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■オープンカーに乗っている際に雨に降られたら…
●傘を差して運転しても良いのか?
オープンカーは、屋根が無く風を大いに感じながら気持ちよく走ることができるクルマです。クルマ好きならずとも、一度はオープンカーに憧れた経験があるのではないでしょうか。
当然のことながら、雨や雪の日に乗る際には、オープンカーの屋根を閉じるものです。しかし、最近ではゲリラ豪雨のように突発的な雨が降ることも多くなっています。屋根を開けている状態で急な雨に襲われれば、自分はもちろん、車内もびしょ濡れです。
たとえばマツダのロードスターは、世界で100万台以上の販売台数を記録していますが、所有する100万人以上のオーナーが雨に濡れているとは考えられません。オープンカー好きは濡れるのも好き、というデータがあれば別ですが……。
とはいえ、なんらかの状況で屋根を閉められない時や、屋根の存在を忘れてしまった時(そんなのあるのか?笑)、せめてもの応急処置として傘を差して運転したら違反になるのでしょうか?
道路交通法第70条の「安全運転の義務」には、以下のように記載されています。
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキそのほかの装置を確実に操作し、かつ、道路、交通および当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
このことから、運転者が傘を差しながら運転することは、道路交通法違反となる可能性が非常に高いと言えます。傘を差すと片手が塞がり、ハンドルが思うように扱えなくなり、事故に至る危険性が高まるので、運転中に傘を差すことはやめるのが賢明ですね。
では、助手席の人は傘を差しても良いのでしょうか。
道路交通法第71条「運転者の遵守事項」の第4項には、以下のように記載されています。
「乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行う等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること」
助手席を含む同乗者が傘を差すことは、この法律に違反する可能性があるので、やはり避けた方が良い行為でしょう。安全のためにもそんなことをする方はいないと思いますが、それよりも、スタイリッシュなシルエットが特徴なオープンカーに傘……なんていうのは台無しです。
●高速道路なら雨に濡れない?
オープンカーに乗っている人が傘を差してはいけないことは、常識的にもわかりますね。
ところで、高速道路で屋根を開けてオープンカーを運転しても雨に濡れないという声もあります。
これは、スピードを出すとクルマの上に空気が流れるようになり、その気流に沿って雨が流れていくため車内があまり濡れない、という現象が起きているのです。
ちなみに、屋根のないレーシングカー、フォーミュラカーでサーキットを走っているときに雨が降っていても、車内は気にするほど水浸しになるようなことは無い……と聞いたことがあります。
そうなると、高速道路なら雨に濡れないし屋根を開けて走行しても問題ないと考える人もいるかもしれません。ですが、高速道路を走行する際は屋根を閉めるべき理由がいくつかあります。
まず、高速道路でなら雨に濡れない、とありますが、これはあくまで速いスピードで走り続けた場合です。なので、渋滞、料金所の際の減速、高速道路から出る際は雨に濡れてしまいます。さらに、高速道路を走っている時はすぐにクルマを止めて屋根を閉めることができません。
また、高速道路で屋根を開けながら走ると、普段よりもスピードが出ているため、車内のものが外に飛んでいく恐れもあります。これは、前述した道路交通法71条の「運転者の遵守事項」にも違反していることになるので十分注意が必要です。
雨が降っているときに屋根を開けて高速道路を走ることは違反にはなりませんが、このようなリスクを考えると、降雨確率の高い日にオープンカーで高速道路に乗る際は、最初から屋根を閉めて走ることが望ましいでしょう。
もし、オープンカーに乗っている最中にゲリラ豪雨に遭遇してしまったら、傘を差すのではなく、クルマを止めることができる場所へ移動してから屋根を閉めるようにしましょう。また、オープンカーでドライブをする際は天気予報を事前に調べておいて、急な事態に備えるのが良さそうです。
ただ、雨に濡れながら走ることが好きな人以外は……。
(梅村 ゆき)
※2021年12月23日の記事を2023年11月10日に追記・再編集しました。