

温暖な地域でも日中から翌朝にかけて快晴が続くと、放射冷却現象によって夜間に気温が急低下し、車のガラスにびっしりと霜が付きます。

これを、削ぎ落としに使われるアイテムのスクレーパーだけで除去するのは大変。だからといって、お湯をかけて氷を解かすのは厳禁です。最も有効なのは解氷スプレーを吹きかけることですが、これにも使用時の注意点があります。

では、車のガラスが凍ったらどうするのがベストなのでしょうか。ガラスが凍ったときの対処方法と、凍らせないための対策方法を調べてみました。

●車のガラスに付いた霜や氷を除去する3つの方法

・デフロスターでの解氷は10分程度かかる

デフロスターを使用するのが一般的だが即効性は薄い
デフロスターを使用するのが一般的だが即効性は薄い

もっとも一般的なフロントガラス解氷方法は、デフロスターを使う方法です。

デフロスターとは、ヒーターの温風でフロントガラスを内側から温めて霜や曇りを除去する機能で、使い方はヒーターの風向き設定を「波型矢印がついた扇形のマーク」に合わせて、最高温度と最大風量で稼働させるだけです。

ただしデフロスターの温風はエンジンの熱を利用するので、エンジン始動直後は冷たい風しか出ず、完全に除去するには薄い霜であってもエンジン始動後5〜10分程度の時間がかかってしまいます。

・解氷スプレーなら作業時間は1分程度

手軽にガラスの氷を解かすには、市販の解氷スプレーを使うのが有効です。解氷スプレーならガラス全体の氷を落としても、1分程度の作業で済みます。解氷スプレーの主成分のアルコールには、0度より遥かに低い温度でも凍らない特性があり、吹きかけると氷の凍結温度が低くなることで0度以下の気温でも氷を瞬時に解かすことができるのです。

ただしアルコールには、ワイパーゴムや窓枠のゴム、ガラスに塗布したコーティング剤などを痛める性質があります。また、ガラス自体にアルコールの悪影響はありませんが、車のボディに付着するとシミになる場合があります。

解氷スプレーを使う場合はゴムなどにかけないように注意しつつ、使用後はガラスをしっかりと拭き上げたほうがいいですね。価格は安いもので1本500円程度です。毎日使うのでなければ、1本準備しておくだけでしばらく使えます。

・ガラスにお湯をかけるのはNG! ただしビニール袋に入れたお湯ならOK

破れづらいビニールにお湯を入れて押し当てるのはOK
破れづらいビニールにお湯を入れて押し当てるのはOK

凍結したガラスにお湯をかけて解かすのは厳禁です。お湯の温度が高い場合は、急激な温度差でガラスが膨張して割れてしまう恐れがあるからです。

特に飛び石などで欠けやヒビが入ったガラスや、修理したガラスはより低い温度のお湯でも割れてしまうことも。極寒地ではお湯がすぐに凍ってしまい、除去する手間が余計に増える懸念もあります。

しかし、そんなお湯もビニール袋に入れれば使えるのです。40度程度のお湯を入れたビニール袋で、凍結したガラスに押し当てて滑らせるようにすると、ガラス表面の霜や氷だけを解かすことができます。薄い霜なら1分ほどで完全に除去できるでしょう。

●ガラスの凍結を防止する方法は2つ

・ガラスに凍結防止カバーをかけておく

凍結を事前に防止するもっとも有効な方法は、水分の付着と温度低下を抑えるために、ガラス全体を外からカバーなどで覆ってしまうことです。

専用の凍結防止カバーやシートなどが販売されていて、吸盤やフックで固定するものや、ドアに挟んで固定するものなどがあります。購入する場合は、ガラス全体を覆えるサイズのなかで使いやすい固定方法のものを選ぶとよいでしょう。

それぞれの商品に共通しているのは、断熱性に優れる素材を使用していることです。ですので梱包用のエアクッション(プチプチ)やアルミ蒸着シート、毛布や厚手のバスタオルなどをガラスに掛けておくことでも凍結対策になります。

・ガラス撥水剤を使う

水を弾く効果がある撥水剤を、事前にガラスへ塗り込んでおくことも凍結防止に効果があります。撥水効果によって水滴の付き方が変わることで、ガラスに付着する氷の厚さに違いが出るようです。

撥水剤で凍結を完全に防ぐことは難しいものの、霜や氷は落ちやすくなるので除去にかかる手間は確実に減らせます。ただし、撥水剤に対して解氷スプレーを使用してしまうと、せっかくの撥水効果が薄れてしまうので注意が必要です。

●フロントガラスの凍結には事前対策と事後対策の両方が大切

ガラスに撥水剤を使用している場合は、お湯を入れたビニール袋を使うとよいでしょう。素早く氷を除去したいのなら、何の準備もなく使える解氷スプレーがもっともお手軽です。解氷スプレーに含まれるアルコールはゴム部を劣化させますが、付着したからといってゴムが溶け出したりすることはないので、過剰な心配は不要です。

どちらの方法でも、気温が氷点下の場合には解けた水が再び凍ってしまうので、デフロスターも併用。タオルなどで水分の除去まで行えれば完璧です。ここまでやっても、かかる時間は数分程度でしょう。

気温が大きく低下する日や、放射冷却の予報が出たときは、前夜からガラスにカバーをかけておけば解氷作業にかかる時間すら不要になります。

とはいえ、カバーを掛けるのを忘れてしまうときもありますよね。そのためにもガラスの凍結には事前対策と事後対策の両方を知っておくことが大切です。これで青空駐車でもガラスの凍結対策は万全ですね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])