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■愛車は国内限定100台のトゥアレグと33台のゴルフというVWコレクター
●2台とも希少!な、フォルクスワーゲン「トゥアレグ」と「ゴルフ」とは?
12気筒エンジンというとスーパーカー世代の筆者にとって、特別な響きに感じます。しかしカーボンニュートラルの影響で、現在12気筒エンジンが搭載されているのはロールス・ロイスやベントレー、アストンマーティン、フェラーリと少なくなっています。
現在人気の高いSUVでは、ベントレー・ベンテイガがW12エンジンを廃止してしまったため、ロールスロイス・カリナンのみと寂しい状況です。
歴史を遡って12気筒エンジンを搭載したSUVを調べてみると、非常に興味深いことがわかりました。SUVで初めて12気筒エンジンを搭載したのは、2012年に登場したメルセデス・ベンツG65と思いきや、実は2005年のフォルクスワーゲン・トゥアレグだったのです。
今回はこの12気筒エンジンを搭載したフォルクスワーゲン・トゥアレグに加えて、国内にわずか33台しか輸入されなかったゴルフGTIカップカーの2台を所有するオーナー、岡田俊哉さんを紹介します。
●2005年式初代フォルクスワーゲン・トゥアレグ W12スポーツ
岡田さんが所有する車は、まず1台目が2005年式の初代フォルクスワーゲン・トゥアレグ W12スポーツ。ちなみに、トゥアレグのW12エンジン搭載車は、2005年3月に導入された100台限定のスポーツと、2006年10月に販売された150台限定のエクスクルーシブのみで、正規輸入車はわずか250台しかありません。
トゥアレグW12は当時、日本市場で販売するフォルクスワーゲン車の中で1000万円オーバーという高級車でしたが、100台限定のスポーツは即完売。それを受けて、エクスクルーシブの追加となりました。
トゥアレグW12スポーツは、全長4,770mm×全幅1,975mm×全高1,710mmというボディに最高出力450ps、最大トルク600Nmを発生する6L W12気筒エンジン+6速ATというパワートレインを搭載しています。
搭載されている6L W12エンジンは、フォルクスワーゲン独自の15度という、極めて狭いバンク角を持つ狭角V6エンジンを、72度の角度で2基並列に配置。コンパクトな構造の狭角V6エンジンをモジュールとして採用した結果、12気筒エンジンとしては世界最小クラスの軽量コンパクトなサイズとなっています。
駆動方式は4モーションと呼ばれる4WDのみで、燃料タンクは100L! 燃費性能は10・15モード燃費は漢の5.9km/L。間違いなく実燃費は5km/L以下でしょう。
若い時は、チューニングを施した日産R32型スカイラインGT-Rを所有していた岡田さん。結婚し、お子さんができてからトヨタ・ハリアーを購入し、SUVライフがスタート。
それは「お子さん&奥様ファースト」ということを岡田さんはモットーにしているから。SUVに乗り替えた理由は、お子さんをチャイルドシートに乗せやすいこと。そして、奥様が運転しやすいことの2点だと話してくれました。
そしてトヨタ・ハリアーからフォルクスワーゲン・トゥアレグV6に乗り継ぎます。しかし、岡田さんの「人と被らない車に乗りたい!」という、もう一つのポリシーがうずき始めた、とのこと。
そして、2018年に知り合いから現在所有しているトゥアレグW12スポーツを180万円で譲り受けます。しかし、整備などを行ったら、あっ!という間に300万円に達したとのこと。元々、車両本体価格の高い車は、中古車となって価格は下がっても、交換するパーツは高額のままということ。
国内100台限定というレアなトゥアレグW12スポーツを、USマーカー、ワンオフ加工のヘッドライト、ステンレスマフラー、そして22インチBBSホイール&タイヤでカスタマイズ。その圧倒的な存在感は、最新モデルと比べても全然負けていません。
どうして、トゥアレグV6からトゥアレグW12スポーツに乗り替えたのか、その理由を岡田さんに聞くと「12気筒の太いトルクって、うちの奥さんが街乗りするにも適してるし楽しそうでしょ? だから同じ車で高級モデルへとアップデートしたのです」ということ。お買い物最速マシンを意識したということのようです。
V6とW12の違いについて尋ねると、最大トルク600Nmを発生する6L W12エンジンは、とにかく滑らかで、スムーズ。気がつくとあっという間に”良い速度”になっているとのこと。そして、左ハンドル仕様というのもお気に入りのポイントと挙げてくれました。
●2005年式フォルクスワーゲン・ゴルフGTIカップカー
そして岡田さんはもう1台、自分専用車を持ってきてくれました。こちらも国内33台限定車という、レアな2005年式のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIカップカーです。
ゴルフGTIカップカーの特徴は、3ドア車であること。そして、ノーマルのGTIと異なる点は、6Pロールゲージをはじめ、レース用けん引フック、4点式シートベルト、レース用ブレーキパッド、レース用ホイール、Sタイヤ、そしてレース専用DSGプログラムを装備していることです。
岡田さんはこのゴルフGTIカップカーをベースに、ブレンボ・ブレーキキャリパーをはじめ、エアサスペンション(エアリフト3P)、ゴルフR32の革内装&革レカロシート移植。ワンオフセンターマフラー、そしてBBSホイールでカスタマイズ。
こちらもゴルフとは思えない、圧倒的な存在感が漂っているのが特徴です。
岡田さんの、誰とも被りたくないというポリシーは、レアな限定車にカスタマイズを施し、オンリーワンの車を仕立てるといことで表現されているのでしょう。
(文・写真:萩原 文博)