■こだわりが詰まった車
「どうして後ろのドアがあるのに、リヤシートがついていないの?」
車に乗り込むなり彼女の口から放たれた、そんな疑問はごもっとも。リヤドアがついているのにリヤシートがないなんて、常識ではちょっと考えられませんよね。不思議に思う気持ちはよくわかりますって。
「そこは荷物を置く場所。ドアがあるのは、荷物を出し入れするため」
そんなボクの回答にも彼女はピンとこない様子。苦し紛れだから当然かも。
だって「車を軽くするためにリヤシートがない」なんていっても、きっと理解してもらえないでしょう。
そもそも、この「GRカローラ・モリゾウエディション」は、徹底的にこだわりが詰まった車。普通の「GRカローラ」も徹底強化のボディに手組みのエンジンと、こだわりの塊です。
モリゾウエディションはそれをさらに強化し、わずか70台だけを700万円オーバーで売ろうっていうんだから、とんでもない商品企画ですよね。
もちろん、70台はあっという間に申し込みが殺到して抽選になったわけで。
●乗り心地の不思議
「シートはいいかも。包み込んでくれる感じが心地いい」
それはそうでしょう。サーキットでの限界走行までを想定したシートだけに、ホールド性は抜群。意外と知られていないけれど、普通のGRカローラとモリゾウエディションではシートが違い、もちろんモリゾウエディションのほうが身体をよく包む。それでいで、いわゆるフルバケットシートと違って乗り落ちが大変でもないし、窮屈な感じもしないのだから秀逸なんですよ。
ちなみにインテリアは、ダッシュボードやドアトリムなどの仕立ても、普通のタイプとモリゾウエディションでは違う。普通のGRカローラはソフトパッドで、モリゾウエディションはハード素材。普通は高い仕様のほうがソフトパッドだけど、そうじゃないのはきっと軽量化のため…に違いない…たぶん。
違いといえば、意外にも普通のGRカローラよりもモリゾウエディションのほうが乗り心地は良かったりします。もちろん、サスペンションが硬いには硬いんだけど、モリゾウエディションのほうが路面の細かい凹凸をしっかりと吸収するから、不快じゃないのです。
これは不思議だけど、おそらくモリゾウエディションのほうが優れたダンパーを使っているからじゃないでしょうか。
「最初に見たときは厳ついなあって思ったけど、気持ちよさそうに運転しているのを見るとこの車を選んだ理由が伝わってきた」
おっ、さすが違いの分かるオンナ。
「きっと楽しいんだろうね。私も運転したいかも」
どうやらGRカローラ・モリゾウエディションは、彼女をその気にさせてしまう車のようで。