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■完全新設計になったロータリーエンジンを搭載
マツダの伝統であり、DNAを象徴するといえる「ロータリーエンジン(RE)」が帰ってきました。
かつて、RX-7やRX-8といったREスポーツカーに搭載されていた「13B」型エンジンとは、まったく異なる”回り方”をするという新型REの型式は「8C」。シングルローター、ガソリン直噴、発電専用といった特徴を持っています。
そんな8C型REを搭載するのが、観音開きドアを持つクロスオーバーSUVの「MX-30」で、発電専用REを載せたグレードの名前は「MX-30 Rotary EV」。
名前に「EV」とついていますが、発電専用REを積んでいるのですからBEV(バッテリーEV)ではありません。大きめのバッテリーを外部充電することでゼロエミッション走行が可能で、なおかつエンジンで発電することで航続距離を稼ぐことのできる、プラグインハイブリッドとなっています。
搭載するバッテリー総電力量は17.8kWhで、カタログスペックでは107kmを電気だけで走行できる能力を持っています。さらに、燃料タンクは50Lで、ハイブリッド燃費は15.4km/Lとなっていますから、REで発電することで770kmの走行が可能。合わせて877kmをノンストップで走れるポテンシャルを持っている電動モデルなのです。
●価格は423万円~491万円、補助金は55万円
というわけで、MX-30 Rotary EVは、REをシリーズハイブリッドとして利用したプラグインハイブリッドカーという風に表現できます。その価格帯は、423万5000円~491万7000円。
全長4395mm×全幅1795mm×全高1595mmというMX-30の車格を考えると、少々高価にも思えますが、むしろバーゲンプライスなのでは?と感じる部分もあります。
なぜなら、同じMX-30にはエンジンを積まないBEV仕様もあるのですが、そちらの価格帯は451万円~501万6000円となっているのです。
MX-30 EVではバッテリー総電力量が35.5kWhで、一充電航続距離は256kmです。実用性を考えると、MX-30 Rotary EVのほうが、明らかにコスパに優れていると感じる人が多いのではないでしょうか。
しかも、CEV補助金についても、MX-30 Rotary EVは最大55万円となっていますが、MX-30 EVは51万6000円と少ないのです。補助金を考慮すると、ますますロータリーエンジン搭載車がお買い得に見えてきます。
●128km走行分のバッテリーとRotary EVは同じコスト?
ところで、MX-30 Rotary EVが積んでいるバッテリーセルは、MX-30 EVと同じものだといいます。そして、その搭載量は前述したように、MX-30 Rotary EVは、MX-30 EVの約半分となっています。
電動車におけるバッテリーは、コストアップにつながっているというのは常々言われていることですが、MX-30の中で比較すると、新開発REと発電用モーターなどの製造コストは、EV仕様が積んでいるバッテリーの半分に相当するといえます。
言い方を変えると、EVモデルにおいて128kmを走ることができるだけのバッテリーと同等のコストで、新開発REと発電用モーター、燃料タンクなどを積むことができ、トータルでの航続距離が3倍になるというわけです。
こう考えてみると、MX-30 Rotary EVは、お買い得以外の何ものでもないように思えてきませんか?