覚えておきたい雪道の運転方法。チェーン装着時やスリップ対策も【車の冬支度2024年版】

■チェーン装着時はトラクションコントロール(TRC)はオフに

車のタイヤの空転を防止してくれる装置が「トラクションコントロール(TRC)」です。このトラクションコントロールが標準装備となったおかげで、アクセル操作ミスなどによるスピン、といった事故はかなり減っています。

チェーン装着時にはトラクションコントロールスイッチをOFFに!
チェーン装着時にはトラクションコントロールスイッチをOFFに!

ところで、どのタイプの車にも、トラクションコントロールを「OFF」にするスイッチが装備されています。この「OFF」スイッチは、サーキットなどでのドリフト走行や、テールスライドなどを行うためのもの……と勘違いしている人もいるようですが、じつは違います。

トラクションコントロールをOFFにするのは、タイヤチェーンを装着したときなのです。

タイヤチェーンを装着した状態でトラクションコントロールが効くと、タイヤチェーンの中でタイヤが空転しそうになったときに、エンジン回転が抑えられてしまうのです。タイヤチェーンを装着した際は、空転しつつも前に進んでいくことで車を走らせるので、トラクションコントロールはOFFにしなければなりません。

空転させて前へ出す! フィット性のいいゴムチェーンの場合はONとOFFそれぞれの具合を試してみよう
空転させて前へ出す! フィット性のいいゴムチェーンの場合はONとOFFそれぞれの具合を試してみよう

ただし、フィット性のいいゴムチェーンなどの場合はOFFにしないでも走れることもありますので、様子を見ながら走るようにしましょう。

なお、トラクションコントロールがOFFのときは、当然車の安定感が低下しますので、とくに注意して運転することが大切です。

●スタック脱出時、ステアリングは切らずに真っ直ぐで!

雪道を走っていて、アクセルやブレーキの操作がうまくいかず、雪壁に突っ込んでしまったとしましょう。こうした際、脱出するときには前輪(ステアリング)が切れていないことが大切です。

左右、どちらかに曲げたくても、まずはステアリングを真っ直ぐに!
左右、どちらかに曲げたくても、まずはステアリングを真っ直ぐに!

目標に向かって姿勢を作ろうとしてステアリングを切ってしまうと、それが抵抗になって脱出できなくなるのです。ステアリングは真っ直ぐにして、前後に少しずつ、少しずつ動かすようにすると脱出できる可能性が高まります。

そして雪壁などが避けられないと判断したときは、できる限り車の広い範囲が雪壁に当たるようにすると、車の被害が少なくて済みます。

●上り坂は周りに誰もいないことを確認してから、一気に登れ!

歩行者等がいないことを確認して、一気に登ろう!
歩行者等がいないことを確認して、一気に登ろう!

雪道でもっとも困るのが坂道です。坂道で登れなくなってしまうのは、ちょっと恐怖でもあります。無理そうな坂道に差し掛かったときは、先行車がいないこと、歩行者がいないことなどを確認してから登るほうがいいでしょう。

前の車が下がってくることもありますし、自分がコントロールしきれずに横を歩く歩行者などにぶつかる事態を避けるためです。そして、一気に登り切ることも大切です。途中で止まってしまうと、登り切れないことがよくあります。

※2020年2月2日の記事を2024年1月19日に追記・再編集しました。

(文/諸星陽一

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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