車を運転中に地震が発生した場合の正しい対処法。「真っ先にすべきこと」と「やってはいけないこと」とは?

■車を運転中に地震が発生したらどうする?

年始の能登半島地震をきっかけに防災対策を見直している人も多いのではないでしょうか。
年始の能登半島地震をきっかけに防災対策を見直している人も多いのではないでしょうか。

運転中に大地震が起こったらどうしたらよいのでしょうか。

これまでの大地震に続き、2024年の元日に起こった『令和6年能登半島地震』でも大きな被害が出ました。今後、南海トラフ地震などの発生も予想されていて、誰もが運転中に地震に遭遇する可能性があります。

あらためて、車に乗っているときに大地震に発生した場合に、どのような対応をとるべきかを調べました。

●車には大地震発生時にもルールがある

国家公安委員会が作成する「交通の方法に関する教則」には、大地震の際にドライバーが取るべき措置が記載されています。

・急ハンドル、急ブレーキを避けるなど、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させること。
・停止後は、カーラジオ等により地震情報や交通情報を聞き、その情報や周囲の状況に応じて行動すること。
・引き続き車を運転するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物などに十分注意すること。
・車を置いて避難するときは、できるだけ道路外の場所に移動しておくこと。
・やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンを止め、エンジンキーは付けたままとするか運転席などの車内の分かりやすい場所に置いておくこととし、窓を閉め、ドアはロックしないこと。
・駐車するときは、避難する人の通行や災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しないこと。

以上の措置は、駐停車が認められていない高速道路でも同じです。また、やむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこととされています。

避難に車を利用できない理由は、渋滞や事故が発生した場合に緊急車両の通行の妨げになるからです。津波やそのほかの水害、土砂災害から逃れるためなど、時間的猶予がない場合や、歩行困難な病人や高齢者がいる場合など以外は、徒歩で避難することが推奨されています。

運転中の地震に際しては、以上のルールに従うことになりますが、これだけを覚えておくのでは不十分。実際に大地震に遭遇した際の行動を「真っ先にすべきこと」と「やってはいけないこと」に分けて、より詳しく解説していきます。

●大地震に遭遇したら真っ先にすべきこと

・安全な場所へ安全に停車

なるべく焦らず安全な場所に停車する
なるべく焦らず安全な場所に停車する

走行中に地震が起こったら、ドライバーが真っ先にすべきことは安全な停車です。

他車を巻き込む事故を防ぐため、急ハンドルや急ブレーキは避け、ハザードランプを点灯させながら緩やかに減速して、安全な場所に停車します。走行速度が高い高速道路では、減速や停車により一層の注意を払う必要があります。

停車後は、その後の余震などで車が勝手に移動して接触する恐れもあるので、駐車距離は広めに確保しておきます。

停車させる場所も重要です。塀やビルの横は倒壊の余波を受ける危険があります。山肌に面した場所は土砂崩れや雪崩が起こることもあるため、安全な停車位置を見定める必要もあります。

特に判断が難しいのは、崩落の危険がある橋とトンネルの走行中です。短い橋やトンネルの場合は低速を保ったまま通過した方が安全ですが、あまりに揺れが大きいと走行そのものが困難になるので、短時間で渡りきれない場合は速やかに停車するのが望ましいといえます。

・停車待機中には情報収集と徒歩避難の準備

停車したら揺れが収まるまで車内で待機します。待機中はラジオやインターネット、防災アプリなどで地震の規模や津波の有無、道路状況などの情報を積極的に収集します。

車内での待機中は、徒歩避難に備え、持っていく荷物や服装をチェックしておくことも大切です。徒歩避難をする場合は、車を停めた場所の記録も必要になります。同乗者がいる場合は以上の作業を分担して行うとよいでしょう。

●地震災害時にやってはいけないこと

・車のドアロックとキーの持ち出し

大地震が起きて、車での移動が困難になった場合はキーを車内に置いていく
大地震が起きて、車での移動が困難になった場合はキーを車内に置いていく

徒歩避難をする場合は、車にドアロックをかけず、キーは車内に残しておくのがルールです。

災害時、緊急車両の通行の妨げになる場合は、警察官や自衛官などが個人の車を移動できることになっているので、徒歩避難をする場合は誰でも車を動かせるようにしておく必要があります。

車を離れる際は、盗難や損害にあった場合の手続きに備えて車検証を持って行き、その代わりとして所有者が分かるように氏名と連絡先を書いたメモなどを車内に残しておきます。

・パニック

地震に遭遇した際にもっとも避けるべきは、パニックに陥らないことです。

大地震では地割れが起こったり、強い揺れによって車が思うように操作ができない場合があります。なかには恐怖のあまり暴走する車両や、慌てて逃げようとして車道に飛び出す人も。その結果、緊急車両の通行や人命救助の妨げとなってしまいます。

地震が起こったらドライバーも同乗者も一人ひとりが冷静を保ち、周囲の状況を確認しながら慎重な行動を心がけることがなにより重要といえるでしょう。

とはいっても、大地震時を目の当たりにして冷静でいるのは困難ですよね。災害時の極限状況下でも慌てることがないように、できる準備は事前に済ませておくことも大切です。

・地震に遭遇したときの「やることリスト」を車内に用意しておく
・車内に残す連絡先カードをあらかじめ作っておく
・スマートフォンに防災アプリをインストールしておく
・自動車保険は、地震災害でも車が補償される特約を付帯しておく

運転中に地震に遭遇した場合にするべきことと、してはいけないことを頭に入れておき、そのうえで以上の準備しておくことで、気持ちと時間に余裕が生ま、情報収集と避難の判断に集中できます。特に近年は、地震活動が活発化してきているので、明日は我が身と思い対策を怠らないようにしなくてはいけませんね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])