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■9月、10月に各賞の授賞式・受賞式を開催
日本最大の鉄道趣味団体・鉄道友の会が最優秀な車両に与えるブルーリボン賞を受賞したJR東海HC85系の授賞式が、2023年10月22日に名古屋駅で開催され、優秀な車両に与えられるローレル賞を受賞した京都市交通局烏丸線20系の受賞式が9月23日に竹田車庫で執り行われました。
●国内最速のハイブリッド車
JR東海HC85系は、特急「ひだ」(名古屋・大阪〜高山・富山間)および「南紀」(名古屋〜紀伊勝浦間)に使用されていた、気動車キハ85系を置き換えるために導入したハイブリッド車です。2022年7月1日に「ひだ」でデビューし、今年の7月1日から「南紀」にも投入しました。
ハイブリッドシステムは、シリーズ式。1両に出力336kWの直列6気筒直噴ディーゼルインタークーラーターボエンジンと、出力245kWの永久磁石同期電動機を組み合わせた発電機、容量40kWhリチウムイオン蓄電池を搭載。VVVFインバータ制御で、145kW出力の永久磁石同期電動機2個を駆動します。
永久磁石同期電動機を使用する事で、誘導電動機を使用した従来型のハイブリッドシステムよりも高効率化を実現。モーターの定格効率は91%→97%に、発電機の定格効率は93%→97%に向上し、踏面出力も約10%向上しています。最高速度は120km/hで、国内のハイブリッド鉄道車両の中では最速です。
また、キハ85系よりもエンジンの搭載数を半減させ、燃費の向上、環境負荷の低減、車両内外の騒音を低減。そのほか、メンテナンス性の向上や乗り心地も改善していて、鉄道友の会の会員によるブルーリボン賞の投票では最多票を獲得しました。
●市民の意見で内外装のデザインを最終決定
京都市営地下鉄烏丸線20 系は、1981年に登場した初代車両10系を置き換えるために登場。2022年3月26日から営業運転を開始しました。
内外装のデザインは、工業デザイナーや公募した京都市民による「烏丸線車両の新造にかかるデザイン懇親会」が各3案を制作し、市民の投票で最終案を決定しました。
インバウンド対応や、バリアフリー設備も充実。先頭車には、立ち掛けシートがある「おもいやりエリア」を設置しています。
●HC85系と20系の共通点は伝統工芸品
HC85系と20系は成り立ちも性能も設備も違いますが、ひとつだけ共通項があります。それが地域の伝統工芸品をPRする場であるということです。
HC85系はデッキに伝統工芸品を展示するナノミュージアムを設置しています。
ナノミュージアムには飛騨春慶、一位一刀彫、美濃和紙、岐阜団扇、伊勢型紙などの伝統工芸品を展示しています。
京都市営地下鉄烏丸線20系も、伝統工芸品を展示、活用しています。
「おもいやりエリア」には伝統工芸品を展示。展示品は編成ごとに異なっていて、第1編成が西陣織と京友禅、第2編成が京仏具と京焼・清水焼、第3編成が京扇子と京漆器、第4編成が京鹿の子絞りと京表具となっています。
そのほか、車体の局章に鎚起(ついき)、標記銘板に京像嵌(きょうぞうがん)、釘隠しに金属工芸、吊り手に北山丸太と京くみひもを用いています。
伝統工芸品そのものを車内に展示した鉄道車両は珍しいと思います。JR東海HC85系と京都市営地下鉄烏丸線20系に乗った時は、伝統工芸品を探してみるのも面白いかもしれません。
(ぬまっち)