トヨタ「プリウス」「カローラ」「GR86」がカーボンニュートラル燃料を使用してレースデビュー

■「P ROOKIE PRIUS CNF-HEV GR concept」をタイ10時間耐久レースに投入

現行プリウスを街中で見かけるようになり、納車を待っている方もいるのではないでしょうか。2023年12月12日時点では、サブスクの「KINTO」扱いの「U」グレードであれば1.5ヵ月〜2ヵ月程度と比較的早く乗れるようです。

現行プリウス(ハイブリッド)の外観
現行プリウス(ハイブリッド)の外観

トヨタは、2023年12月22日、23日にタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで行われる「IDEMITSU SUPER ENDURANCE SOURTHEAST ASIA TROPHY 2023」(タイ10時間耐久レース)に参戦します。

カーボンニュートラル燃料を使用したGR86「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」、水素エンジンカローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」に加え、新たにプリウス(ハイブリッド)である「CP ROOKIE PRIUS CNF-HEV GR concept」の3台体制で挑むことになります。

「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」の走行イメージ
「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」の走行イメージ

この3台は、ROOKIE Racingの参戦車両として投入され、今回新たに加わったプリウスは、市販車をベースに開発。市販のプリウス(HEV)でレースに参戦するのは、トヨタとして今回が初になります。

また、「Toyota Gazoo Racing team Thailand」の参戦車両のうち、カローラ、86、ヤリスの3台も、カーボンニュートラル燃料を使用して参戦する予定になっています。

参戦予定のドライバーは、MORIZO(豊田章男会長)、小倉康宏、Kachorn Chiaravanont(カチョーン・チャラワノン)、佐々木雅弘、片岡龍也、石浦宏明、大嶋和也、蒲生尚弥、山下健太、平良 響、加藤恵三、豊田章男会長の長男である豊田大輔選手。

近年のトヨタは、水素エンジンカローラをはじめ、カーボンニュートラル燃料を使用したGR86のスーパー耐久シリーズ参戦を通じて、レースの場で検証することで、カーボンニュートラル社会実現に向けたマルチパスウェイ(全方位)の取り組みを加速。この2台は、2022年のタイ25時間耐久レースにも参戦し、日本とは異なる環境下で車を鍛えることにも挑戦しています。

今回は、さらにそのマルチパスウェイの取り組みを広げるため、特にアジアやタイのカーボンニュートラル実現で有効な選択肢のひとつとするハイブリッド車を参戦車両に加えることになります。燃料にはカーボンニュートラル燃料が使われます。

また、TOYOTA GAZOO Racingは、世界耐久選手権(WEC)参戦を通じて、Racing Hybridの技術をブラッシュアップしてきました。今回はプリウスにスポーツ走行に適した技術が投入され、走りの魅力と燃費性能を両立したハイブリッド技術を鍛えることになります。

「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」の走行シーン
「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」の走行シーン

加えて、タイでのカーボンニュートラル社会実現に向けた仲間であるCharoen Pokphand Groupの執行役員兼、CPの交通サービス事業を担うTrue Leasingの社長であるKachorn Chiaravanont氏がプリウスのドライバーとして参戦し、仲間とともに未来の可能性を広げることに挑戦するとしています。

水素の利用には、多くの利点と課題があります。水素エンジンカローラは、カーボンニュートラル社会実現に向けた選択肢を広げる挑戦を続けており、モータースポーツを通じて集まった仲間は、国内外51まで増加しているそうです。

今回の参戦では、Charoen Pokphand Groupの養鶏場の鶏糞から生成されたバイオガス、トヨタの拠点であるToyota Daihatsu Engineering & Manufacturing(TDEM)で発生した廃棄食料から生成されたバイオガスを使い、TDEMの水素製造機で製造した地産地消の気体水素を、水素エンジンカローラの燃料の一部に使用するそうです。

CPとの協業における実証実験に使用したFCドローンを初披露
CPとの協業における実証実験に使用したFCドローンを初披露

また、イベント会場では、Charoen Pokphand Groupとの協業における実証実験に使われたFCドローンが初披露され、タイで水素を作り、運び、そして使うという取り組みも紹介されます。水素利活用モデルの構築に向けた取り組みの仲間を、タイを起点としたアジアにも広げる構えです。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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