予算・駐車場2つの壁を乗り越えた2023年のベストバイはトヨタ「プリウス」【2024年おすすめ車ベスト3】

■ハイブリッド、ディーゼル、BEVと、多彩なパワートレインを選べる楽しさを実感

2023年は1月6日のGRスープラRZ 6速MT車から12月26日のシトロエンC4シャインブルーHDiまで、フルモデルチェンジや新型車だけでなく追加グレード、マイナーチェンジ、一部改良など、180車種以上の国産・輸入車に試乗できました。その試乗した中から2023年のマイベスト3を紹介します。

プリウスハイブリッドZの走行シーン
プリウスハイブリッドZの走行シーン

一般的に車を購入する場合、多くの人にとって壁となるのが予算でしょう。続いては乗車人数、燃費など、ユーザーそれぞれの壁があると思います。筆者の場合、予算の次に壁となるのが駐車場の問題です。

筆者は集合住宅内に設置された立体駐車場に車を借りているため、全幅1,800mm、全高1,550mmというボディサイズに制限があります。駐車場は建物の地下にあるため、雨の日に出掛ける際にも非常に便利というメリットがありますが、土地柄ボディサイズに制限のない屋外駐車場は料金が高く手が出ません。

2023年に試乗した車の中で、(予算はかなり厳しいけれど)これは欲しい!と思った車は、日産スカイラインNISMO、GRカローラ、スバルレヴォーグレイバック、BMW X1などがありました。

残念ながら、スカイラインNISMOとGRカローラは、全幅がオーバー。レヴォーグレイバックとX1は、全幅だけでなく全高もオーバーとなってしまいました。また、これまで全高1,550mmに対応していた、スバルクロスバック(旧XV)やプジョー2008は全高1,550mmオーバーとなってしまい非常に残念です。

●燃費が良いだけのハイブリッド車というイメージを覆したトヨタプリウス

プリウスハイブリッドZのフロントスタイル
プリウスハイブリッドZのフロントスタイル

その中で2023年マイベスト3として最初に選んだのは、日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーに輝いたトヨタプリウスです。

現行型プリウスは、ボディサイズは全長4,600mm×全幅1,780mm×全高1,430mmで駐車場はクリアしています。

これまでのプリウスは燃費性能こそ優れているけれども、運転しているとちょっと退屈さを感じることもありました。しかし、現行型は刷新されたハイブリッドシステムにより、燃費と走りの楽しさを両立しています。

特に個人的に好みだったのはハイブリッドの4WD車です。リアに高出力なモーターを搭載したことで、前後の駆動力配分をこれまで以上に最適化できるようになり、安心・安全の走りを提供してくれます。

また現行型プリウスはハイブリッドに加えてPHEVもラインアップ。住んでいるエリアによっては国の補助金+地域の補助金を利用すれば、ハイブリッド車の最上級グレードよりもPHEVのほうが割安になるということもあります。

メーターパネルのサイズがちょっと小さくて情報が見にくいことやスタイリッシュなスタイルゆえ、見にくい部分があるなど気になる部分はありますが、どんな人にも似合い使い勝手抜群のプリウスが2023年マイベストの1台です。

●シトロエンC4は我が家の立体駐車場に対応した最強クロスオーバーSUV

シトロエンC4シャインブルーHDiの走行シーン
シトロエンC4シャインブルーHDiの走行シーン

続いては、トヨタプリウスと同じCセグメントに属するシトロエンC4 シャインブルーHDiです。2023年6月に一部改良を行い、コネクテッド機能を備えた最新のインフォテイメントシステム「シトロエンマイドライブラス」を採用しました。

さらに、ナビゲーションやエアコンなどが音声操作に対応し、スマートフォンのワイヤレスチャージャーが標準装備となるなど、利便性が向上しています。また、駐車時の安全確認に役立つバックカメラに、「トップリアビジョン機能」を搭載するなど、運転支援機能を充実させています。

同じCセグメントのクロスオーバーモデル、スバルクロスバックが立体駐車場非対応となりましたが、シトロエンC4はディーゼル車もBEV(電気自動車)もボディサイズは全長4,375mm×全幅1,800mm×全高1,530mmとバッチリ対応しています。

C4は、シトロエン独自のハイドロニューマチックサスペンションのテクノロジーを受け継いだ最新のシステムである、プログレッシヴ・ハイドローリック・クッション(PHC)を採用。しなやかでフラットライドな乗り心地を実現しています。

立体駐車場に対応したボディサイズ、優れた乗り心地、そして充実した運転支援システム。さらに燃料代を抑えられるディーゼルエンジンとシトロエンC4も2023年のベストモデルの1台です。

●日本市場に合わせて全高を1,550mmに下げたBYDドルフィン

BYDドルフィンの走行シーン
BYDドルフィンの走行シーン

そして2023年マイベスト3の最後は、BYD ドルフィンです。国の補助金に東京都の補助金をプラスすると車両本体価格が200万円台。しかも、満充電時の走行可能距離は400kmと文句なしのスペックです。

また、ドルフィンの日本導入モデルは、シャークフィンアンテナの形状を変更し、ボディサイズは全長4,290mm×全幅1,770mm×全高1,550mと、立体駐車場に対応させているのも選んだ理由の一つです。

メーターパネルが小さくて表示が見にくいという気になる部分もありますが、BYD独自のブレードバッテリーはエアコンなどを使用しても、航続走行距離への影響が少ないのも魅力です。また、エアコンにはヒートポンプ式を採用しており、暖まりやすいです。

BEVは、自宅で充電できるユーザーは大きな恩恵を受けられます。筆者は集合住宅で立体駐車場なので、自宅で充電できません。しかし、近くのコインパーキングに200V 6kWの普通充電機が設置されたので、夜間の駐車料金が安い時に充電しておけば、翌日の朝には100%まで充電できるようになりました。

自宅に充電器のあるBEVユーザーしか味わえない優越感を少し味わえたことで、グッとBEVが身近な存在になりました。コンパクトBEVのドルフィンならば走行距離も十分ですし、運転しやすいサイズというのがマイベストに選んだ理由です。

2023年のマイベスト3は、ハイブリッド/PHEVのトヨタプリウス、ディーゼルとBEVを用意するシトロエンC4、そしてBEVのBYDドルフィンとしました。今後さらに多用化するパワートレインを、自分の使い方に合わせて選択できる楽しさを味わえる車が多いのも特徴です。

(文、写真:萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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