ミニバンなのに4人乗り・価格2000万円のレクサス「LM」。アルファード/ヴェルファイアとなにが違う?

■新型LMはアルファードよりも全長が130mm長く、40mmワイドで、20mm高い

2023年10月19日、日本向けとしてはレクサス初のミニバンであり、最上級モデルに設定する「LM」を発表しました。2023年4月の「上海モーターショー2023」でワールドプレミアされ、話題を集めていたLM。同日から受注が開始され、同年12月下旬頃の発売予定となっています。

レクサスLMのエクステリア
レクサスLMのエクステリア

2020年に販売が開始された初代LMは、主に中国やアジア地域でのショーファードリブンMPVのニーズに応えるため、4人乗り・7人乗り仕様が設定されていました。アルファードからのコンバージョンキットも出回るなど、LMのニーズは日本でも高まっていました。

レクサスLMのリヤまわり
レクサスLMのリヤまわり

新型LMも発表時点では、ショーファードリブンに特化した4人乗り仕様のみ。パワートレーンも発表時点では、2.4Lガソリンターボに前後モーターを組み合わせたAWD(E-Four)の「LM500h EXECUTIVE」のみとなっています。

レクサスLMのサイドビュー
レクサスLMのサイドビュー

LMのボディサイズは、全長5125×全幅1890×全高1955mm。ホイールベースは3000mm。新型アルファードは、全長4995×全幅1850×全高1935mmで、ホイールベースは3000mm。

アルファード/ヴェルファイアが1850mmの全幅を堅持し、日本での取り回しに配慮したのに対し、グローバルモデルである新型レクサスLMは、新たなフロントアイデンティティである「スピンドルボディ」の採用もあって、ロング&ワイドというスタンスになっています。

プラットフォームは、新型アルファード/ヴェルファイアと同様に新「GA-Kプラットフォーム」で、従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を確保するなど、剛性向上による走りの良さを享受できそうです。

レクサスLMのインパネ
レクサスLMのインパネ

さらに、レクサス初となる周波数感応バルブ付AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)と「Rear Comfort」モードが採用され、走行状況などに応じて快適な乗り心地が得られるはず。AVSは、リニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブが併用されています。

●レクサス自慢の静粛性も徹底的に磨き上げる

「スピンドルボディ」を採用するLM
「スピンドルボディ」を採用するLM

もちろん、レクサス自慢の高い静粛性も担保されていて、源音の低減・遮音・吸音の3ステップで静かな車内を確保。

源音の低減策として、ロードノイズと風切り音に着目。ロードノイズはタイヤ&ホイールの転がり音低減に加え、発音部位として面積の大きいルーフに高減衰マスチックを採用し振動を低減することで、静粛性が確保されています。

レクサスLMのテールランプ
レクサスLMのテールランプ

風切り音は、ボンネットやピラーまわりの段差を小さくするなど、細部まで徹底した対策が施されています。音や振動の発生源のひとつであるエンジン、振動の伝達増幅の原因となるマウント系にも徹底したチューニングを実施。「ANC(Active Noise Control)」による音響空間のクリーニングも盛り込まれています。

源音の低減、遮音、吸音の3ステップで静粛性を向上
源音の低減、遮音、吸音の3ステップで静粛性を向上

遮音性を高める新たな取り組みとして、発煙装置を使用したスモークテストとCADツールを組み合わせ、騒音の侵入経路を明らかにすることで、ボディシール構造の最適化も実施されています。フロントウインドウ、フロントクォーター 、フロント、リヤのサイドガラスには、高周波の風切り音の低減を狙い、アコースティックガラスが採用されています。

吸音では、アルファード/ヴェルファイアと同様に、外部からの音を完全にシャットアウトした無音の空間ではなく、音の適度な反射により空間の広がりを感じさせる仕立てになっているとのことです。床下にはフロアカーペットとは別体のフロアサイレンサーが設定され、吸音材、遮音材、制振材の分量や厚みがチューニングされ、各部位に最適配置され、キャビン内の騒音を大幅に低減しながら心地よい静粛感が得られます。

発表時は4人乗り仕様のみ
発表時は4人乗り仕様のみ

さらに、17インチ・19インチタイヤ&ホイールが新たに開発され、17インチにはノイズリダクションホイールが採用されています。アウターリム部の中空化により気柱共鳴音を低減させ、高い静粛性に寄与。鍛造ホイールの19インチは17インチと同等の質量を実現し、バネ下質量の低減に貢献しています。

48インチの大型ワイドディスプレイ
48インチの大型ワイドディスプレイ

そのほか、快適性を徹底追求したというシートの装備と操作系、プライバシーの確保と開放感を両立するパーティション、多様な利用シーンが想定された新規開発の48インチ大型ワイドディスプレイも用意されています。

価格は新型センチュリー(SUVタイプ)の2500万円よりも抑えられていますが、アルファードの最高級仕様の872万円から2倍超となっていて、4人乗り仕様はショーファーとしての資質が徹底的に磨かれたグレードになっています。

レクサスLMのキャビン
レクサスLMのキャビン

●ボディサイズ:全長5125×全幅1890×全高1955mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2460kg
●LM500h “EXECUTIVE”価格:2000万円

(塚田 勝弘)

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この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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