車両盗難に対抗する4つのアプローチ。 車を盗まれないための事前対策

■昨今は車の盗難が多い!? 盗まれないために対策できることは?

昨今車が盗難されたというニュースを目にする機会が増えている気がする…
昨今、車が盗難されたというニュースを目にする機会が増えている気がする…(写真はイメージです)

車の盗難件数はピークだった2003年の6万4223件から1/10程度までに減少していますが、完全撲滅までには程遠い状況です。

自動車メーカー最新の盗難防止装置を備えた新型車であっても盗難に遭っている現在、大切な車を盗まれないようにするには自己防衛するしかありません。

車の盗難対策について調べたところ、どうやら近年の盗難に対して確実な防衛策はないようです。ですが、複数の対策を施すことで盗まれる確率を下げることはできます。車両盗難に対抗する4つのアプローチを紹介します。

【アプローチ1】社外品盗難防止セキュリティの追加

近年の車には高度な純正盗難防止装置が備わっていますが、窃盗犯側で突破方法が発見されてしまうと同じシステムを採用する車の盗難防止機能は、ほとんど無意味なものになってしまいます。

その点、社外品の盗難防止セキュリティシステムを追加しておけば、純正の盗難防止装置が破られてもエンジンは始動困難です。また、社外品のセキュリティなら異常な振動などを検知して警報を鳴らすなどして犯行をあきらめさせることもできます。

とくに基礎的な盗難防止性能に劣る古い車は、それだけ盗難が簡単なので社外品のセキュリティ追加で強化しておきたいところです。

代表的な社外品セキュリティシステムは、国産製品ならパンテーラやゴルゴが有名どころ。海外製品ではヴァイパーやホーネット、クリフォードなどの名前が挙がります。

【アプローチ2】ホイールロック(タイヤロック)などの外部ロックの導入

ホイールロックは盗難防止に効果的
ホイールロックは盗難防止に効果的

運転装置や駆動部分をロックして車を動かせなくする「外部ロック」も盗難に有効です。電動工具などでロック自体が破壊されれば車は盗み出されてしまうものの、逃走までの時間を稼ぐことができます。

「ホイールロック(タイヤロック)」は雨の日などの着脱が面倒な欠点がありますが、外からよく見えるため盗難抑止にも効果的。

「ハンドルロック」も盗難抑止になりますが、ハンドルの方を切断して取り外される場合ももあるので、時間稼ぎとしての効果はホイールロックに一歩劣ります。

「ブレーキロック」は外からは見えづらいので抑止効果は薄いものの、一度取り付けてしまえばレバーを引くだけでブレーキペダルが踏めないようにできるうえ、車種によってはエンジンの始動も困難にできます。

【アプローチ3】センサーライトなどで駐車場のセキュリティを強化

防犯カメラの情報をもとに犯人が特定できる可能性もある
防犯カメラの情報をもとに犯人が特定できる可能性もある

車だけでなく、保管場所に手を加えることで盗難の阻止や抑止に働きかけることができます。

車庫や車カバーは車種の特定を防ぐ効果はありますが、盗難確率を確実に下げるには「カギ付きシャッター」や「カーゲート」が有効です。カギで着脱できるポールを車の前に1本立てて動けなくする「盗難防止ポール」という商品もあります。

またセンサーライトや防犯カメラの設置などで盗難作業がしづらい環境にすることも大切です。多言語に対応した「防犯カメラ作動中の警告看板」もしっかり掲示しておきましょう。

手を加えることができない賃貸駐車場の場合は、人通りのよい明るい立地の駐車場や機械式駐車場を契約するなどの対策が取れます。

【アプローチ4】GPSトラッカーやSNSを活用した事後対策

衛星の位置測位システムを利用して端末の位置がわかる「GPSトラッカー」を使えば、盗まれた車の現在位置をスマートフォンなどで追跡可能です。警備会社と連携したサービスなら、車に異常があった時点で現場に急行してくれます。

ただし、車内のトラッカーが窃盗犯に発見されると追跡はできなくなるので設置場所が最重要と言えるでしょう。

内蔵バッテリー式トラッカーは設置場所の自由度が高まる反面、定期的に充電する必要があるので管理に手間がかかります。車の電源を使用するGPSトラッカーは手間要らずですが、バッテリーが外されると車の位置がわからなくなる危険があります。

費用がかからない事後対策としてはSNSを活用する方法も。過去にはSNSで情報拡散して盗難車両がみつかったケースもあります。

●盗難対策の基本はカギの管理

犯行手口が多様化しているため、さまざまな対策が求められる
犯行手口が多様化しているため、さまざまな対策が求められる

基本的なところでは、カギの管理も重要といえますね。

「リレーアタック」と呼ばれる盗難手法は、スマートキーが発する微弱な電波を増幅して中継し、車の近くにキーがあると認識させて盗む方法です。これはスマートキーの電波を遮断できる特殊なケースやポーチに入れて管理することで対策できます。

また、バンパー裏などに隠してあるスペアキーを探し出して盗難に用いるケースや、家屋に侵入してキーを盗み出すといった昔ながらの盗難も未だに起こっているようです。

とはいえ、カギをしっかりと管理していたとしても、電子キーを複製してしまう「コードグラバー」や、車をハッキングして制御下に置いてしまう「CANインベーダー」などの盗難手法には効果がありません。

窃盗犯が嫌がるのは、とにかく「目立つこと」と「時間がかかること」です。

そのためには、複数の盗難対策を組み合わせるのが効果的です。紹介した4つのアプローチのなかから最低2つを実践しておくと盗まれる確率を大きく下げることができるでしょう。

盗難手口と対策方法をよく知り、防犯意識を高く保つことが車両盗難を防ぐ第一歩です。そのうえで、環境に合わせた有効なセキュリティを導入し、カギや装備の管理を徹底して窃盗犯に対抗しましょう。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])