目次
■自転車を運転する免許所持者の扱いはどうなる?
●自転車での違反に反則金制度が適用されない理由とは?
「自転車」と言えば、免許がなくても気軽に乗れる便利な乗り物。道路交通法により「軽車両」と規定されていることなんかつゆ知らず、みんな歩いている時とあんまり変わらない意識で、自由気ままに走り回っているみたいだけど、実は、道路上では、自動車や自動二輪、原付バイク等の「車両」と同様に、しっかり道路交通法が適用されていることは言うまでもありません。
当然、違反を犯し検挙されれば、その法律に基づいた処罰が科せられることになるのです。
しかも、「車両」による信号無視や一時停止違反等の軽微な違反には、「交通反則通告制度」(反則金制度)が適用され、反則金を納付すれば無罪放免となり、前科もつかない青切符が交付されるのですが、なんと! 道路交通法第9章第一節第125条の規定(下記参照)により、自転車(軽車両)はなぜか適用外。
第9章 反則行為に関する処理手続の特例
第1節 通則
(通則)
第125条 この章において「反則行為」とは、前章の罪にあたる行為のうち別表の上欄に掲げるものであつて、車両等(軽車両を除く。次項において同じ)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
で、その理由だけど、たぶん、戦後のモータリゼーションの目まぐるしい発達により、自動車やバイクによる違反件数が爆増し、とてもじゃないけど(とてもだけど)行政や司法が対応しきれなくなったために、簡易な処理で済ませる「交通反則通告制度」が設けられた際に、自転車を含む軽車両の違反は超極少数だったために、あえて仲間に入れなかったからだと思われます。
まっ、要は「自転車による事故がそんなに増えるなんて思わなかった」というのが正直なところなのでしょう。
●基本、運転免許に傷がつく可能性はゼロ!
というわけで、その中途半端な法律のおかげで、おまわりさんの見てるところで違反を犯すと、自動車の運転と違い青切符制度がないために、例え軽微な違反であっても、もれなく刑事罰(最悪は懲役!)につながる赤切符をもらってしまう可能性があるのです。
となると当然、裁判所に出頭しなければならなくなり、さらに、起訴され略式裁判を受けた後、有罪となれば罰金or科料を科せられ、立派な前科者の出来上がり!ということになるのです(科料も罰金同様、前科となるが、市町村役場の「犯罪人名簿」には記載されない=言わなきゃバレない?)。
が、しかし、それはあくまでも原則(建前)。もし警察官がかたっぱしから赤切符を切りまくったとしたら、それこそ行政や司法がパンク状態になることは自明の理。
そうならないために今、軽車両にも「交通反則通告制度」を適用することが検討されているといいますが、少なくともそれまでは、よほど悪質(超危険行為や酒酔い運転など)、あるいは常習犯と見なされない限り、いきなり赤切符を切られるケースは少ないでしょう。
事実、ほとんどの場合、「注意」で済まされ、何の法的根拠もない黄色い切符(注意喚起)が渡されるだけで済まされているようです。
また、例え切符を切られたとしても、検察で起訴猶予となるケースも多いと聞いています。
ちなみに、「車両」(自動車や自動二輪、原付バイク等)の運転免許を持っている人が、自転車で違反し切符を切られた場合、違反点数がつくのかつかないのか、その辺が大いに気になるところですが、まず、自転車を含む「軽車両」には点数制度そのものがないので、点数のつけようがないというのが原則。
ただし、悪質な違反を繰り返したり、死傷事故を起こした場合には、「自転車運転者講習」が義務付けられるだけではなく、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」危険性帯有者(道路交通法第103条8号)と見なされ、運転免許停止処分を受けたという事例が数例あることは認識しておいた方がいいようです。
いずれにしても、今後の警察の出方次第では、自転車にも「交通反則通告制度」が適用され、軽微な違反であってもバンバン青切符が切られることになる可能性は大。
なにはともあれ自転車も自動車同様に、人を死傷させる凶器になる可能性があることを、くれぐれも忘れないで欲しいです。
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