愛車のサクソVTSは12万円で受け継いだ先輩からの大事なバトン【Owner’s Voice】

■軽さ、コンパクトハッチ、イジれる。自分が車に求める3つの条件を満たしていたサクソ

日本で最も販売台数の多いコンパクトカーといえば、トヨタ・ヤリスです。2023年7月の新車販売台数では、1万8854台を記録。ヤリスクロス分を引いても約1万300台も売れています。

シトロエン・サクソVTSとオーナーハマウチさんのツーショット
シトロエン・サクソVTSとオーナーハマウチさんのツーショット

ヤリスは全長3,940mm×全幅1,695mm×全高1,500mmというボディに最高出力120psを発生する1.5L直列3気筒エンジン+6MTというホットモデルを用意しています。

しかし、今回紹介するペンネーム・ハマウチさんの所有するシトロエン・サクソVTSは、このヤリスより小さなボディに最高出力120psを発生する1.6L直列4気筒エンジン+5速MTを搭載し、しかも左ハンドル仕様というかなり硬派なモデルです。ハマウチさんがどうしてこのサクソVTSを所有することになったのかを聞いてみました。

シトロエン・サクソVTSのリアスタイル
シトロエン・サクソVTSのリアスタイル

シトロエン・サクソVTSは、1999年4月にシトロエンのエントリーモデルとして日本市場に導入されました。

シトロエン・サクソVTSは、ホットハッチとして人気のプジョー・106の兄弟車で、ボディサイズは全長3,735mm×全幅1,620mm×全高1,360mm。現行型ヤリスより小さく、同時期に販売されていたトヨタ・スターレットとほぼ同じサイズというコンパクトカー。

最高出力120psを発生する1.6Lエンジン
最高出力120psを発生する1.6Lエンジン

搭載しているパワートレインは、最高出力120ps、最大トルク144Nmを発生する1.6L直列4気筒DOHCエンジン+5速MTのみ。しかもハンドル位置は左のみ。新車時価格は229万円とポテンシャルを考えると破格といえる設定でした。

実は、キビキビとした走りが魅力のホットハッチのサクソVTSは、本国フランスでもワンメイクレースやキットカーによる国内ラリー選手権など、モータースポーツベース車としての人気も高いモデルだったのです。

エアコンの装着の関係で左ハンドルのみだったという
エアコンの装着の関係で左ハンドルのみだったという

兄弟車のプジョー106とはシャシーやエンジンなどは共通ですが、サスペンションのセッティングやフロアパンにZ型の補強を入れることで、側面衝突に対応するなど独自のチューニングが施されているのが特徴です。

現在、31歳のハマウチさんが、約26年前に登場したサクソVTSをリアルタイムで知っているのは不思議だと思い、車を知るキッカケを聞いてみると、先輩の影響が大きいと話をしてくれました。

設定されるミッションは5速MTのみ
設定されるミッションは5速MTのみ

ハマウチさんに影響を与えた先輩こそ、実はこのサクソVTSの前オーナーで、シトロエンは変わり者の乗り物であることや、独特の空気感をもっていると、たくさん吹き込まれたことで、すっかりシトロエン信者となってしまったそうです。

2018年に12万円で購入し、現在の走行距離は9万7000kmとのこと。現在は仕事用のトヨタ・ルーミーとの2台持ちで、以前は日産・ジュークニスモとの2台を所有し、ジュークニスモを手放し、シトロエン・サクソVTSを残したそうです。

シトロエン・サクソVTSのフロントシート
シトロエン・サクソVTSのフロントシート

どうして、シトロエン・サクソVTSを残したのかと聞いてみると「なんといっても、960kgという車両重量の軽さですね。動きが軽快で、走っていて楽しいです。こんな感覚は現在の車ではなかなか味わえません。」とのこと。

しかし、すでに約24年が経過したモデルだけに、故障した際のパーツの調達に苦労するのではないかと聞くと「思っているより海外にはたくさんパーツが流通していて、新品がまだ手に入ります。そしてプジョー106が兄弟車ということもあって、パーツを流用できるので、その点は心配していません。」と話してくれました。

ボルグレーシングのゴールドのホイールが走り屋らしさを演出
ボルグレーシングのゴールドのホイールが走り屋らしさを演出
シャンソンからサクソへ名称が変更された
シャンソンからサクソへ名称が変更された

そして、ハマウチさんは自分が車に求めるものは、まず軽さ。そして小さいハッチバック。そしてそれなりにイジれる。という3点だと。

現在の車は安全性などもあり車両重量が重くなっているし、電子制御化が進み簡単にいじることができません。元々、先輩の話術にはまって購入したクサラVTSでしたが、実は自分が車に求めているものとマッチしていたということのようです。

現在でも非常に気に入っているシトロエン・サクソですが、ハマウチさんの車は、日本市場では1年くらいしか販売されなかった前期型でレアなモデルとのこと。

同じ年代の国産車に比べて、古さを感じさせないのは、やはりシトロエンのデザインの良さだけではありません。

艶のあるブラックのボディを見ると、ハマウチさんのシトロエン・サクソに対する愛情の深さを十分に感じることができました。

(文・写真:萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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