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■日本のカングー市場は世界的に見てヘン!?
●2000台のカングーが山中湖に集結!
毎年、大勢のカングーが一同に会するカングージャンボリーが今年2023年も開催されました。
2009年に第1回が開催され、コロナ禍で2回のオンライン開催はあったものの、15回を迎える歴史あるカングージャンボリーは、2023年も2022年に引き続き、会場は山中湖交流プラザ「きらら」での開催です。
参加台数はおよそ2000台。おびただしい数のカングーが今年も集結しました。
今回MCを務めるのは、昨年はゲスト出演だった自らもカングーオーナーの安田大サーカスの安田団長、そして自動車ジャーナリストでラリーなどモータースポーツでも活躍する竹岡圭さんです。
年々、カングーの輸入元となるルノー・ジャポンがジャンボリーへの力の入れようが大きくなり、2022年は新型カングーの日本初お披露目をこのイベントで行ったほど。
近年はルノー・ジャポン社長の小川隼平さんも来場し登壇、いちユーザーのような出で立ちで自らマイクを握って挨拶以上のコミュニケーションを行ってきました。2023年は、なんと本国ルノー本社から、カングーを担当するLCV部門のトップである上席副社長のハインツ・ユンゲル・レーヴさんも来日、登壇するというので、その力の入れようがわかりますし、今年のサプライズ登場は何かと、ファンもメディアからも注目が集まります。
●プロユースらしさを表現したカングー「ヴァリエテ」
その注目車両は今年は2台も用意されていました。ひとつが限定車の「ヴァリエテ」。
カングーはそもそも商用バンのプロフェッショナルユースさが魅力で、それを遊びに生活に取り込んじゃったのが日本でのブームのきっかけ。「ヴァリエテ」はそのプロっぽさを強調し、ボディカラーにスモーキーな「グリアーバン」というグレーを採用し、マルチルーフバー、スマートフォンワイヤレスチャージャーを装備した200台の限定販売車です。
ヴァリエテはブラックスチールホイールが標準ですが、画像の車両のように、別売りアクセサリーのセンターキャップを装着したいところですね。
ベースグレードは、クレアティフのガソリンモデルですが、マルチルーフバーを標準としているため、届け出スペック上では、全高が50mmアップの1810mm→1860mmへ。車両重量は10kgアップの1560kg→1570kgとなっていますが、それ以外はクレアティフやそのほかグレードと同一となっています。
価格は419万円となっています。ヴァリエテは抽選販売となり、10月21日(土)から 11月19日(日)まで、全国のルノー正規販売店で抽選販売の購入申込みを受け付け。申込み数が200台に達しない場合は、先着順による通常販売となるとのことです。
●7人乗りのグランドカングー登場
そして、さらにサプライズ登場となったのが、7人乗りのグランドカングー。
2023年9月にミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」でワールド・プレミアしたばかりのこの車両は、飛行機ではるばる14時間かけ、1万kmを超えて山中湖までやってきたのだそうです。
グランドカングーは、カングーの全長を40cm延長し、4910mmとし、ホイールベースは3100mm(カングーは2715mm)としています。延長分はスライドドア以降を伸ばしてドア開口部も広げて乗降性の向上し、3列目を設置しています。2〜3列のシートは取り外し可能で広大な荷物スペースが現れます。
バックドアはこの個体は跳ね上げ式ですが、日本仕様では他のカングーと同じ左右開きのダブルハッチになることも検討中だそうです。
安田団長が「マニュアルが好きなんですが、マニュアルは導入しますか?」との質問にレーヴ副社長は、「導入したら契約してくれますか?」との問に団長は、「ハイ、買います!」と即答。どうやらマニュアル導入が決定したようです!?
続けて団長「ガソリンですか? ディーゼルですか?」との質問に、急遽小川社長とレーヴ副社長は壇上でマイクを外してゴニョゴニョと話し合いを始め、「それはご期待下さい!」との回答。
う〜ん、マジでそれはまだ決まってないんですねー。
日本へは2024年登場としていますが、これは欧州市場と同じ。カングーにおいてルノー本社が日本市場への並々ならぬ「特別扱い」が感じられますね。
●YOUは何しに日本へ?
さて、日本市場でのカングーがどれほど「特別」なのかがわかるのが、今回のカングージャンボリーへ、ルノー本社から副社長を始め多くのカングー関係者が来日来場しているのと、それとは別にヨーロッパからのテレビクルーをはじめ多くの取材陣が詰めかけていること。
どうやら昨年、フランスのテレビ局が「おいおい、日本ではあの商用車のカングーを、一般の人やファミリーが楽しそうに使っている変わった国なんだぜ」という番組を放送したのだそうで(表現はワタクシの個人的なイメージ)、それがヨーロッパ中に「やっぱ東洋の端っこの島国はオモロイことやるんやなぁ」(やはり個人のイメージ)ということで、フランスはもちろん、イタリア、ベルギー、英国などなど、ヨーロッパから11カ国もの国から取材班が来場していました。
取材陣は、日本向けの限定者だけでなく、来場しているファンや、カングージャンボリーの大きな目玉であるユーザーによるフリーマーケット、屋台の富士宮やきそばやたこ焼きなんかを熱心に取材しており、自国のメディアで紹介するようです。
どんな風に表現されるのか、オカシナ解釈で放送されていないか、観てみたいですね。
ルノー本社のみならず、ヨーロッパのメディアが特別扱いする日本のカングー市場。痛車やドリ車、JDMやチューニングカーのみならず、日本発祥の自動車文化のひとつとして、世界に認められるようになると誇らしいことだと思います。同じ自動車好きとして、大事に育てていきたいですね。
(文:小林和久/写真:小林和久、ルノー・ジャポン)