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■時間の経過を忘れさせる黒光りするボディにオーナーの愛情の深さを感じる
●壊れたって愛おしいゴルフ3
エンスーな人たちは「メルセデス・ベンツがメルセデス・ベンツらしかったのはW124までだね」と良く話します。これは、メルセデスの創始者であるゴットリーブ・ダイムラーが掲げた“最善か無か”という信念が息づいているということなのでしょう。
今回紹介するペンネーム・に〜サンも初代フォルクスワーゲン・ゴルフの精神が宿っているのはゴルフ3までと考えて、すでに10年以上所有しています。
3代目となるフォルクスワーゲン・ゴルフ3は、1992年4月に日本市場に導入されました。ゴルフ3は、アウトバーンでメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズと対等に走れることをコンセプトに開発された、2.8L V6エンジンを搭載するVR6を設定したのが特徴です。
に〜サンが所有しているゴルフ3GTIは、1993年5月に導入されました。標準車は全幅1,695mmの5ナンバーサイズですが、GTIはブリスターフェンダーを装着。ボディサイズは全長4,020mm×全幅1,710mm×全高1,435mmの3ナンバーサイズとなっています。
搭載しているパワートレインは、最高出力145ps・最大トルク180Nmを発生する2L直列4気筒DOHCエンジン+5速MT。駆動方式は2WD(FF)のみでした。
に〜サンは、1993年式のゴルフ3GTIを2011年に40万円で購入。すでに10年以上所有していますが、これまでエンジンのタイミングベルトやアクセルワイヤー切れ、エアコンの故障など様々なトラブルがあったそうです。
しかしに〜サンは「壊れることも愛おしいと思えるので許せます」と笑顔で話してくれます。
旧い車なので、故障した際のパーツを手に入れるのが大変では?と聞くと、パーツは海外のサイトで手に入るので、それほど心配ないとのこと。
やはり、旧い車と付き合うには、壊れることも許せるくらい心に余裕を持つこと。そして、パーツの供給を確保するという2点が大切であり、そこまでやれば安心して維持できるということのようです。
●補修パーツ+他車パーツ流用でオリジナルなカスタマイズ
見たとおり、に〜サンのゴルフ3はカスタムが満載です。外観では、ゴルフ2をオマージュしたABTヘッドライトをはじめ、ワンオフグリル、カーボンボンネット、エアロミラー、ACCエアサス、オーバーフェンダー、シュミットエボリューションのホイール。そして装着しているタイヤはコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト3。
インテリアは、996GT3のシートをはじめ、小径ウッドハンドル、TTルックシフトゲート、ワンオフのオーディオと、目一杯カスタマイズされています。
カスタマイズに目が行きがちですが、モール類の色褪せもなく、とても30年前の車とは思えないピカピカのボディが特徴です。
スポーティなカーボンボンネットにした理由を聞くと、装着していたボンネットが歪んで閉まらなくなってしまい、普通じゃツマラナイからということ。旧いパーツなので、価格もカーボンボンネットとそれほど差がないのかもしれません。
ゴルフ3GTIの魅力を聞いてみると「まず現在では少なくなった左ハンドルのMT車であること。そして30年が経過していても、車の基本性能である走る・止まる・曲がるがしっかりしていて、運転していてめちゃくちゃ楽しい!」と話してくれました。
トラブルが発生する頻度は多いかもしれませんが、それを超える楽しさという魅力が、に〜サンの心をガッチリと掴んで離さないのでしょう。
ゴルフ3GTIの楽しさを味わえる新車はない、と話すに〜サン。まだまだゴルフ3GTIとのカーライフは続きそうです。
(文・写真:萩原 文博)