■新会社のENYRINGが小型電動車両用交換式バッテリーのサブスクリプションサービスを提供
オランダやドイツなど、自転車が生活に根付いているヨーロッパ。脱炭素のニーズに応える電動アシスト自転車の注目度が高まり、普及も着実に進んでいるそうです。
ヤマハ発動機は、ヨーロッパで小型電動車両用バッテリーをマネジメントする新会社のENYRINGを2023年12月に設立しました。ドイツに本社を置くENYRINGは、小型電動車両用交換式バッテリーのサブスクリプションサービスを提供します。
また、欧州のサーキュラリティリーダー(資源循環型ビジネスをけん引する企業)とともにバッテリーをリユース・リサイクルすることで、使用済みの製品を資源として新たな製品をリリースし、廃棄物を発生させない「クローズドループ」を構築。環境の負荷を軽減し、持続可能な循環型社会の実現に寄与する事業になります。なお、事業開始は、2025年上期が予定されています。
ENYRINGは、同社と戦略的パートナー企業との協業が想定されていて、事業開始時には、ドイツ、オランダでの事業展開が予定されています。
低速領域の小型電動車両、主に電動アシスト自転車が対象で、サブスクリプションで利用できるバッテリーを貸出、市中の各所に設置したバッテリーステーションで、いつでもどこでも気軽にバッテリーが交換できるそう。充電の手間やバッテリー本体の購入費用は不要になります。
さらに、モビリティの利用に適さなくなった使用済みバッテリーは蓄電池として再利用された後、セルに分解されてリサイクル。新たなバッテリーとして再生されます。
今回の欧州での事業は、カーボンニュートラル社会実現に向けた活動の一環として、日常生活での移動における新たな価値を提供するという狙いが込められています。「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」で重要課題として定めた廃棄物の削減や持続可能な天然資源の利用、エネルギー効率の改善に寄与する事業です。
パリなどでは、電動キックボードの乗り入れが禁止され、新世代のモビリティはまだ手探り状態にありますが、昔から根付いてきた自転車であれば、欧州での新たな移動手段としてさらに定着するかもしれません。
(塚田勝弘)