■マネしたくなる気持ちがわかるほど中国でもアルファード/ヴェルファイア人気は過熱気味
2023年10月28日~11月5日まで一般公開されるジャパンモビリティショー2023。出展社の中で輸入車ブランドの少なさが目を引きます。その中で注目と言えば、2022年に日本市場に参入し、現在最も電気自動車(BEV)の新車を販売しているBYDでしょう。
先日、ジャパンモビリティショーで正式発表されるBYDのBEVセダン、シール(SEAL)を試乗するために中国へ行きましたが、街中で最も見た日本車といえば、旧型のアルファード/ヴェルファイアだったかもしれません。
香港やマカオと中国の2つのナンバーを付けた右ハンドル車だけでなく、左ハンドル車もよく見掛けるほどで、アルファード/ヴェルファイアの人気は日本国内だけでなく、アジア圏に拡大していることを改めて実感しました。
中国・深圳にあるBYDの本社で、アルファードそっくりなミニバンを発見しました。その車というのが、今回のジャパンモビリティーショー2023に展示されるDENZA(デンツァ)D9です。
本社の敷地内という限られた状況でしたが、デンツァD9に試乗できましたのでインプレッションを紹介しましょう。
●「DENZA(デンツァ)D9」はBEVとPHEVの二刀流
デンツァD9はBYDとメルセデス・ベンツの合弁会社が開発したハイエンドサブブランド「DENZA(デンツァ)」のミニバンです。今回のジャパンモビリティショー2023にはBEVしか展示されませんが、中国にはPHEVも用意されています。
外観は、大きなグリルで垂直方向にシルバーの加飾が特徴的な、エスクァイアのようなフロントマスクがBEV。旧型アルファードのようなデザインのフロントマスクがPHEVとなっています。
デンツァD9のボディサイズは、全長5,250mm×全幅1,960mm×全高1,920mm。ホイールベースは3,110mm。現行型のアルファードより全長は+255mm(4,955mm)、全幅は+110mm(1,850mm)全高は-15mm(1,935mm)と、ローアンドワイドのフォルムが特徴です。
ホイールベースは110mm(3,000mm)デンツァD9の方が長くなっているので、アルファードのロングボディと考えればいいかもしれません。5.25mのボディの中に2+2+3の合計7人乗りの3列シートをレイアウトしています。
インテリアは、10.25インチの液晶パネルをはじめ、センターパネルには15.6インチのディスプレイを設置。エアコンをはじめとした操作はすべてディスプレイで行うため、物理スイッチはほとんどありません。シートはダイヤモンドキルティングを施したレザーコンフォートシートを採用し、ラグジュアリーな雰囲気が漂っています。
現地の資料によると、駆動方式は4WDで、満充電時の走行可能距離は最大で800kmとなっています。車両本体価格は45万元からとなっていますので、日本円で約920万円~となっています(2023年10月現在)。
デンツアD9は、BYDとメルセデス・ベンツの合弁会社が開発したモデルで、BYDが独自開発した「DiSusインテリジェントボディコントロールシステム」を採用しています。
このシステムの効果のせいか、背の高いミニバンにもかかわらず、荒れた路面を走行しても全くボディに不快な揺れは発生しません。セカンドシートに座っても床面の揺れはほとんどなく、現行型アルファード/ヴェルファイアに劣らぬ快適さを実現しています。
デンツアD9は2022年8月の販売以降、2023年10月現在、中国での累計販売台数は10万台を超える人気車種。ジャパンモビリティショー2023に展示するということは、今回のユーザーのリアクションによっては日本にも導入される可能性は高いと思います。
アルファードにめちゃくちゃそっくりとはいえ、まだミニバンのBEVは日本国内では市販化されていませんので、今回のジャパンモビリティショー2023では要チェックです。
(文・写真:萩原文博)