■あおり運転だけではない!勘違いしがちな「妨害運転罪」
2020年6月30日から施行された改正道路交通法で新たに創設されたのが「妨害運転罪」。
この妨害運転罪は、後方から接触すれすれに近づいて前走車を威嚇するような、いわゆる「あおり運転」などを防止する目的で創設されたものです。
罰則は最大で懲役3年と非常に重く、即免許取り消し(欠格期間2年※前歴・累積点数のない場合)となります。また、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられることとなりました(当然こちらも即免許取り消し、かつ欠格期間は3年※前歴・累積点数のない場合)。
この妨害運転罪で勘違いしがちなのが、妨害運転にあたる行為は「あおり運転」だけでないこと。実際にはあおり運転以外にも妨害運転として扱われる行為があります。
そのひとつが「あおられ運転」です。
■あおられ運転でも免許取り消しの可能性!?
故意に高速道路を最低速度以下で走る、後続車がいた上で急ブレーキを踏んだり急停車をする、後続車が追い越し車線に移ると同時に追い越し車線に入り進路を妨害するなどの行為、いわゆる「あおられ運転」も妨害運転にあたります。
また速度に関係なく高速道路の追い越し車線を長時間に渡りとどまって走行するなどの行為も、政府広報や警察庁のサイトでは「違反」と明記されています。
なお、「妨害運転の対象となる一定の違反(10類型)」は次の通り。
1.通行区分違反
2.急ブレーキ禁止違反
3.車間距離不保持
4.進路変更禁止違反
5.追越し違反
6.減光等義務違反
7.警音器使用制限違反
8.安全運転義務違反
9.最低速度違反(高速自動車国道)
10.高速自動車国道等駐停車違反
自分では妨害運転をしているつもりが無くても、追い越し車線に長時間とどまって走行を続けてしまう方も多いことでしょう。追い越し車線は、あくまで「追い越す」目的のために走行する車線。追い越し車線を走行し続けた車両は、通行帯違反(道路交通法第20条第1項)となりますので、「追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻る」ことを徹底してください。
追い越し車線走行中、後方から後続車が近づいてきたことをミラーなどで確認した際は、速やかに走行車線に移り、後続車を先に行かせてしまうことも、お互いのトラブルや違反、事故を防止することにつながります。
譲り合う心で事故も違反も減らせるのです。
(写真・文:松永和浩)
※2020年7月17日の記事を2023年12月30日に追記・再編集しました。
【関連リンク】
政府広報オンライン「一発で免許取消し!「あおり運転」が厳罰化!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202006/1.html
警察庁 危険!「あおり運転」はやめましょう
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/aori.html